特集 2019年1月21日

サッポロ一番塩らーめんで作る、捕まえて食べる季節のラーメン

サッポロ一番、海苔ラーメン、茸ラーメン、鰹ラーメン、蟹ラーメン、墨ラーメン。

その辺の海や山へフラフラと出向き、場所や季節に応じた食材採集を趣味にしている。ターゲットは自分で獲らないと食べられないもの、買おうとすれば結構高いもの、逆に買うと悲しい程に安いものなど様々だが、どれも自らの手で採取して食べるという流れがとても楽しい。

2018年のデータ整理をしつつ獲ったものを見返していたところ、サッポロ一番塩らーめんに入れて食ベることが多かったので、野趣あふれるインスタントラーメンを振り返ってみたいと思う。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

前の記事:多摩川で七草摘み、東急沿線なら十九草を摘めるはず~東急沿線さんぽ

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新春は海苔を摘みました

2月初めの大潮の日、漁業権の設定がないとある海へ、潮が一番引くタイミングで海苔摘みにやってきた。

2007年という遥か昔、当サイトで記事にした楽しい磯遊びである(こちら)。摘むと言ったらお茶よりも海苔だ。

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海辺でしか会うことのない、mixiを通じて出会った友人達と久しぶりの再会。

ここは前に海苔を摘んだ場所とは違うところなのだが、なんだか海苔がセロファンみたいにモサモサしていた。

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この黒っぽいのが野生の海苔。なんだかモサモサしているな。
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タイミングがちょっと遅かったのか、モサモサと生えている。
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2007年に摘んだ海苔。ほら、違うでしょう。

日当たりの関係で育ちがいいのか、海苔の種類がちょっと違うのか、あるいはタイミングが遅かっただけなのか。海苔がトリミング前のプードルみたいな長さである。

まあ、いいか。

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こういうチマチマした作業が好きだ。海苔の生えたテトラポットはアイスバーンよりも滑るけど。

海苔を入れたインスタントラーメンで温まりたい

冬の磯遊びは、どんなに厚着をしてもまあまあ辛い。この日は日差しがあって風が無かったので、寒さ自体はそうでもなかったのだが、同じ体勢で海苔を摘むため、気が付けば体の筋が固まっていた。

そんなときに嬉しいのが温かいラーメンだよねということで、カセットコンロや鍋を持参してきた。摘んだばかりの海苔を入れて、海苔ラーメンを作ってやろうという魂胆である。

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ババーン。

用意したインスタントラーメンは、サッポロ一番塩らーめんである。たまたまこれが家にあったからというのが一番の理由だが、生海苔の香りと味を生かすラーメンといえば、やはりこれが正解だろう。

もちろんそれだけで作っても美味しいが、なにか具を足すことでより輝きを増すのが塩らーめん。どんな具でも美味しくなる、来るものを拒まない懐の広さを見習いたい。

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干からびたヒトデが転がる海辺には、海苔入りの塩らーめんがよく似あう。

麺にもうすぐ火が通るかなというタイミングで、よく洗って水分を絞った海苔をたっぷりと投入。

再沸騰したところで火を止めて、粉末スープと切り胡麻を入れたらできあがりだ。

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海辺でこういうことがしたかったのである。

同行者たちにお椀でおすそ分けして、残った分を鍋から直接いただく。いつも食べてる塩らーめんが、海苔の風味で潮らーめんになっているな。

育ちすぎた海苔の歯ごたえはちょっとザックザクだけど、これはこれでラーメンに入れる分にはうまい。

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サッポロ一番海苔潮らーめん。

獲ったものとインスタントラーメン、これはいい組み合わせだ。

作るのはとても簡単だし、素材の味が生きてくる。食べるという行為によって、遊びのエンディングとしてふさわしい充実感に満たされる。

海苔摘みの詳しい話はブログでどうぞ

初夏はヤマドリタケモドキを採りました

昨年はキノコ狩りによくいった。といっても、マツタケやマイタケ狩りみたいに険しい山奥へ分け入ってという感じではなく、ふらりと散歩感覚でいけるライトなやつである。

桜が咲くころに始まるアミガサタケが落ち着くと、ヤマドリタケモドキのシーズンがスタートだ。

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キノコの山に案内してくれた友人。

ヤマドリタケモドキはヨーロッパでポルチーニと呼ばれ珍重されるヤマドリタケというキノコの親戚だそうで、私はまだ獲ったことが無く、憧れていたキノコである。

6月下旬のある日、キノコ好きの友人に実績のある林へと連れて行っていただいたのだが、全く雨の降らない空梅雨の影響で大地はカラカッラだった。

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これが憧れのヤマドリタケモドキらしいが、なんだか乾いているな。
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干しシイタケくらいにカッピカピだ。

「雨さえ降ってくれれば、パンケーキみたいなでっかいヤマドリタケがバンバン生えてくるんだよー」と、案内人による魂の叫びが聞こえてきた。自然相手なので仕方がない。

僅かに生えているヤマドリタケモドキ達はセミドライ状態だったが、どこにでもありそうなドングリの転がっている林に、ポコポコと作り物のようなヨーロピアンテイストのキノコが生えている様子はとても興奮した。

今までこのキノコの存在や価値を知らなかったために、ずっと見落としていたのだろう。もったいないことをしていた。

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よく似ているけど猛烈に苦い毒キノコもかなり生えているので、詳しくない人だけのキノコ狩りはオススメしません。

秋にまた出直してみた

9月に入ってまとまった雨が降った数日後、また同じメンバーでヤマドリタケモドキを探しに行くことになった。

なんでもこのキノコは、条件さえ揃えば初夏と初秋の2回発生するのだとか。2018年は初夏がダメだったから、秋こそが本番だろうというのが案内人の読みだ。

小雨の降る中を例の森に踏み入ると、同じ場所の同じキノコであることが信じられない程、コンディションの良いヤマドリタケモドキがボコボコと生えていた。

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なるほど、これは確かにパンケーキサイズだ。
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キノコ図鑑でみるような状態の良いヤマドリタケモドキ。網タイツみたいな模様がセクシー。

生えているのにセミドライという状態も味わい深かったが、やはり濡れた大地でどっしりと育ったヤマドリタケモドキの迫力はすごかった。これが行く先々で生えているのだから、もう堪らない宝探しである。

冷凍や乾燥させれば日持ちもするし、パスタやピザなど、どうやって食べても美味しいのが嬉しい。

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苔の生えた広場から、ニョキッと生える姿の格好良さたるや。
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これはヤマドリタケモドキ以上に生えている毒キノコ。

ヤマドリタケも塩らーめんに入れてみよう

ヤマドリタケモドキはどうやって食べても美味しいキノコなので、きっとラーメンに入れてもうまいだろう。

オーソドックスな調理方法を一通り試したところで、たっぷりのバターで炒めてちょろっと醤油を垂らし、サッポロ一番塩らーめんに入れてみた。

ヤマドリタケモドキバター塩らーめんである。旨いに決まっている、というやつだ。

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これを茹でたパスタと和えて、小ネギと刻み海苔を乗せて食べると最高。
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でも今日は塩らーめんに入れます。

ヤマドリタケモドキは軸と笠で食感が大きく異なり、軸はシャッキリとした歯ごたえが楽しめ、笠はフワフワのクニュクニュ。どちらも噛むとバターの油を含んだ旨味がジュワーッと染みだしてくる。

それを少しクタッとするまで煮た塩らーめんと食べるのだから、やっぱりうまいよね。塩らーめんの麺は山芋粉入りなので、山の幸とも相性がいいのかもしれない。

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塩ラーメンスープ×天然キノコ×バターの三重奏。これにチーズを乗せたらベストかな。

ヤマドリタケモドキ、実は最初に食べた時はあまりピンとこなかったのだが、その旨味成分を脳が理解すると、俄然美味しく感じるようになった。

成長の度合いやコンディションで味の印象が違ったり、個体や調理法によってはホクホクとした甘さが感じられたり、食べれば食べるほど好きになるキノコである。これまでは友人の案内で獲らせてもらったが、今年は自分の生活範囲の中で発生場所を見つけたいと思う。

キノコ狩りの詳しい話はブログでどうぞ

夏はカツオを釣りました

8月下旬、友人が仕立てた船でカツオ釣りにいってきた。相模湾でのカツオ釣りは、私の中では毎年欠かせない恒例行事である。

カツオ釣りというと、なんだか大変そうなイメージがあるけれど、遠洋漁業の一本釣りみたいな本格的なやつでければ、神奈川県の葉山や茅ヶ崎あたりから、普通に釣り船屋さんから多数出船しているのだ。

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ゴツい竿やリールは船宿からレンタルできるので、手ぶらでカツオが狙えます。
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エサはオキアミという小さいエビ。アジとかを釣るのと基本は一緒。


ちなみに同じ場所、同じエサで、30キロオーバーのキハダマグロが狙えるのも大きな魅力だ。

まずはお土産用にカツオを数本釣って、そのあとは太い糸に変えて、でかいマグロを釣ってやるぜと毎年皮算用をするのだが、予定通りに行く訳がない。

それでも丸々と太ったカツオが3本釣れて、今年も絶品のタタキと気持ちの良い筋肉痛を味わうことができた。

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背中の青いラインが美しいカツオ。これがうまいのよ。

カツオのアラからは良い出汁が出る

丸々一匹の魚を捌くと、当たり前だが骨や頭が残ってしまうが、これでとるダシがうまいのだ。アジでもサバでもタチウオでもアマダイでもだいたいうまい。

船上でしっかりと血抜きをしたカツオからは、生臭さのまったくない旨味たっぷりのスープがとれ、これでラーメンを作るのが釣り&製麺仲間の間でちょっと流行っているのである。

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普通なら捨ててしまう部分だが、ここから最高のスープがとれるのだ。

スープの作り方は簡単だ。アラを寸胴に入れて、水とネギと生姜を加えたら、アクをとりつつじっくりと煮込むだけ。

カツオ自体が新鮮なので、香味野菜は臭みをとるためではなく、少し風味をつけたいから。なんなら入れなくてもいいくらいだ。

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スープが白濁するまでしっかりと煮込む。

生の青魚でダシをとると生臭そうな気もするが、カツオといえば鰹節の原材料であることを思い出してほしい。よってその旨味のポテンシャルは抜群。

このスープで塩らーめんを作れば、魚介系塩ラーメンが完成だ。その味はやはり鰹節のダシに似ているが、それよりもずっとフレッシュな印象が強い。なまり節の味わいが近いかな。

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こうして塩らーめんが潮らーめんとなったのである。っていうのは海苔で書いたな。

どの魚ダシで塩らーめんを作ってもうまいのだが、旨味の濃さならカツオはやっぱりトップクラスだろう。

カツオ釣りの詳しい話はブログでどうぞ

秋はカニを獲りました

秋になると網を使ったカニ釣りに誘われた。前に当サイトで書いたやつ(こちら)は昼間に砂浜からだったが、今回は夜の防波堤が舞台である。

狙うカニは一般的にワタリガニと呼ばれるタイワンガザミなど。網と一緒に魚の切り身を海に投げ込んでおくと、その匂いに寄ってきたカニが網に絡まって獲れるという遊びである。

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久しぶりに押し入れから取り出したカニ網。エサ袋にはサンマとイカのぶつ切りが入っている。

私のカニ網は外房でしか使われていない砂浜用の大型で、糸巻が凧揚げ用のやつである。そして友人が用意したのは小型のカニ網で、竿を使って投げるタイプ。こちらの方が一般的だ。

カニを釣る二人を傍から見ると、友人は投げ釣りをしている人、私はタコ(蛸じゃなくて凧)が海に落ちて茫然としている人みたいだ。

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この糸の先にカニ網が結ばれている。

真っ暗な防波堤で、ただカニがくるまでぼんやりとする。このなにもしない時間が溜まらない。ついつい携帯をいじっちゃうけど。

こんな方法で本当にカニが獲れるのかと毎回怪しんでしまうのだが、網を投げ入れて数分待って、巻き上げると本当に絡まって上がってくるのである。

もちろん釣果は場所の良し悪しや潮の加減次第だが、これほど力を抜いて楽しめる釣りもなかなかないだろう。ただしカニを網から外す時に挟まれがちで、これがスーパー痛かったりする。

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青くてかっこいいタイワンガザミのオス。
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挟む力が強烈なイシガニ。
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スベスベでマンジュウみたいな毒のあるカニ、スベスベマンジュウガニも稀に混ざるのでお気を付けください。

カニの身が甘いんだ

タイワンガザミやイシガニといったカニ達は、食べる部分こそ少ないけれど、硬い甲羅の中に甘い身を持っている。これが新鮮だと驚くほどうまいのだ。

さあ持ち帰ってどうやって食べようかとニヤニヤ算段していると、カニ釣りに誘ってくれた友人が、せっかくだからこの場でちょっと食べようかと調理を始めた。

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甲羅を外すと現れる、口とつながった砂袋を外すのがコツだそうです。
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下処理をしたタイワンガザミとイシガニを水から茹でる。

カニを茹でて、さて一体ここから何を作るのかなと眺めていたら、彼が取り出したのはまさかのサッポロ一番塩らーめんだったのだ。

「だよねー!」と友人の肩をパシパシと叩く。

別に私がアウトドアで塩らーめんを作っているという話は一切していないので、これは偶然の一致である。

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千と千尋の蟹隠し。


カニの茹で汁で作る塩らーめんは、ほのかに甲殻類の風味が加わって、いつもよりちょっと豊かな味わいがした。意外と塩らーめんの味が濃いので、溶けたカニ味噌の風味とかまではわからないが、塩らーめんのスープを吸ったカニの身がうまいのだ。

そしてなんといっても温かいラーメンは、冷えた体に染み入ってくる。空腹と低体温こそが最高の調味料。

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サッポロ一番蟹塩らーめん。
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このスープが染みた肩の身を、ガジガジと食べるのがうまいんですよ。
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温かいラーメン、ありがとうございました!

ガン汁風塩らーめんも作ってみた

これは余談になるのだが、持ち帰ったカニの中からちょっと小さいものを使って、もうひとつのカニラーメンを試してみることにした。

大分県などに伝わる郷土料理のガン汁で、サッポロ一番塩らーめんを作るのだ。本来は淡水域に住むモクズガニで作るのだが、きっとタイワンガザミなどでもうまいはず。

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カニと水を強力なミキサーに入れてガーっと砕く。
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液体のセメント状態になったカニ水を、不織布の袋に入れてギューっと絞る。
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絞り出されたカニ水溶液を加熱すると、溶けていたタンパク質が固まってくる。この汁で塩らーめんを作るのだ。

カニの塩気があるので粉末スープを半分にしてみたのだが、濃すぎてスープが飲み干せない程にカニの味が凄かった。

天然のカニエキスだけだと、どんなに濃くても味が一本調子になるものだが、その物足りなさを少量の粉末スープがサポートすることで、結果としてカニ感が見事にパワーアップ。優秀なプロデューサーがついたことで突如表現力に広がりが出た新人アーティストのようである。

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カニスープと塩らーめんは足し算ではなく掛け算の味。

まるで胃の中をカニが爪を立てながら横歩きしているかのような存在感。胃の中の蛙ならぬ蟹である。塩スープのプロデュース力、すごいな。

これはもはやカニエキスの調味料、あるいはカニ濃縮スープ。味噌ラーメンにお玉で一杯入れるくらいがちょうどよかったかな。

カニ釣りの詳しい話はこちらでどうぞ。

冬はスミイカを釣りました

11月は金沢八景の船宿からスミイカを釣りに行ってきた。本名はコウイカだが、スミの量がすごいので、釣り人はスミイカと呼んでいるイカだ。

うまい人は岸からでも釣れるようだが、ヘボの私は釣り船に乗って釣っている。エギと呼ばれる和製ルアーか、生きたシャコをつけたテンヤと呼ばれるハリで引っ掛けるのだ。

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これがエギ(餌木)というルアー。海底付近まで沈めて、静かに待っているとイカが抱き着いてくる。
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同行者は東京湾の伝統的な釣り方である、生きたシャコを使ったテンヤ釣り。

この日は潮がほとんど流れず、イカの活性がとても低かったのだが、それでもどうにか3杯のスミイカが釣れてくれた。

なかなか辛い釣りではあったが、合わせた時にズシーンと来るスミイカ独特の手ごたえは気持ちよかった。

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エギにイカが抱き着くと、ほんのちょこっとなんだけど竿先が動く。ほんのちょこっとなんだけど、そこに気が付かないと釣れない。

ところでスミイカの吐くスミは、皆さんが想像している何倍も量が多く、そして遠くまで飛び散っていく。

イメージとしては、パンパンに膨らんだ水風船の口を開いたような感じであり、その中身が真っ黒いスミなのである。そのためイカスミも食べる場合は、吐かせないのがコツとなる。

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お腹を膨らましてスミを吐く気マンマンのスミイカ。こういう写真を撮ろうとすると、だいたいカメラマンがひどい目を見るのでやめましょう。

そこで釣れたらそっと背中側から掴んでハリを外し、水の入っていないバケツに素早く入れるのだが、うっかり手洗い用の水が入ったバケツにスミイカを落としてしまった。

着水した瞬間、フリーになったスミイカは怒りにまかせてスミをブシュー。そしてバケツの中を水を吸い直してさらにブシュー。

スミの飛距離は約3メートル。頭は真っ白、あたりは真っ黒だ。隣の隣の人まで飛んでいったが、両方知り合いでまだ良かった。船長にはマイク越しに怒られたけど。

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なかなかの大惨事である。

来年のスミイカ釣りでは、いっそのこと書初めの道具でも持ち込もうかなと思った。

スミイカからイカスミを取り出そう

そんなこんなの命懸けで持ち帰ったスミイカ。スミイカといえばイカスミパスタだが、イカスミパスタがうまいのならば、イカスミラーメンもうまいだろうということで、例によってやっていく。

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すでにスミだらけのスミイカ。

毎回うっかりスミを吐かせてしまっているので、中のスミ袋が空っぽなのではという不安を抱えつつ、スミイカを捌いていく。

果たして、スミは取り出せるのだろうか。

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背中に切り込みを入れて、インコのエサとして有名な甲を外す。甲があるからコウイカだ。

手もカメラもスミまみれにしながら格闘していると、どうにかスミ袋と思われる部分を発見。丁寧に取り外すと、意外とまだタプタプとしていた。

これなら真っ黒いイカ墨ラーメンが作れそうだ。

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このツヤツヤしたのがスミ袋らしい。ヤリイカやスルメイカなどとはボリュームが全然違う。
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3杯のイカから3袋を無事回収。まるでブラックオパールのようである。と思ったけど、確認したら全然違った。

イカスミ塩らーめんを作ってみよう

どうにかスミ袋を確保したところで、さっそく家にあったネギを加えて麺を茹で、そこに貴重なスミ袋を投入する。

すぐに透明だったスープが真っ黒になるかと思いきや、これが外側の袋部分が熱で固まってしまい、中の墨が一滴も出てこないという予想外の展開となってしまった。

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真っ白な麺の上にスミ袋をそっと置く。
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袋が固まってしまった。これはどうしたらいいのだろうか。


さてさて、これをどうしたもんだろうかと考えているうちに3分が経過。これ以上の加熱は麺が伸びてしまうので、とりあえずこれで完成とした。なんとなく割ってしまうのがもったいなくて。

できあがったのは、富山ブラックよりもだいぶ白い、グレーなイカスミ塩らーめんである。そしてその真ん中にはプニョプニョした怪しい黒い玉。

自分で作っておいてなんだが、なんだこれは。

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この中身ってどうなっているんだろね。

とりあえずこの状態で食べてみると、いつもの塩らーめんに、少しイカの風味が加わっているという感じである。悪くはないが想定内だ。

さあ問題はこの黒く膨らんだスミ袋だ。中身は半熟のゆで卵に固まっている感じだろうかと箸でつまんでいたら、急にブチュっと袋が破けて、インクのようにねっとりとしたスミが飛び散った。

 

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写真ではわからないが、その飛距離は50センチ強。まあまあの被害である。

なるほど、イカのスミ袋は熱で固まるが、スミ自体は固まらないのか。イタリアのイカスミパスタとか沖縄のイカスミ汁という料理があるくらいだから、そりゃ熱じゃ固まらないよね。

こうして見事に真っ黒となったイカスミ塩らーめんの味だが、その見た目通り一気に濃厚さを増したのだった。

ただイカスミの味自体は強烈という印象ではなく、スープにプラスされる上品で穏やかな旨味という感じ。茶色い肝を入れた方が風味は強いだろう。両方入れるのが正解だったかな。

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イカスミ料理を食べると、毒切りを吹いた後の悪役レスラー気分が味わえます。

それにしてもこの黒くて爆発するスミ玉というギミックはとても面白く、イタズラ好きの三ツ星イタリアンシェフあたりが、今年あたりハロウィンの特別料理に取り入れるのではという気がした。

破裂するイカスミ玉の乗ったペペロンチーノとか、想像しただけでも楽しそうだ。そのお客になった際は、ぜひ白いスーツを着用して、盛大に汚していただきたいと思う。

スミイカ釣りの詳しい話はブログでどうぞ。


獲ってきた食材を使ったサッポロ一番塩らーめん縛りの料理、なんだか味覚の定点観測みたいでおもしろかった。

日常の延長線上にある行為なので、今年もまた静かに続けていこう。その辺にあるものを獲って食べつつ、ぼんやりと暮らせる平和な世の中だといいなと思った。

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