数学を解くとか以前に問題が読めない
まずは実物を見て欲しい。これがウワサの算額絵馬だ!
こういう和算の問題が書かれた絵馬は、全国各地の神社にちらほらあるらしい。
今回は、その中でも一番近場にあった渋谷・金王八幡宮の絵馬を解いてみたい。
この絵馬の写真をパシャパシャ撮って、家で一生懸命解いてみる。が...
数学とか以前に、問題がまったく読めなかった。
図形だからなんとかなるだろと思っていたが、まず何を聞かれているのかわからない。
算額絵馬を解くには、まず語学が必要なのだ。私の力では、スタートラインに立つこともできない。
自分で解けない算額はできる人に丸投げしよう
どうしていいのかわからなくなったので、ここは潔くひとりで解くのを諦めた。
担当編集の石川さんに正直に「なにも解けません」と相談し、力になってくれそうな人を集めてもらった。
こうして急編成で集められたのがこのチームだ。
まいしろ(以下、まい):この企画を言い出した人。数学も中国語もできない。にぎやかしを担当。
石川さん(以下、石川):DPZ編集。この企画に巻き込まれた人。にぎやかしを担当。
唐沢むぎこさん(以下、むぎこ):DPZライター。アジア美術史専攻という頼もしい経歴。問題文の解読を担当。
三土たつおさん(以下、三土):DPZライター。数学が大の得意。数学の解き方を担当。
ほりさん(以下、ほり):DPZライター。謎解きが大の得意で「謎解きみたいなものだから」と言って来てもらった。数学の解き方を担当。
こうして専門家とにぎやかし達の愉快なチームが出来上がった。あとは問題を解くだけだ!
江戸時代の数学の解き方は中学数学から考えると「なんかキモい」
まい:最初に懺悔したいんですけど、私これ何を聞かれてるのかもわからないんですよ
石川:これは中国語なんですか?
まい:Google翻訳では中国語って出るんですけど、書いてある文章をそのまま自動翻訳したら「手術当日に円柱を破壊せよ!」とかいう不穏な文章になりました
むぎこ:これ、中国語ではあるんですけど、中国語の古文ですね
まい:本当に当たり前のことなんですけど、中国語にも古文あるんですよね
むぎこ:古文といっても大きく違うわけではないんですが、現代文として翻訳すると変になっちゃうとは思います。あとは、数学用語をそのまま翻訳しているので、「割り算」を「破壊」って翻訳したり、そういう誤差があるんじゃないかな
まい:つまり、絵馬を理解するためには4つのステップが必要...!?
むぎこ:一文字ずつ読んでいきましょう。まず「如図」は「図のごとく」。「術曰」は「術にいわく」で「解き方は」という意味ですね
まい:すごい!暗号解読みたいだ!!
むぎこ:ここがたぶん答えの式になっているんですよね
まい:ここ、そもそも文章じゃなくて数式だったんですね
ほり:僕いま問題を解いてるんですけど、パッとと見たところ、中学校の数学レベルっぽいですよ
三土:これ三平方の定理ですよね
石川:でもあれですよね、図がかわいいですよね
まい:いまの数学の図も、これぐらいかわいくして欲しいですよね
石川:絵馬も扇の形で風流ですよね
むぎこ:あ!ちなみに、この絵馬は1864〜1865年に書かれたものみたいですよ。150年ぐらい前ですね
まい:すごい、絵馬を鑑賞している間にどんどん中身が解読されていく...