サンダルもいいよ!
真冬はさすがに履かないけれど、そうでない時期はサンダルを履いている。国内でもそうだし、海外に行く時もサンダル。それは歩きやすいし、機能的だからだ。今回、歩いてサンダルの素晴らしさを再確認した。通気性は正義の一つなのだ。寒いけど、この時期は。
達成感というものがある。何かを足し遂げた時にだけ感じることができる、特別な感情だ。喜びもそこには含まれるし、疲れもあるし、これで終わるんだという悲しみもあるだろう。そういう特別なもの、それが達成感だ。
普通に生活していると、そんなには達成感を感じない。達成感だらけの日常を送りたいけれど、そんなにはないのだ。では、達成感をどうすれば得られるか、と考えると湖一周が手っ取り早いのではないかと思う。
さいきん日々の生活に達成感がないと思っていた。成し遂げた感がないのだ。果てしなく思えることをしていないし、ゴールを決めて何かをやるということもやっていない。結果的に達成感を得るのではなく、狙って達成感を得なければならないのではないだろうか。
一周する、ということに我々は達成感を感じる。世界一周や日本一周したと聞くとなんだかすごく感じる。それが半周ではガッカリするし、10周と聞くと、グランド10周のような、罰ゲーム的なことを感じる。一周、それがポイントなのだ。
どこかの川の河口から源流までを歩く、というのも達成感はあると思うが、面倒だ。行ったら帰らないといけないから。一方で湖一周なら、ゴールとスタートが一緒なので楽だ。だから、私は達成感を得るには湖だと思っている。
達成感を手軽に得るならば「湖」だけれど、その湖が広大だと嫌だ。歩くとキツいから。そこで目をつけたのが長野県の諏訪湖。一周が16キロ。適度だ。4時間ほどで一周できてしまう。しかも、知名度がある。これも大切。
誰も知らないようなところを一周しても、「あ、はい」みたいなことになってしまうので、達成感を得るには湖の知名度も大切になる。諏訪湖は諏訪大社があったり、御神渡りがあったりなど、知名度が抜群なのだ。
私は常々言っている。歩くならサンダルだ、と。靴ずれという恐怖の現象があるけれど、その原因の一つに「蒸れ」がある。汗をかいたりして蒸れることで、皮膚がふやけて靴ずれが起きるのだ。サンダルは通気性がいいからそれを防ぐことができる。通気性しかないから。
今年の夏、私は暇すぎてずっと歩いていた。1日に10キロとか20キロとか。その時ももちろんサンダルだった。永遠に歩けるのではないかと思うほどに快適。自分にあったサンダルに出会えれば、歩くなら靴よりも快適なのだ。
もちろんサンダルがいいことばかりかと言えば、そうではない。もちろんデメリットもある。メリットとデメリットは常に裏表なのだ。先にメリットとして、通気性がいいと書いた。その通りだ。足がほぼ外気に触れているので、通気性がいい。逆を言えば寒いのだ。
寒いの。長野だもの。諏訪湖だもの。標高が高いもの。真冬になれば全面結氷するんだもの。でも、このくらいの困難がある方が達成感は得られる。絶妙なラインを我々は狙わなければならない。キツいとラクの絶妙なところ。そこに手軽な達成感は存在するのだ。
先にも書いたように諏訪湖の一周は16キロ。距離としては普通だ。歩けば4時間ほどということになるけれど、湖は対岸が見えるので果てしなく思える。「あっちまで歩くのか」と。それがまた絶妙。達成感に油を注いでいる感じなのだ。
サンダルは履きやすく脱ぎやすいので、多少の水の中なんて朝飯前。そもそも顔ハメが水の中にあるという問題はあるけれど、全然ハメられちゃうのだ。問題はあるよ。寒いから。だって、気温は7度なんだもん。水も当然冷たい。でも、サンダルだから手軽にハメられちゃう。
諏訪湖を歩くのはこれが初めてだ。存在は知っているし、諏訪大社などに行ったこともある。ただ歩いて一周したことはなかった。歩いてみるとなかなかに面白い。そもそも諏訪湖は走りやすいように整備されている。
諏訪湖の周りは歩ける道が整備されているのだけれど、それが弾力性のある素材で作られ歩きやすいし走りやすい。アスファルトの上を歩くより、あきらかに足に優しい感じなのだ。私は足に優しさを求めている。
10月頃に、自宅で足の親指をぶつけて「折れた!」と一人で騒いだ。「完全に折れた」と一人で大騒ぎした。病院に行ったら、見事に全く折れていなかった。綺麗に折れていないのだ。結論としては、ちょっとしたことでも一人で騒いじゃうから優しい路面が欲しいのだ。
また景観が美しいから歩いていて楽しい。水鳥がたくさんいるのだ。白鳥もいるだろう、キンクロハジロもいるだろ、オオバンもいるだろう。とにかくたくさんの水鳥たちが諏訪湖に浮かんでいるのだ。
鴨ロースが好きなのだ。鴨ロースの鴨がこの種類のカモなのか、私は知らないけれど、カモを見ると鴨ロースを思い浮かべる。カモばかりに目が行ってしまった気がする。そのおかげか、諏訪湖を半分ほど歩いても、私は元気だった。カモは見ただけで美味しく、元気が出るのだ。
諏訪湖一周を歩いている自分にびっくりする。過去の私は仕事で皇居を一周しなければいけなかったのだけれど、なんだか途中で疲れちゃって、タクシーに乗って一周したこともある。一周は一周だから、タクシーでも問題ないじゃん、という考えだった。
そんな私が元気に諏訪湖を歩いているのは、達成感を得たいからというのもあるし、サンダルというのもあるし、この夏、暇でかつお金がなかったので、ひたすら歩いたことにある。歩くと体力がつくのだ。いま当たり前のことを言っている。
あとダイエットに成功したというのもある。ダイエットというか、歩いていたら痩せたのだ。7キロほど痩せて、今は58キロ台。足取りが軽やかなのだ。それに諏訪湖がいいのは、休みたいなと思えるものが設置してあることだ。
無料の足湯があるのだ。素晴らしいではないか。寒いから本当にいい。歩いているけれど、体はそんなに熱くない。おそらくサンダルだから。体温が上がらないのだ。そもそも気温は7度だし。そんな時の足湯は素晴らしい。
常に背筋を伸ばして生きて行こうと思っている。猫背だけど。だから、写真のような背伸ばしベンチを愛してやまない。もし家を建てることがあったら、庭に背伸ばしベンチを置こうと思う。そして、白い大きな犬を飼おうと思います。
この辺りには有名なお祭りがある。「御柱祭」だ。急斜面を大木にまたがり滑降するというもの。7年に1度のお祭りというのもあって、大木にはなかなかまたがれるものではないのだけれど、諏訪湖の周りでは、ポケモン、ワンピースの隣に陣取っていた。
また御神渡りも2019年、2020年は暖冬で起きていない。ただ暖冬だから半袖でいい、みたいな話ではない。2021年はどうなのかは知らないけれど、現状としては寒い。だって、サンダルだし、気温は7度なんだもん。
ゴールした。確かな達成感が私を支配した。一周したんだ、という達成感。寒い中歩いたんだという達成感。そのような達成感が合わさり、私に素晴らしき疲れを与えている。心地よいのだ。隣に誰かいれば抱き合っているだろう。誰もいないからなにもしないけど。
実際はフラフラと寄り道しながら歩いたので、ログを見ると18キロ弱歩いたことになっている。時間は4時間10分。私に押し寄せる達成感を考えるとかなりお買い得だ。4時間10分の達成感ではない。世界一周くらいの達成感がある。世界一周したことないけれど、たぶん同じ達成感だ。
真冬はさすがに履かないけれど、そうでない時期はサンダルを履いている。国内でもそうだし、海外に行く時もサンダル。それは歩きやすいし、機能的だからだ。今回、歩いてサンダルの素晴らしさを再確認した。通気性は正義の一つなのだ。寒いけど、この時期は。
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