最速の乾杯が必要な状況が実際にある
JR大阪駅を出てどこに向かえば最速で乾杯できるのか……と、そんなことをなぜわざわざ確かめる必要があるのか。まず、それを説明したい。
大阪に住んでいる私は、東京から来た友人とJR大阪駅周辺で会うことがたまにある。お互いに余裕があり、時間を気にせずゆっくり飲めればそれに越したことはないのだが、たとえば、その友人が大阪に着いたばかりでこれから予定があるとか、あるいはこれから新幹線で東京へ戻る前だったり、「あまり時間はないけど、もしタイミングが合ったら乾杯しよう」と、そんな状況もある。
実際にかつて、その日の東京行きの新幹線のチケットを取っているパリッコさんと、出発の時間まで1時間半ぐらい大阪駅周辺で飲もうという話になったりしたことがあった。その時、私は「できるだけ近くの店で迅速に乾杯までこぎつけたい。なぜならその方が少しでも長く飲めるから」と考えて焦った。
なんせJR大阪駅はいくつもの地下鉄や私鉄の駅と通路で繋がっていて、その通路が地下街と融合して広がっていたりするから選択肢が膨大にあって難しい。自分が行こうと思った店にたどり着くまでに予想外に長い時間がかかってしまったりもする。
そこで今回、JR大阪駅から最速で乾杯できる方法を一旦自分なりに確かめておきたいと思ったのだった。飲み仲間に協力してもらい、それぞれの思いつくルートで乾杯までのタイムを計測してみることにした。最速で乾杯できるのは誰か!と、タイムを計測しているから一応レースっぽく競うことになったが、どれが正解とかいうこともなく、気楽なムードでやっていこう。
まずは私の思う最速ルートから
取材当日、今回協力してくれる飲み仲間たちが段階的に集まることになっていた。仕事を終え、ある人は18時に、またある人は19時に、と徐々に増えていく予定になっている。そこで、まずは最初に集まってくれたライターの橋尾日登美さんと二人で乾杯して、後から来るみんなを待つことにした。
そこで、私が思う最速乾杯ルートを試しておくことにする。“最速乾杯”などというのはそもそも私が言い出した勝手なことなので、これはあくまでエキシビジョンマッチというか、模範演技のつもりである。
ルールというほどのこともないが、一応、こんな条件で試していくことにする。
・JR大阪駅にある複数の改札口の中から好きなところを選んでいい
・その改札前からスタートし、乾杯できた瞬間までのタイムを計測する
・ゆっくり落ち着いて移動する。走ったり階段を駆け下りたりしてはいけない
JR大阪駅には1階に「御堂筋口」「中央口」「桜橋口」「西口」、ホームの上の3階部分に「連絡橋口」、地下1階に「うめきた地下口」という改札がある。どの改札を選ぶかで、そこからのルートも大きく変わってくるだろう。
私は「連絡橋口」の改札をスタート地点にすることにした。
呼吸を整え、ストップウォッチを片手に、いざスタート。スマホのストップウォッチ機能を使うのでもよかったけど、事前に100均でストップウォッチを買ってきた。その方が、なんとなく気分が出るからである。
計測を開始し、私は大阪駅直結の駅ビル「ルクア大阪」の上階を目指す。連絡橋口の改札からいくつかのエスカレーターを乗り継いで上へ上へと進むと、「風の広場」という屋上の休憩スペースがあり、敷地内にはコンビニも併設されている。
その広場へ向かい、コンビニで買ったお酒で乾杯すれば、かなりのタイムが出せるのではないかと思った。しかし、エスカレーターに乗っている時間が思ったより長い。
ちなみに、JR大阪駅の改札内にも改札外にも、便利な位置にコンビニがあり、そこでお酒を買って近くのベンチで飲むという手もないではないが、なんとなくそれはズルいという感じがして今回のルールからは除外してある。
さあ、ようやく屋上までやってきた。あとは、敷地内のコンビニでお酒を買うだけだ。
二人分の「金麦」を急いで買ってコンビニを出て、すぐに目の前のベンチで慌ただしく乾杯!
ストップウォッチを見ると、6分48秒であった。これはなかなかの好タイムではないだろうか。エスカレーターにかかる時間は思ったより長かったが、その他の動きは我ながらスムーズだった。ついさっきまで長く仕事をしていたという橋尾日登美さんも、とにかくすぐにお酒が飲めたことを喜んでくれているようだ。
次は「西口」の改札から
そこで「金麦」を飲んでいると、参加者の一人である今野ぽたさんから「もう少しで大阪駅に着きそうです」と連絡があった。そこで橋尾日登美さんにどの改札から最速乾杯を目指すかを考えてもらい、そこで今野ぽたさんと合流することにした。
橋尾日登美さんは大の酒好きで、大阪駅周辺の酒事情にも詳しい方である。西口改札から一体どんなルートで乾杯までたどり着こうというのか、胸が高鳴る。
やってきたJR大阪駅西口改札は2023年3月に新設された改札で、見た目にも真新しい感じだ。周辺には「JPタワー大阪」「イノゲート大阪」といった複合商業ビルもあり、そこにも多くの飲食店が入っているので、様々なルートが考えられそうである。
ストップウォッチを片手に、さあスタート。「こっちです!」と颯爽と歩いていく橋尾日登美さんの後ろを、私と今野ぽたさんがついていく。「KITTE大阪」というショッピングフロアの入っている「JPタワー」の方面へ歩いていくので、そこに向かうのかなと思ったが違った。
JPタワー前を左に折れ、すぐまた左折してJR大阪駅の高架下に入っていく。するとそこに「串かつ松葉 エキマルシェ大阪ウメスト店」があり、「ここです!入りましょう!」という。
ちょうど三人が入れるテーブル席があいていて、そこに通してもらった。ドリンクメニューを見て「瓶ビールとグラス3つもらいますか!?」と話し、ついに乾杯!
ストップウォッチに表示されたタイムは4分22秒!正直なところ、自分がエキシビジョンマッチ的に披露した先ほどのルートにかなり自信があったので、この速さには驚かされた。
「いや、これは相当速い!」「すんなり入れたのもよかったですよね」「瓶ビールが出てくるスピードも速かったです」とみんなでたたえ合う。しかも何がいいって、串カツが美味しいのである。
「いや、どうしよう。正直、全然思いつかないです!」と次の出番の今野ぽたさんを悩ませてしまった。

