特集 2023年10月25日

流星群を撮りたくて、スターラプス野宿

撮影後、朝ごはんを食べるスターラプス初めておじさん。

新しいカメラを買ったらスターラプスという機能が付いてた。星空の連続写真を撮って動画にしてくれる機能だ。今どき珍しくもない機能かもしれないけど、新しいおもちゃを手に入れたら使ってみたくなるのが人情。ちょうどいいタイミングでオリオン座流星群がやってくることになった。

山に登って撮影するしかないだろう。

あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:パプリカ色素で赤い食卓(デジタルリマスター)

> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

こんなカメラを買った

Insta360X3という360°カメラを買いました。カメラの両面についたレンズで全周を撮影してるから、後で画角(どこを撮影するか)を自由に変えられます。

以前から薄っすら欲しかったんだけど、たまたまセールになったので買った。

カメラの下に自撮り棒を着ける穴があって、棒を付けて自撮りできます。それでいて棒を消せる仕組みになっているので、こういう写真を撮ることが出来ます。

二子山という山でクライミングしてるとこ。中央稜というルートです。怖い。

上の写真はドローンで撮ってるわけではなくて、ザックの横に棒を差して、棒の先端に付けたX3で撮影した動画から切り出しました。自撮りなのに空中で撮ってもらった感じの写真や動画を撮れる優れものです。(なお、勝手に使ってるだけなので広告案件ではありません。カメラ自体も普通に自腹で買ったものです)

棒をつけて横からみた様子。レンズカバーを付けてますが、両面にレンズがあるのが見えると思います。

という感じで、360°の動画や写真を撮るのが主な機能なんだけど、スターラプスという星空を撮る機能もあったので使ってみることにしました。

(なお、以前凧で空撮をする記事を書いた時に使ったInsta360Go2にもスターラプス機能があったと後日気付いたけど見なかったことにした)

スターラプスを撮るために登山

東京の夜はとても明るくて、星空を撮るのはほとんど無理です。公園など、人間の目では真っ暗な場所ですら星空を撮るには明るすぎるのです。となったら山に行くしかありません。幸い僕は登山をまぁまぁ得意としているので、その点は問題ない。

しかし、一つ問題がありました。どうやって夜を過ごすか?

雲取山荘のテント場の写真。テント場ならテントを張って寝ればいいんだけど…。

原則、指定地以外のテント泊は禁止されています

スターラプスを撮るには条件があります。

・確認のため一晩中カメラの近くにいなくてはならない
・他人のテントや山小屋などの光源が近くに無い場所がいい

しかし、そういう誰もいない場所、キャンプ指定地でない場所にはテントを張ってはいけないとされています。

場所によっては自然公園法という法律で禁止されていますし、自然公園法の保護地域でなくてもキャンプ指定地以外でのテント設営は禁止されているのが一般的です(ただし、緊急を要する場合や、一般的ではない登山、沢登り、雪山登山など他に安全な宿泊手段が無い場合のテントやタープの設営は黙認されています。無理して遭難する方がデメリットが大きいからです)。

今回は、緊急時のビバークではないし、雪山でも沢登りでもないので、適当な場所にテントを張る言い訳が立ちません。

ふむ、と考えた結果、『ただその場で寝転がる』という方法を取ることにしました。こういうことです。

工作物を設営せず、単にレジャーシートを敷いて寝るスタイル。タープも無し。

テントは禁止されているけど、その辺で寝転がって休むのは神様も禁止なんかしてないはず(たぶん)。

という事で、宿泊の問題は片付きました。登山していきましょう。

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午後14時から登山開始(ダメなやつ)

ここは武蔵五日市駅。奥多摩エリアの南側の山にアクセスするためによく降りる駅です。いつもは朝の7時半くらいに来る場所ですが、今回は13時半。信じられないのんびりスタートになりました。

登山は一般的に、出来るだけ早朝からはじめて15時には下山しているのが望ましいとされています。

なにせ、夜が目的なのであんまり早く着いても暇だろうと思ってこんな時間に来ました。この記事でやってる登山はまぁまぁ普通の登山から逸脱しているので、よい登山者の皆さんは真似しないでください。

今回登ったのは松生山

登ったのは松生山という山です。奥多摩の三頭山から連なる浅間尾根の末端寄りにある山で、昭文社の『山と高原地図』では破線ルート(少し危険なルート)になっています。以前当サイトで「山に登るなら『隠れピークハント』をしてみよう」という記事を書いたときにも登っています。破線ルートにしては登りやすく、それでいて山頂が開けていてある程度の眺望があります。

一般的には破線ルートを単独で登るのは推奨されていません。複数人で登りましょう。

松生山は標高933mの低山ですが、登り始めはまぁまぁな急傾斜です。場所によっては細い尾根の両側が崖になっており、危険な場所もあります。標高が低いからと言って甘く見てはいけません。14時から登り始めてる人間が言っても説得力無いかもしれんけど。

斜度がキツイってことは、どんどん登っていけるってことです!頑張ればすぐ山頂です!

熊問題

熊問題、略してクマモン。秋の里山と言えば熊というほど、最近は熊の出没が増えています。色んな理由があるようですが、理由はともかく熊とは出逢いたくありません。熊も僕とは遭いたくないでしょう。ということで、僕は2つ熊対策をしています。一つは吠え真似。

山頂や藪、曲がり角の手前で大きめの声を出して自分の存在を知らせるようにしています。ホイッスルなども使います。

以前、知らないお爺さんに「熊はなぁ、食いもんに夢中んなってんと熊鈴の音なんか聞いちゃいねーからよ、笛か大声がいいぞ」って教わって以来そのようにしています。なんで温泉の脱衣所で急に教えてくれたのか分かりませんが。

それと今回は、1人で一晩を過ごさなくてはならないのでラジオも使うことにしました。野生動物は人間の話し声が嫌いみたいですね。

スマホのXperiaはFMラジオを聴くことが出来ます。イヤホンのコードはアンテナとして機能します。音は本体スピーカーかイヤホンで聞けます。

以上の熊対策をしつつ、えっちらおっちら登って2時間半くらい。16時半に松生山の山頂へ着きました。なるほど、確かに記憶通り空が開けていました。

若干木やアンテナ塔などあるけど、まぁ撮影できそう。

しかし、もうちょい先にも眺望が良い場所があったような気もします。そこで、日は暮れかけですがもうちょい歩いてみることにしました。

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日が暮れたし進んだ先の眺望はイマイチだった

結局先に進んでみたものの、望ましい眺望がある場所はありませんでした。ただ時間を浪費して日が暮れた。

北側が開けた場所があったけど、オリオン座流星群は南東の空が開けていたほうが都合がいいのでボツとした。
浅間嶺の西峰山頂。ここも北側は開けているが南側はイマイチ。

時刻は17時。仕方ないから戻るかー、と松生山に戻る途中で完全に真っ暗になりました。

スマホのカメラがナイトモードになって、長時間露光でなんか写ったけど肉眼では真っ暗です。

当然ヘッドライド(ヘッデン)を持ってるので装備。一応行動は出来ますが、視界が悪いと道迷いや道を踏み外しての滑落、動物との不意な遭遇などが起こりやすくなります。日没後の行動はおすすめしません。

なんつっても、超怖いし。照らしてる正面は見えてるからいいけど、背中に背負った暗闇が怖い。

松生山と浅間嶺の間にある天領山。眺望は無い。

そんなこんなで、結局この辺でオリオン座流星群を撮るためのベストスポットは松生山となったので、撮影地とすることにしました。

次のページへつづく。

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