特集 2026年5月26日

略語を戻したい散歩

へネス&マウリッツからモーティマー・ジェローム・アドラーまで、街で見かけた略語を戻しに戻す散歩。

この世界では全部書くと長いので、いろいろ略されている。シンプルでおしゃれにたたまれた情報を当たり前のように享受し、そこで何が略されているのか気にせずに暮らしてきた、暮らしてきてしまった。その損失を取り戻しに出かけよう。人生を取り戻す散歩である。

1975年神奈川県生まれ。毒ライター。
普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。
最近バレンチノ収集を始めました。(動画インタビュー)

前の記事:ゴーヤのような壁、壁のようなゴーヤ

> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー >ライターwiki

へネス&マウリッツ

昨年ぐらいから、出かけた先でアパレルショップ「H&M」をやたら撮影していた。

広島にて。

ファッションにとんと興味のない私がなんでそんなものを記録していたかというと、「H&Mっていったい何の略だ?」と思ったからである。しかし、帰るころにはすっかり忘れてしまい、またどこかに出かけて見かけたら思い出して撮影しておくということを繰り返していた。すぐ調べろよ。

渋谷にて。

で、こんどこそ検索してみるとH&MはHennes(へネス)&Mauritz(マウリッツ)の略であることがわかった。

由来は共同創設者の名前だろうか、モルガン・スタンレー証券的な。と思ったらちょいと違っていた。

Hennesはスウェーデン語で「彼女の」、英語でいうところのHersであり、1947年にスウェーデンで創業(老舗じゃん!)した時はそのヘネスという名でレディースを扱っていた。後にマウリッツという会社を買収してヘネス&マウリッツと改称し、メンズウェアまで幅を広げたらしい。

すごい、字と共に物語が略されている。略語を甘く見ていた。
今まで何気なく目にしながら、いろんなへネス&マウリッツを見逃してきたのではないか。取り戻さねばならない。略語を戻す散歩に出かけよう。

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QRの四角のすごさを知る

情報量に溢れた都心を目指すべしと練馬をスタートしたが、出かけたらすぐに見つかった。

ICにQR。

そういえば何をICにして何をQRにしたのだろう。ICは半導体的な電子部品だと認識してはいたが何を略しているのかを知らず、ああはいはいICね、となっていた。

インテグレーテッド・サーキット! 

PASMOやSUICAはインテグレーテッド・サーキットカードなのか。インテグレーテッド・サーキットカードにチャージだ。かっこいいけどすぐめんどくさくなるな。

QRは「Quick Responce(クイック・レスポンス)」、1994年にデンソーウェーブが開発した「QRコード」のことである。これは直感的でわかりやすいね。ほいっと読み取ってクイックレスポンスね、なんて軽い気持ちで調べたらクイックの重みがぜんぜん違った。

QRコードには高速で読み取れるように、スキャナ用の目印として隅におなじみの四角形が配置されている。

※「QRコード」はデンソーウェーブ社の登録商標です。

 この四角形の黒い線と白い線の幅はスキャナーに誤認されるのを防ぐためにあらゆる印刷物を調査し、「一番使われていない比率」に設定されているというのだ。すごい。

くわしくは読み応えしかないデンソー・ウェーブの開発ストーリーをどうぞ。

駅で目につく、というかつかねばならない略語はこれ。

やはり何の略かは知らない。

電気ショックで停止した心臓を動かす装置だからオートマチック・エレクトリック・デストリビュート何とか...とか....。

ぜんぜん違った。
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あのディスクはバーサタイル

 あまりにも一般的でこんなもの余裕でわかるでしょ、というのも一筋縄ではなかった。

デジタル・ビデオ・ディスクだよね。
バ、バーサタイル!

多用途ディスクか、なんかとっつきにくいなと思ったら、もともとはデジタル・ビデオ・ディスクだったらしい。しかし「いや音声とかデータとか、ビデオに限らないっしょ」とバーサタイルにされたという。テクノロジーのプライドを感じる。

地下鉄に乗ると、なんせ地下なのでB2とかB3とか言われるのだがBだって略してある。これは地下のことでしょと思ったが英単語が出てこなかった。

大江戸線ってB4まで行ってたのか。

ベースメントを頭に入れて新宿に繰り出す。

欲望と略語うずまく大都会。

目に飛び込んできたのは競馬のあのマークだ。

競馬のあれ!

これはもう素直に、脳が動くとおりでよくない?
JapanにRaceでしょ、そしてこんな空気で最後に来るAはアソシエーション(Association)が相場でしょう。その通りだった。

ちょっと待てよ、競馬でしょ、ホース欲しくない?

JRAの正式名称は「日本中央競馬会」といい、1957年の設立時はNCK(Nippon Chuo Keiba-Kai)で競馬は入っていた。1987年に英称のJapan Racing Associationを文字ってJRAとなったらしい。Racingは広義で競馬なのだろうと思うが国際組織なんかではホース込みでHoseracingと言ってたりする。わからん。

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AGAからNTTまで

ビルのサインにここ10年くらいでかなりおなじみになってきた3文字がいた。

AGA。脱毛症関係ではあると思うが何の略だかは想像もつかない。

Androgenetic Alopecia(男性型脱毛症)の略でAGA、Gは前半のgeneticのところからとっているのか。たしかに長いしな、アンドロジェネティック。

ランチの上にずらりと並ぶカード会社。

ここはJCBとUCを戻していこう。

JCBはJapan Credit Bureau(ジャパン・クレジット・ビューロ)、1961年に設立された会社の名前「株式会社日本クレジット・ビューロ」が由来である。

UCはこちらも株式会社ユーシーカードの旧名称「ユニオン・クレジット」から来ている。

 

略語の聖地、へネス&マウリッツ参りも欠かさない。

下を見るとそこにはNTT、Nは日本でテレフォン関係のTということは直感できるが、じゃあ全部言ってみろよとすごまれたら、すいません検索させてくださいとなる。

ロゴ回りの模様はテレフォンの「T」がモチーフなのだろうか。

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アーペーセーだったのか

何度か見かけたことがある高級ファッションブランド、自分にはまったく縁がないと思っていたが今日の私は違う。天命をさずかった略戻し執行人なのだ。ショーウィンドーで目が合ったのが運の尽き、その略、戻させてもらいます。なんて調子に乗って検索したのだが.......。

ア、アーペーセーだと!?

 エーピーシーじゃないのか。読み上げるたびにジャクソン5の名曲が鳴っていたが頭の中のジャクソン5がびっくりして演奏を止めてしまった。

Atelier de Production et de Création(アトリエ・ドゥ・プロデュクシオン・エ・ドゥ・クレアシオン)、ガチのフランス語(なんだそれ)で「生産と創造の工房」とのこと、精神と時の部屋みたいなのが出てきた。

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