焼き鳥はローストチキン、寿司は魚ずし
高千穂で焼き鳥といえば串焼きではなくローストチキンのことだ。周りの人に聞いたら百発百中でそう答えたので自信を持って言い切ろう。
特に高齢者は串に刺さった焼き鳥なんてこの世に存在しないかのようなテンションで断言してくれた。
高千穂で生まれ育った祖父にそれとなく聞いてみた。普通は串に刺さったものを焼き鳥って言うと思うんですけど、なんで高千穂ではローストチキンなんですか?
祖父はポカンとして、昔からそうだみたいなことを答えた。昔からそうなら従うほかない。
正木屋の焼き鳥が有名
高千穂の焼き鳥は正木屋という肉屋のものが特に有名だ。正木屋の焼き鳥は地元でもよく食べられていて、主にハレの日や人をもてなすときに食卓にのぼる。
電話予約をして受け取りに行ったらアッツアツの状態で渡してくれた。持っていられないくらい熱い。
焼き鳥が出てくるようなハレの日の食事は他の段取りも様々ある。早めに受け取りにいくことがほとんどで、冷めた状態のものしか見たことがなかった。焼き鳥って熱いものなんだ。
高千穂の焼き鳥はむっちりとビニール袋に入っている
さっそく焼き鳥の包みを開けてみよう。脂だかタレだかが漏れでていてすでにいい匂いがする。手がべとべとする。最高だ。
焼き鳥が入ってるからその包みを開けてごらんなさいと言われて、ビニール袋にぎゅうぎゅうに詰め込まれたローストチキンが入っていたら笑ってしまうだろう。そういう小さな面白さをあなたと共有したいと思っています。
鶏は大きくカットしてあって野性味あふれ、手に持つとずっしり重い。いまから動物を食べるんだぞという感じがする。
高千穂の焼き鳥はちゃんとうまい
それでは高千穂の焼き鳥にむしゃぶりついていこう。温かいものを食べるのは初めてなので楽しみだ。
皮目は甘辛く仕上げてあり、身はしっとりと柔らかくて骨の近くまでしっかり塩気がある。鶏肉特有の臭みはまったくない。たぶん使っている鶏肉が相当いい。家のフライパンで焼く鶏肉とはまったく別の食べ物である。
見た目のインパクトとは裏腹に、鶏肉本来の美味しさをしみじみと味わうのが高千穂の焼き鳥なのだと思う。それと、あたたかい状態で食べたほうが絶対においしい。
どこまでが可食部か分かっていないのだが、口に入れればたいていは噛み砕ける。丁寧に分解するのも大変なので、内なる野性を解放してかぶりつくのがいいだろう。
ボリュームがあって一度食べ始めたら手をおろす頃合いがわからないのが唯一の難点である。どう考えても箸と茶碗に持ち替えて白米を食べるタイミングがないのだ。おにぎりを用意すればいいのでしょうか、だれか教えてください。
旅行者のみなさんいいですか。高千穂にきたら肉屋で焼き鳥、スーパーで鶏のたたきを買ってください。どちらも地域性があるうえに地元住民の生活に根付いているものなので間違いないです。

