特集 2020年2月24日

向かいの電車からリモコンは使えるか(デジタルリマスター)

山手線の東側、田端から田町までのあいだ山手線と京浜東北線がくっつきそうになるぐらい接近して並走する。

向かいの電車の人と目があって照れるのも都会の情緒のひとつだが、あれだけ近かったらリモコンがきくのではないだろうか。

片方の電車にリモコンで操作できるものを持ち込んで、もう片方から操作するのだ。

電車をまたいでリモコンはきくのか、実験してみました。(2010年3月の記事を写真を大きくして再掲しました)

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

前の記事:「あ、こいつできる」って見られたい(デジタルリマスター版)

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リモコンはカメラにした

向かいの電車のテレビのチャンネルを変えたがったのだが、電車のなかでコンセント電源で動くものは難しい。

ひとり取材でよく使っているカメラリモコンを使うことにした。離れたところからシャッターをきることができる。

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カメラ用リモコン。ひとり取材ではわりと必須アイテム
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左に立っている僕がリモコンでシャッターを押す。(カメラは構えているだけでシャッター押してません)
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これぐらい離れちゃっても撮れる

けっこう届くんでこりゃ楽勝だ

目測で5メートルは届く。これならばっちりだろう。京浜東北線と山手線のあいだはたぶん1メートルも離れてない。

楽勝だ。

実験は東京駅と浜松町のあいだで実施した。

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京浜東北線にリモコンを受信するカメラを持って乗るのはべつやく&藤原チーム
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そして山手線にリモコンを持って乗るのは般若の面をかぶった林

目立つように般若にした

「目立つように」ともっともらしく書いてみたが、並行して走る電車に般若が乗っていたら面白いと思ったからだ。般若が乗っていたら京浜東北線ではなくて怨念東北線だ。

いや、勢いで書いてしまったが般若が乗るのは山手線だった。

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こんな写真が撮れたら実験成功である。
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上の写真は止まっている電車で撮った

並走する電車からリモコンはきくのか。赤外線は届くのか実験開始である。

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予想以上にきれいに並走してくれない

東京と浜松町のあいだを1時間以上往復してみたが、なかなか同じ速度で並走してくれない。
この区間、京浜東北線は快速運転なので山手線を追い越すのだが、

・山手線が停車・減速中に追い越すことが多いのできれいに並ばない
・同時に発車すると並走確実なのだが、同時の発車はめったにない
・3分以上遅れて出発すると追いつかない
しょっちゅう並走していたのは気のせいだったのか。並走は追いかけると逃げてゆく恋のようなものか。

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般若(林)が山手線で先発
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京浜東北線(快速)が追いかける
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でもなかなか追いつかなかったり
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追い越しが停車中で速度差が大きくて目で追えなかったり

リモコンを押すほうも緊張する

同じ速度で並走してくれれば止まっているのと同じなのでリモコン操作も簡単だが、速度差があると慌ててしまう。

慌ててリモコンを連打するさまはアクション映画に出てくる小心者の悪者のようである(テンパって銃を乱射してそのあと一発で撃たれる)。そうか、僕はあれか。

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失敗しては急いで反対側に乗り換える
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出番のない般若

あと、般若の面をかぶっていると前が見にくい。

べつやく・藤原のカメラ班が接近してきたかどうかが分からないのだ。そしてひとり山手線のなかで般若の面をかぶるのは恥ずかしい。照れ隠しに面を見て

「へー、こうなってるのかー」

などとぶつぶつ言ってしまったことでいっそう近寄りがたい雰囲気になっていたと思う。

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こんどこそ!と乗り込む(たぶん10回目ぐらい)

でもついに成功

そして開始から2時間すぎ、並行して走る電車からリモコン撮影に成功した。

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向こうの電車から般若がリモコンを押して、こちらのカメラのシャッターを押して自撮りしている

面の上から不安げに僕が顔をのぞがせている。前ページに載せた予想写真とは違ってリアルな表情である。

般若でひとりという状況も大いに不安である。

しかし表情の問題ではなかった。今回の主旨は電車をまたいでリモコンが使えるか、ということだった。

結論は「使える」だ。

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追い抜かれる山手線の中に般若がいる

リモコンは向こうの電車から使える

簡単な実験かと思ったが、並走する電車に乗る困難さという伏兵が現れた。

しかし成功してほっとしている。そうでないと般若のおもしろ写真集みたいな記事になるところだった。

知人はあの並走区間について「向かいの電車に乗ってる異性に一目惚れする人もいるはずだ」と言っていたが、並走は狙って乗れるものではないのでキュンとしたらきっとそれは運命だと思っていいと思います。

般若まで出たのに恋の話で終わる意外な展開に驚いている。

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実験成功
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解説)ここから10年経って2020年になります

いかがでしたでしょうか。2010年の記事のデジタルリマスター。ちょうど10年前ですね。

この撮影はインドのビザを申請したあとに行ったのでよく覚えています。2010年3月下旬でした。

ビザは2010年のエイプリルフールのデリーでの「デリーポータルZ」という企画の準備のためでした。(当時は事前のビザ取得が必要だった)。

2010年はじめに主力ライターの住さんが会社に専念したいという理由で休載が決まり、サイトが盛り下がらないように自腹インド企画を決めたものの、インドはぼったくられるというし、デリーで本当に盛り上がるのかもやもやを感じながらの撮影してましたが、写真を見る限りわからないですね。

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撮影前の写真。大北くん読んでいるのは地球の歩き方インド。

ちなみにこの記事に登場するカメラは表面に貼ってある合皮が劣化してベタベタになったのでもう使ってません。

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