特集 2024年8月28日

レバ刺し好きの希望の星、さしみ〜との「牛レバーハム」

食品衛生基準をきっちりとクリアし、分類上は「ハム」でありながら、味や食感はレバ刺しそのもの。

そんな驚きの商品を見つけたので、同ブランドの気になるその他も含め、いつくかを食べてみました。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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もはや遠い記憶

インターネットを徘徊していて、偶然に気になるものを見つけました。

「牛レバーハム」という聞き慣れない名前の商品なんですが、その見た目がもう完全に、懐かしの「レバ刺し」なんです。

かつては焼肉店や居酒屋などで普通に食べることのできた、牛や豚のレバ刺し。食品衛生法に基づき、2012年から牛、2015年から豚の、生食用として販売や提供が禁止され、幻の存在となりました。

僕も大好きだったので、当時はその状況に絶望していたのですが、考えてみれば、そもそも食中毒などの危険性が高めの食材。当然といえば当然だなと思うようになり、いまやすっかりその存在を忘れてしまっていたくらいです。

ところが! その生レバーハムの写真を見た時に、どきりとしたんですよね。うわ、そうそう、こんなだった、レバ刺しって。そして同時に、ごくりと鳴ったんですよね。のどが。

サイトの説明を読み、間違いなく安全な商品であるらしいことを確認し、さっそく購入してみました。

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牛レバーハムといくつかの商品
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手作りハムの老舗が手がけた商品

さて、いきなり情報量が増えてしまって面目ないですが、牛レバーハムの他にも気になる商品があったので、通販サイトのラインナップのなかから、4種類を買ってみました。なかには、同じく販売提供が禁止されている「牛ユッケ」を再現した商品までありますよね。

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シリーズ名は「さしみ〜と」

製造販売しているのは、手作りハム専門の老舗「Meフードシステム」。その製品のなかに「さしみ〜と」というブランドがあり、どれも食肉加工品でありながら、“生肉感”があるのが特徴のよう。

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原材料はかなりシンプル

さしみ〜との詳細を公式サイトから引用すると、

「さしみ~と」とは、限りなく生に近い触感を持った製品で、塩と亜硝酸のみを 使った添加物一切無しのハム製品の総称です。
「さしみーと」のレバーは2段階の殺菌工程を踏んだ、安心・安全に食べられる加熱 食肉製品です。
 第1の工程は、手作りハムの技術である「塩せき」でレバーを加工。独特の臭みが消え、ハム特有の「コシ」が生まれます。
さらに、厚生労働省が定めた低温殺菌(中心温度63度30分間加熱)を施します。
この2段階の工程により、歯ごたえを保ったまま安全性とうまみを最大限に高める ことが可能となりました。

ということになるようです。

端的に言えば「信頼と実績のある専門業者が、安全性をじゅうぶんに考慮して作った、基準をクリアした商品」ということでしょうか。

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レバー&ユッケ晩酌

ではでは、ひととおり前置きは終わりましたので、実際に味見していってみましょう!

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すべて冷凍品。冷蔵庫で解凍します

まずは当然「牛レバーハム」から。内容量は50gで、販売価格は税込み819円。

解凍したものをまな板の上に出してみると……

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どすん

え!? これ、ハムなの? ど、どう見てもレバ刺しなんですけど……合法の品とわかっていても、なんだかドキドキするんですけど……。いいんだよね? 食べちゃって。いいって書いてあったもんね。何度も何度も確認したもんね。しかし、いや〜、なんだか手が震えるぞ。

おずおずと包丁を当ててみると、そのサクッとした手ごたえに、一気に記憶がよみがえります。そうだったそうだった! まだ食べてないけど思い出した。新鮮な牛のレバ刺しって、まずこのサクッと軽快な食感があって、それから徐々に口のなかでとろけていくんだった。

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カットしてお皿へ

さて、せっかくなので今日は、とことん悪い遊びをしてしまいましょう。レバーと一緒に、ユッケも開けちゃえ!

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「牛ユッケ生ハム」

内容量は、肉が50gにたれが15g。価格は819円。これまた、見た目はユッケとしか言いようがありません……。

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たれを絡めて
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お皿へ

では、いよいよ牛レバ&ユッケ晩酌といきますか〜。

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どーん!

ごらんください。この、とても令和の日本とは思えない卓上の光景。くれぐれも、合法ですからね?

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艶めかしい……

まずはレバーから。

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にんにく醤油で

ゆっくりと口へ運び、さくりとした歯ごたえを感じた後、もぐもぐもぐと味わってみる。その瞬間、10年以上ぶりの感覚が、脳内にぶわぁっと広がります。あ、これもう、完全にレバ刺しだ! これだこれだ、あのころ食べてた!

あえて脂肪の多すぎない、豊かな牧草で育ったオーストラリア牛にこだわったという牛レバーはとろりと甘く、そして、くさみではなくて牛レバー独特のクセというか風味がある。それが、あまりにも懐かしうまい。

これ、もはや“擬似タイムマシーン”ですよ。すかさずビールをぐいっとやったら、なんだかセンチメンタルな気持ちにすらなってきてしまいました。

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間髪入れずにユッケもいきます

ユッケはまぁ、牛肉をレアに調理することによって、似たものは作れますからね。レバーほどの懐かしさはないんですが、それにしてもうまい。

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卵黄を加え
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崩して

こっちも完全に、味はユッケそのものです。

さて、ここからが本番とも言えるゾーン。レバ刺しといえば究極は「ごま油&塩」じゃないですか。あんなに合う食材と味つけの組み合わせって、なかなかないってレベルですよね。そこで、お皿に残ったレバーにごま油と塩を思いきってかけてしまいましょう。

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出たー!

泣く子も黙るこの光景。そうそう、ごま油をまとったレバーの表面の塩が、時間の経過とともに少しずつ溶けだして、その融合感といったらないんだよな。

こちらも、うやうやしくいただいてみると……もはや、なにも言葉を発したくないっす…… 僕は今、夢でも見てるんでしょうか……。

⏩ 他にも気になる「牛とろタルタル」と「ホワイトハム」

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