特集 2023年3月13日

学生の考えた「テクノロジーを使った立体謎解きゲーム」発表会に行ってきた

ハリーポッターの世界

いよいよ最後の作品。作品名は「魔法の本の謎」である。

制作したのは山田 柊太さん、梅原 渚さん、前田 天良さん。

挑戦するのは おなかソフト代表取締役伊藤 周さん。

何をやっているかと言うと、魔法の本の表紙に書かれた通りに杖を振っている。

まさかとは思うが、そのまさかである。

ウィンガーディアム・レビオーサ!
本が浮遊するのではなく、ゴゴゴゴ…と音を立てて本が勝手に開いた。

クリックすると魔法の杖を振る場面から再生されます。

実際は何回も杖を振っていたのだがなかなか反応せず、何十回目かの挑戦でようやく開いたのであった。頭の中にドリカムが流れていた。

魔法の杖の仕組み。練習ではうまくいっていたが​​​​本番は外光があったり生配信用のカメラの赤外線をとらえてしまったりで苦戦したようだ。アドバイザーの先生に終了後「だから早めに完成させてテストするよう言ったじゃん~笑」と言われていた。いやこれ、めちゃくちゃいい経験をしているな……。社会に出てからもよくあるのよ……。

精度の面で苦戦はしたものの、魔法の杖を振って本が開くというギミック自体はすばらしいアイディアだ。日常にない体験をさせてくれる。技術の力で魔法を再現しているともいえる。

開いた本はパズルになっていた。左のページの魔法陣の問題を解いてパズルのピースをゲット。

伊藤さん「面白い!これ、(パズルを完成させると)もしかして…」

あたらしい杖の振り方が出てきた!呪文を教えてくれるパズルだったのだ。

謎解きの醍醐味ともいえる「これ、もしかして…」が出た。「これ、もしかして…」の結果うまくいったときの快感と言ったら。その快感を味わいたくてずっと謎解きをやってしまうのだ。

でもいざ作る側にまわると、「これ、もしかして…」を意図的に起こさせるのってけっこう難しい。独創的な仕掛けをつくるだけじゃダメで、プレイヤーがその仕掛けをクリアできるようにうまく導く必要がある。ただし、誘導しすぎると今度は達成感が無くなってしまう。

というわけで新しい呪文を唱える。
ゴゴゴ…。書見台の穴が回転して鍵が出てきた。
鍵を開けると次のページに行ける。
おわり!賢者の石ゲット!

いや~面白い。とにかく杖を振るという体験が面白かった。

単に杖を振るだけだと謎解きの要素が少なくなってしまうのだが、実際には魔法陣やパズルを解いた先に「杖を振る」という体験があるため、達成感が大きい。

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謎解きを終えて

謎解きを終え、ゲストからのメッセージが伝えられる。学生に向けられたメッセージの中には、コンテンツ制作者全般にとって響くものも多くあった。

中村先生「2年生が作っているとは思えないぐらい、デバイスの完成度が高く驚きました。仕組みだけ作るのではなく、世界観がちゃんとできているのも良かったです。」 

 誕生日プレゼントの飾りつけはとてもリアルだったし、レーザー加工された魔法の本はアンティーク感を醸し出していた。こういう細部へのこだわりが大事だなぁ。(筆者自身にとても響いています。)

アドバイザーとして学生をサポートしてきた?瀨 洋平先生「皆さん苦戦されたのが、思いもよらないところでプレイヤーが引っかかってしまうということだと思います。早く作ってテストプレイを重ねることでカバーできます。他にも、たとえば無線の発話デバイスを仕込んでおいてオペレータの声を加工してAIの声っぽくヒントを出すことでもカバーできます。また、正解したときに効果音を出すとよりわかりやすくなります。」

プレイヤーの達成感を損なわず、うまく誘導するのがゲーム設計の大事なポイントだ。すでに様々なノウハウが確立されているようだ。

橋本先生「2年生のゼミの目標である、『考えたことをみんなで議論しながら完成に持っていく』がしっかりできていたと思います。君らとして成功を感じている部分もあれば出来なかったと感じている部分もあると思います。それを今後の糧として生かしてほしいです。」

「考えたことをみんなで議論しながら完成に持っていく」という機会は社会に出てからもたびたび発生する。これを大学2年生の時点で濃密に経験できるなんて羨ましい……!いいプロジェクトだなぁ。


謎解きは、おもてなしである。

最後に自分にも語らせてほしい。謎解きとは、おもてなしである。

すなわち、「プレイヤーが心地よくなれるかどうか」が謎解きの良し悪しを測るうえでの最重要指標である。難しければ難しいほど良いというものではない。むしろ逆で、簡単であれば簡単なほど良い。なぜなら、心地よくなるための前提条件として、「クリアすること」があるからだ。しかし、簡単な謎は達成感が少なく、結局心地よさが減ってしまう。そこで大事になってくるのが、「簡単な謎を難しく見せかける」というやり方だ。プレイヤーに「あれ、こんな難しい謎が解けるなんて、自分天才かも!」と錯覚させるのが理想である。(実際、それができたら苦労しないんですが……。)

上記は難易度調整の話だが、それ以外の部分でもプレイヤーに心地よくなってもらう余地はある。世界観に没入してもらうためにデザインにこだわるのもそうだし、システム内のヒント提示もそう。正解したら音を出すなどのユーザーを迷わせない工夫もそう。すべてがおもてなしの精神につながっている。

これって、謎解きに限らずゲーム全般がそうだし、もっと言うとゲームに限らず、多くの製品やサービスにも通じる部分がありそうだ。今回の発表会でいろいろ学ばせてもらった。

会場ではうまく話せなかったのでここに書きました。

 

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