特集 2023年3月13日

学生の考えた「テクノロジーを使った立体謎解きゲーム」発表会に行ってきた

感心と感動

これで1作品目がおわり。無事に解けてホッとするとともに、「よくこんなの作れるなぁ」という感心と感動でいっぱいだ。

父から娘への誕生日プレゼントという設定が箱の飾りつけ、ピアノの鍵盤のシール、ピアノの自動演奏など、様々なところで表現されていた。謎解きの解き筋とは関係ないところで世界観に浸るための工夫がされていたのだ。もちろん電気仕掛けの仕組みも素晴らしいのだが、こういう細やかな配慮にグッと来た。

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制作したのは渋谷 美奈子さん、田中 優亘さん、岩田 基暉さん。

電子ピアノを軸に作ったのかと思いきや、意外にも出発は卵型の容器だそう。当初は加速度センサーを使ってみたりいろいろ試していたが、紆余曲折を経ていまの形にたどり着いた。

学生にとって、このプロジェクトは本当に良い経験になるだろうなぁと思った。たくさん試して、たくさん失敗して、最終的に完成させる。これを大学2年生で経験できるのは羨ましい。

技術的な仕組みが気になる人向けに、電子ピアノの入力判定の仕組みを載せておきます。電子ピアノの信号をArduinoという小型コンピュータでフックして判定し、無線でサーボモーターを動かして開錠しています。
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爆弾を解除する

なんとまだ1作品しか紹介できていない。あと2作品もある。

つぎの作品名は「爆弾解除」。かなり物騒なパズルデバイスだ。

制作したのは桶谷 怜生さん、趙 勇気さん、塩田 蒼さん。手前の黒い装置が爆弾である。
爆弾解除に挑むのは中村 隆之先生。神奈川工科大学の特任准教授であり、人気パズルゲーム「もじぴったん」の元プロデューサーでもある。我々の命は中村先生に託された。

黒い装置に白いデバイスを挿入すると……

なんか表示された。じつはこれは2次元コードが歪んだもので、黒い装置のツマミを調整すると正しく表示されるようになる。

しかしこのツマミの調整操作が非常に難しく、 これだけで制限時間15分のうちの8分も使ってしまう。爆死の可能性が現実味を帯びてきた。

なんとかして歪みの調整に成功。もうこれだけで飲み会に行っていいぐらいの達成感。

2次元コードをiPadで読み込むと次のステージに進める。そして、この白いデバイスを抜いて別の挿入口に挿入する

先ほどの白いデバイスにちがう情報が表示された。ツマミの操作も変わっている。

先ほどと同じ白いデバイス・同じツマミなのに、挿入口が変わると表示内容も操作方法も変わる。えぇ~。どうなってるの~?

技術的な部分の種明かしをすると、挿入口(コネクタ) はすべて1つのPCにつながっていた。PC側で状態管理をして画面出し分けをしていたようだ。

技術の力で「あっ」と言わせるような体験を実現している。まるで手品のような謎解きだ。 

圧巻だったのはこちらのギミック。

どう圧巻なのかの説明がめちゃくちゃ難しいので図にした。

デバイスを駆使してARを表示させる。こんなにも複雑な仕掛けなのに我々に用意されたのはツマミ操作だけだ。本物の爆弾解除班さながらの緻密な作業が求められる。

プレイ開始から26分後、制限時間15分を大幅に超過し、制作者にヒントをもらいながら最後の仕掛けをクリアした。

やれやれ。みんな笑ってますが爆弾はとっくに爆発しています。ここは冥界。

シンプルな見た目でありながら複雑なギミックが組み合わさっていてなかなか骨太な謎解きだった。上級者向きだ。制限時間無しでじっくりやりたい。

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