せこなおさんのアトリエへ
プロのぬいぐるみ作りのやり方を知りたいと吹聴していたら、なんと、取材させてもらえることになった。やった〜!!
取材するのはぬいぐるみデザイナーのせこなおさん。
せこなおさんは、企業からの依頼を受けてぬいぐるみを制作している。マンガのキャラクターなどの2次元の絵を、ぬいぐるみとして3次元にする仕事だ。
工場で量産するためのモデルとなる最初の1体を、型紙からデザインしている。量産することを前提にするため、工場での作りやすさなど考えてデザインしているそうだ。
自分のオリジナルブランドから企業のキャラクターまで、幅広くぬいぐるみを作っているせこなおさん。果たして、どうやって作っているのだろうか。
ぬいぐるみの作り方
とりもち ぬいぐるみは、どういう手順で作ってますか?
せこなおさん まず型紙を作ります。元のイラストからペーパークラフトを作って、それを開いて型紙にします。できた型紙を布に写して、ぬいぐるみにする流れですね。
〜ぬいぐるみ作りのながれ〜
①元のイラストを、ペーパークラフトで立体化
②ペーパークラフトを開いて、型紙にする
③型紙を布に写して裁断
④ミシンで縫う
⑤綿詰め、仕上げ
まず型紙作りから始まるのだ。でも、私はこの型紙作りが出来ない。型紙があれば、同じものをたくさん作れるのだが、全然やり方がわからず、毎回1点ものになってしまうのだ。是非とも作り方を知りたい!!
型紙作り
とりもち 型紙ってどうやって作るんですか?
せこなおさん まずは完成イメージの絵を描いて、それに合わせてペーパークラフトを作っていく感じですね。
せこなおさん 私は最初、斜めの位置から描くことが多いです。厚みなど、立体になったイメージを把握しやすいから。その後、正面と横からの絵も描きます。
とりもち なるほど。斜めからだと立体を想像しやすいんですね!
とりもち どうやって絵から立体にするんですか?
せこなおさん 紙風船って、ばらすと6個のパーツになってるじゃないですか。だいたいはこの応用です。
せこなおさん 型数を6個に分けると多すぎるから、じゃあここはひとかたまりにしようとか、形に無理が出てきたらここを割ろうとか考えながら作っています。紙よりも布の方が伸びるから、その伸びを利用して型紙にしていく感じですね。
せこなおさん 全ては紙風船の変形なんですよ。これを紙で作って、テープで貼ったりはがしたり切ったりを繰り返しながら、理想の形になるまで繰り返します。
とりもち すごい......!まずは紙で完璧な形に作るんですね。
せこなおさん 私はもう慣れてるので、紙の段階でわりと完璧な形にしてますね。でも、紙での加減がわからないうちは縫ってみた方が早かったりもします。布によって伸び加減が全然違うので、一回布で縫ってみると、そこからどれぐらいプラスにする、マイナスにするっていう調整をすることができるので。
とりもち 型紙を作るのにどれくらい時間かかりますか。
せこなおさん めっちゃかかりますよ!ここがいちばん時間がかかります。難しいものは何度もやり直して、数日もかかることもありますね。
型紙作りって、そんなに時間かかるんだ……!!やっぱり大変な作業なんだな……。
レーザーカッターで切る
型紙が出来たら、次は布の裁断である。
とりもち これ、レーザーカッターですか?
レーザーカッターはレーザーで焼くことで材料を切る装置。パソコンでデータを作れば、木材でもアクリルでも板状のものを好きな形に切れる。
せこなおさん そうなんですよ。布を切るのに使うんですけど、ぬいぐるみを大量に作ってる人は絶対導入した方がいいと思う。綿とかは燃えちゃうので化学繊維しかだめなんですけど。
せこなおさん 輪郭を全部切るとバラバラになっちゃうので、輪郭の一部を繋げてギリギリ繋がってるように出力調整するのがコツです。
せこなおさん 布を切るのって、それだけで1時間とか2時間とかかかっちゃうじゃないですか。でも、レーザーカッターなら、データ作っちゃえば1分ぐらいで切れちゃうんで。データはイラレで作ってます。
これなら一気にたくさん布パーツを切り出せる。手で切ると微妙な誤差が出るけど、これなら均一だし、早い!!まさかこんなやり方があったなんて!!
縫う、わた詰め
裁断が終わったら、次はミシンで縫う作業。
使うのはこの工業用ミシンである。
普通の家庭用ミシンとはパワーが全然違う。分厚い生地でも楽々縫えるのだ。ただ、ガシャン、ガシャンと、銃の弾の装填のような音がしてちょっと怖い。あとスピードが尋常じゃなく速いのだ。
毛が長い生地は、毛を内側に入れるように縫うと、裏返したときに綺麗らしい。
ミシンのあとは、綿をつめる作業。
とりもち これはなんですか?
せこなおさん これはぬいぐるみに綿を入れる道具ですね。なんでかわからないけど、先っぽがこの形状だと綿が逃げなくて綺麗に詰められるんですよ。私はわりとマイナスドライバーも使ってます。
せこなおさん シュシュっと細かいところも入っていきます。ピンセットでやることもあるんですけど、マイナスドライバーの方が奥まで綿が入ります。
仕上げにはブラッシングすることも。
犬のブラッシング用のブラシに似ている……!!昔犬飼ってたから、探せば実家にあるかも……!!
全然知らなかったぬいぐるみ専用の道具が沢山あって驚きだ。最後に縫い目をブラッシングするだけでも、ぬいぐるみのクオリティがグッと上がる……!!

