焼き芋会のときに知った芋の種類の多さ
子どもの頃の芋に対する誤解は、子どもといっても相当子ども、幼稚園に入るか入らないかくらいのことだと思う。
みんなで近くの公園で落ち葉の掃除のあとに焼き芋をやったときだ。「じゃがいもとさつまいも、どっちがいい?」と聞かれて、「え? どういう意味?」と思ったのだ。
間髪入れず、周りの子どもたちが「さつまいも!さつまいも!」と言ったので私も合わせて「さつまいも!」と言い、そのときに芋に種類があることを知ったのだった。
ものすごくヒヤッとした。危なく私の無知がばれるところであったと。その「ヒヤッと」のインパクトの強さのおかげででこの事件を覚えている。これ、おそらく私の一番古い記憶なのだ。
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じゃがいもはトマトでさつまいもは朝顔
そもそもじゃがいもとさつまいもは同じ芋だが植物としての源流はかなり違うらしい。
じゃがいもはナス科(ということは、トマトも仲間!)で実態は“茎”であり、さつまいもはヒルガオ科(朝顔と仲間!)で実態は“根”なのだ。へ~!
単純にじゃがいもに砂糖を入れてもさつまいもにはならないことは十分承知の上で、でもさつまいもっぽい物を作るとしたら、さて、どれぐらいの分量の砂糖を入れればいいだろう。
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じゃがいもとさつまいもの甘みの量を比べて足りない分を砂糖で補えばよいと思うのだが、食品成分表を見ても単純な「甘味」の量というのは出ていない。
手探りで100gのじゃがいもに20g砂糖(きび砂糖を使いました)を投入してみた。
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すりつぶすようによく混ぜて、試食。
あ。これは。
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白あんだ
とっても甘かった。ああ、これ白あんだ、と思った。
じゃがいもの味が遠く薄れ、そこにあるのは あんこ だった。味的には美味しい。調べると世の中には“じゃがいもあん”というのもあるらしい。それを作ってしまったな。
このじゃがいもあんについてさらにネットで調べるうちに衝撃の事実が発覚した。
なんと、さつまいもが手に入りにくいヨーロッパに住む日本人の方がさつまいも味を楽しむため、このじゃがいもあんを作っているという文章をみかけたのだ。
幼い頃の私の誤解が遠くヨーロッパとつながった……!
情報、さらに集まる
慌ててロンドンに居住経験のある友人に確認したところ、さつまいも食べたさにじゃがいもに砂糖を入れたことはなかったそうだが、「あんこ」を作るためにじゃがいもに砂糖を入れたことがあったらしい。
「それが、なんとなくさつまいもの味がしたような……気がする……かも」確かに友人はそう言った。
ここへきて、じゃがいもに砂糖を入れたらさつまいもになる説が帰ってきた!
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苦戦の末、できたさつまいも
友人のレシピを元にしつつ何度か作り直し、最終的にイモのほくほく感を残しつつ、じゃがいも特有の野菜の味を甘みで押さえるというところまでたどり着くことができたのだった!
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見た目でさつまいもっぽくしよう
それでも、さすがに「え、これさつまいもでしょ?」と見まごうほどには残念ながら到達しなかった。
せめて、できあがったこの甘いじゃがいもに、さつまいもらしい赤い皮をつけたい。
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オーブンで15分ほど焼いた。ふわーんと、粉とバターのにおいがして、自分は何をやっているんだっけという気にもなったが、さて焼き上がりはどうでしょう。