napoliの「クローネ」
そのずっと気になっていたアイスというのが、この「クローネ」だ。「napoli」というアイスクリームブランドの商品である。
形としては「ピノ」というかなんというか、ただ単純に、一口サイズのアイス、なのだろう。
こういった形のアイスクリームはゴディバからも昨年発売されるなど珍しいものではなのかもしれない。
しかしこの形を見て「ピノじゃん!」と旧友を見つけたように近寄りたいこの気持ち、わかってもらえると思うのだ。
この「クローネ」を擁する「napoli」というアイスブランド、紀ノ国屋でなくとも一般的なスーパーでもたまに見かけることがあった。
箱に入った棒のアイスクリームが5本入りで600円ほどし、普段から最安(願わくば170円台)の箱だけを目指し行く者としては恐れ多い存在である。
ハーゲンダッツのような華々しいみなさまご存じの高級品の裏で番を張るアイス界の裏番長のようにも感じる。
「ピノ」と「クローネ」を並べる
なにしろやりたかったのが、相似であるピノとクローネを一度並べてみたかった、これに尽きる。
値段は紀ノ国屋で買った「クローネ」の価格が648円(!)。
まいばすけっとで買った「ピノ チョコアソート」の価格が398円。
さらに言うと「クローネ」は18個、「ピノ チョコアソート」は24個入りなんである。
つまり「ピノ」が一粒約17円なのに対し、「クローネ」は一粒36円、倍以上する。単純に、お高い!
だってピノが右手に2粒あったら、クローネは左手に1粒しかない。それで同価なのだ。こんなことがあっていいのか。起こる焦燥と胸騒ぎ。いてもたってもいられない。もし私という港に船が停泊していたとしたら全船即時出港である。碇をあげろ~!
出る船を見送り、これで記事を終えてはいけない。内容をちゃんと見よう。
「クローネ」、小さいようで小さくない不思議
取り出し手に取って、おっと思った。クローネ、もしかしてピノよりちょっと小さいのか……?
開封し観察すると、ピノがおなじみの円錐台の形をしているのに対し、クローネはパッケージよりもころんとした印象だ。上下に突起があってかわいい。
クローネは、縦に長く横がコンパクトなので小さく見えたのかもしれない。
実際、いくつか重量を測ってみたところ、ピノが一粒10gなのに対し(どれもぴったり10gですごい)、クローネはどれも一粒11gでむしろクローネの方が若干ではあるが重かった。
クローネ、からみつく美味しさ
両方、バニラを割って断面を観察すると、見逃しそうな差異ではあるが、ほんの若干クローネのほうがチョコが厚いように感じた。
そしてアイス部分、ピノが雪のような白なのに対し、クローネは陶器のように断面が均一で青を感じる白さだ。バニラアイスとしてはちょっと見たことのないタイプの色だなと思った。
ここいらで、もったいぶらずにスッと食べてみよう。
ピノはご存じ安定の味、しっかりした、安くない味わいのチョコにこちらもちゃんとした濃厚さを保ちつつもさっぱり味のアイスクリームがすっととける。
対してクローネも当然、コーティングのチョコがしっかりしていておいしい。そして、アイスだ。アイスにかなり個性がある。ヌルっ、クニュっとした食感で口内にしっかりからみつくのだ。
うおおお、そりゃそうなんだけど、違い、あるものだな。チョコ味も 食べてみようぞ。
ピノについては、昔からある商品だけに特にチョコ味は子どもっぽい味のような記憶があったが、チョコならではの苦みが魅力的ででむしろ大人向けの味ではと思うくらいだった。
クローネは、やはりチョコ味もぬっとした独特の食感がある。チョコらしい甘い苦みはクローネの方がパンチが強いように感じた。
高級さがうなりを上げるのはやはりフルーツなのかもしれない。
いちごが、フルーツのいちごとして高い解像度でいる。いちご果汁5%とパッケージにあったが、なるほどいわゆる駄菓子の「いちご味」とは俺は違うのだというプライドと気概が目に見える、甘酸っぱいまさにいちご味だった。
ホワイトチョコレートとも究極に合う。クローネを買う意味は、一旦はこのいちご味にあると言っておいてもいいかもしれない。
ピノのアーモンドは完全においしいです。桃太郎のきび団子はピノのアーモンドでもいいと思ってます。犬猿雉になり代わり、絶対私がお供する。
napoliの上位モデルLa Napoliあらわる
ピノのいつものおいしさを確かめ、そして未知であったクローネを知りその実力をくらって一件落着だ。
が、ここで、クローネの属するアイスブランド「napoli」の上位ブランド「La Napoli」にもピノみたいな商品があることを発表せねばならない
裏番長を倒したその先に、大ボスがいるパターンだ。
紀ノ国屋で、隣に並んで売られていたのだ。「La Napoli Picco Assort」である。
こちらは15入りで738円。一粒49円する。ピノが一粒17円であるのと同じ世界線でこの価格。ちょっとは手加減してほしい。
フレーバーは、ピスタチオ、ティラミス、塩キャラメル。
濃厚で舌触りの良いピスタチオアイスクリーム、北海道産マスカルポーネを使用したクリーミーなアイス、カリっとした食感のバタースカッチフレーク……コピーライターさんの筆も乗るとやりたい放題のラインナップ。
ピノにもこのように凝ったフレーバーが季節品として出ることがある(現在も6個入りで「バスクチーズケーキ」が出てますな!)。その高価格帯と読み替えてもいいかもしれない。
骸骨がうまいと言っている
ピスタチオは口に含み少し歯をたてたところで、冷たさの中にしっかりしたかおりが一気に鼻に抜け頭蓋骨全体で美味い。
塩キャラメルはキャッチコピー通りバタースカッチのフレークがポリポリとしっかり食感として現れ、噛むごとに甘さのなかに塩味がはじけ出す。口内で塩がはじける感覚は初めてかもしれない。
ティラミスはあのおなじみのくにゃっとしたバニラアイスをなめていくうちにしっかり苦いエスプレッソソースがどろりと流れ出し上質な甘いと苦いが融和する。
ああ。
ああ!!!
……最終的にうっかりただの「うまいもん紹介」になってしまった。
良いことがあった日のお祝いや贈り物の最適品として真顔で掲載し記事を終わらせ帰港する次第です。
いつものやつと高級品を食べ比べるお話、動画もあります!
今回は一人旅でしたが、ライターの小堺さんと一緒にいつものやつと高級品を食べ比べる企画があるのでした。こういうネタがどうしても好きなんだ。
ディレクターは西垣さん。よかったら合わせてみてみてほしいです!
最近は粉のコーンスープの、いつものやつと高級品を比べて飲みました。