粉001 ハクリキコ | ||||||||
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粉002 キョウリキコ | ||||||||
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粉003 カタクリコ | ||||||||
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ファンファンファンファン、、キキー! バタン! タッタッタッ
「……くそっ、逃がしたか」
「警部! これ、見てください! 荷台から落し物ですよ」
「ん? なんだ? (なめる)。これは……コカインだな……!」
いきなり小芝居から入る盛り上がりで恐縮だが、ハードボイルド系の刑事ものでよくある“物証の白い粉をなめてそれが薬物であることを判断する”シーンである。昔はこういうの、よくあった。
デカは違法な薬物の種類がなめるだけで分かる! その格好よさに子供のころから今までずっとしびれ続けてきた。
私も白い粉を刑事さんみたいに見分けたい。薬物は無理だし怖いしそもそも違法なので、安全な白い粉を見分ける訓練をました。
※2007年5月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
私なりに刑事としての厳しい訓練をつむべく、白い粉を集めてきた。集めるといっても近所のスーパーでだ。もともと自宅にあるものも含め8種類が集まった。
・薄力粉
・強力粉
・片栗粉
・コンスターチ
・ベイキングパウダー
・上新粉
・お好み焼きミックス
・ホットケーキミックス
そう、薬物の代わりとして選んだ粉、それは食品である。身近でしかもひとたび袋から取り出してしまうと特徴を頭に叩き込んでおかないかぎり見分けることが難しい粉もの。
混ざっちゃうと、家庭では刑事事件並みにかなりやばい事件に発展するわけである。
スーパーにはかなりの種類の粉が売られていた。今回買ったものの他、中力粉のような素材はもちろん、揚げ粉やパンミックスなどミックス粉を入れるとその種類の多さにはきりというものがない。白い粉市場、活況だ。
選んだ8種類は刑事としてせめてこれぐらいは覚えておこうという初歩を考えてのセレクトとなった。
さて、それでは各粉をさっそく判別していきたい。訓練にあたってまずはそのプロフィールをまとめていこう。
粉001 ハクリキコ | ||||||||
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粉002 キョウリキコ | ||||||||
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粉003 カタクリコ | ||||||||
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粉004 コンスターチ | ||||||||
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粉005 ベイキングパウダー | ||||||||
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粉006 ジョウシンコ | ||||||||
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粉007 オコノミヤキミックス | ||||||||
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粉008 ホットケーキミックス | ||||||||
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やはり薄力粉・強力粉といった小麦粉類や片栗粉・コンスターチなどのでんぷん類のような同グループの粉は見極めも難しい。体でおぼえるつもりでなめ続けた。
対してお好み焼き粉やホットケーキ粉などのミックス粉はかなり味がついていて分かりやすい。しかも、この二つはもうそれ自体で美味しいのだ。ライター工藤さんが以前ホットケーキを焼かない生の状態で食べていたが、粉でもいけるんじゃないかと錯覚したほどだ(危険です)。
そんな具合でなめては答え合わせを続けていくうちに、だいぶ判断の精度が上がってきた。
利き粉って可能なんだ!
まだまだ訓練は必要だがかなり集中していたためさすがに疲れてきた。少し休憩を入れよう。
晴れた日、屋上でのんびり口のなかに残る粉の感覚を舌でコロコロるする。気分がいい。
そのとき! そんなさわやか気分をさえぎるように、すごい勢いで階段を上ってくる音がした。
「古賀さん! じ、事件です!」
あわてて覆面パトカーの助手席に乗り込むと、後輩刑事が車を急発進させた。着脱自在サイレンっていうのか、あの覆面パトカーに緊急時つけるやつをサッと乗せ、サイレンを上げて急ぎ現場へ急行する。
いた!
ホシの車が猛スピードで国道をつっぱしっていく。裏取引のリークがあったので張っていた貿易業を営む男だ。どうやらこちらの追跡に気づいて逃げ出したらしい。
「まてー!」
ホシは急カーブを切って道をそれた。そのとき、車の荷台から何か落ちたではないか。追跡は別のパトカーにまかせ、われわれは物証の回収にあたることとなった。
白い粉だ。これは……。
さらさらのさわり心地のなかにあるしっかりとした粒子感、そしてかすかに舌におどる米の味……。
「これは……上新粉だ!」
お団子や和菓子のお餅作りに用いられる、間違いなく上新粉である。
犯人は上新粉の裏取引をしているのだろうか。 別に表立って取引しても罪にはならないだろうに。
何事かという2ページ目で申し訳ないが、これがやりたかった私は大満足だ。
実際、撮影協力者に8種類の中から適当に1つ選んだ粉を落としてもらってずばり上新粉と言い当てることができたのだ。これ、本当です。訓練次第で素人でも白い粉を見分けることは可能なのだ。
刑事うんぬんはさておき、台所仕事の多い方は覚えておくと便利かと思いました。
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