いずれは純白ロール紙で元素周期表をつくりたい
ネットで検索すると「日めくりカレンダーのオリジナルデザインができる」という業者はあるけれど、あくまで台紙や広告部分にオリジナルのデザインができるという意味であって、カレンダーの中身そのものをオリジナルで作れて、純白ロール紙に印刷できる……というのは、なかなか無いようだ。
もし、カレンダー部分のデザインが、いちからできるのであれば、元素周期表の他にも、素数日めくりカレンダーや、歴代ローマ教皇日めくりカレンダーというのも作ってみたい。
ひらめきはいつも唐突だ。
先日、散歩していると「日めくりカレンダーで元素周期表を作ったらおもしろいのではないか?」と、おもいついてしまった。
いったいったいどういうことなのか、よくわからないかもしれないけれど、おもいついてしまったので、作らざるをえない。
日めくりカレンダーは、改めてみてみると、日付だけでなく、旧暦や日干支などさまざまな情報がきれいにまとまっており、意外と洗練されたデザインではないか。
おそらく、日めくりカレンダーをみるひとが、いちばん知りたいであろう日付の情報が真ん中にデカくかいてある。
もし、その日が祝日であれば、日の丸がバックに染め抜いてあって、休みであることがすぐわかる。
その他に、旧暦や行事などの細かな情報もフォロー。そしてなぜか下の方には格言がよく書いてある。
少し隠れて見えないけれど、上のカレンダーは、令和2年の横に「平成以来32年」という便利な情報も書かれている。「平成17年生まれだから、今年何歳だ?」みたいなことを考えるときに便利である。
少しサイズが小さめの日めくりカレンダーは、両サイドの情報部分が無くなり、上と下に情報をまとめている。
日めくりカレンダー、つい日付のほうに目がいきがちだが、最後の方をみると二十四節気の解説なんかが載っていたりして、なかなか親切だ。
そして、MEMO。
MEMO、実際に使われることはあるのだろうか。カレンダー部分にあるMEMOもなかなか味わい深い。
MEMO部分に、日記を書きつけてベリっと破って捨てずにまとめれば日付を書かなくていい日記になるかもしれないけれど、そんなこと、してるひとはいるだろうか。
あと、日めくりカレンダーのいいところとして特筆したいのは、紙だ。表がツルツルしており、裏がザラザラした薄いあの独特の肌触りのある、あの紙。あれがいい。純白ロール紙という種類の紙らしい。
靴を買ったときに緩衝材代わりにもみくちゃになって入っているやつとか、デパートの包装紙なんかに使われているやつだ。
数年前、あの純白ロール紙でできたメモ帳というものを売っていたので買ったことがあるが、何かを書き込むよりも、あの紙を触るのが楽しくて、メモ帳としては使ってない。
さて、今回はいろんな日めくりカレンダーを鑑賞するのが主眼ではない。日めくりカレンダー風の元素周期表を作るというのが目的である。
日めくりカレンダーをもう一度よく見てみる。書かれている情報は、年月日、旧暦、曜日、行事、月齢、日干支、MEMOなど様々であるが、いずれも日付や暦に関連する情報である。これって別に暦に関する情報じゃなくても良いのでは?
例えば、順番に番号が振ってあり、様々な情報があるもの……元素周期表の日めくりカレンダーがあればどうだろう。つまりこういうことだ。
原子番号を真ん中に大きく、左にその元素の発見年と発見者、元素記号、元素名、英語の元素名、中国語の元素名。右には族と周期から、元素の分類と特徴、原子量や融点沸点あたりを入れてみた。
下には、元素周期表のざっくりとした図と、豆知識。
せっかくなので、水素だけじゃなく、ぼくの好きな他の元素もいくつか作ってみた。
すべての物質の中でいちばん融点が低い。つまり、マイナス273度でも凍らない物質。ヘリウム。吸うと声が高くなるというおもしろ用途からは想像がつかない、みあげた根性がある物質である。
塩に含まれるでおなじみのナトリウム。毒物である塩素と結びついたときだけ塩化ナトリウム、つまり塩として人の役にたつ。しかし、単体のナトリウムは、水に触れると発火、爆発するという、めちゃめちゃアナーキーな物質だ。組織のコントロールを外れると、狂犬みたいになってしまうチンピラのような元素である。
刺激臭がするから臭い素で臭素。小学生のあだ名の付け方みたいな命名だけれどしかたない。臭いって名乗るぐらいだからどんなにおいがするのか気になるとおもうが、臭素はプールに入れる塩素玉のにおい、あれに似た刺激臭らしい。塩素と臭素は同じ族なのでなるほど納得だ。
ちなみに、臭素は英語で「ブロミン」とよび、写真の現像に使う臭化銀は「シルバーブロマイド」という。「アイドルのブロマイド写真」というときのブロマイドは英語の「臭化」の部分である。
みんな大好きな金。どうして金はこんなにも貴重なのか。いろいろ理由はあるけれど、その希少性というのも大きな理由のひとつだろう。
人類が、紀元前に金を発見してから今まで採掘してきた金の総量は、50メートルプール3杯半ほどしかないと言われている。佐渡の金山で、400年近くかかって掘り出した金の量も78トン。おそらくマンション一部屋分ぐらいしかない。
ただし、金は延展性に富む、つまり、めちゃめちゃ伸ばしたり広げたりすることができる。1gの金を横にズィーっと伸ばしていくと、2.8キロメートルもの金糸になる。
同じく、1gの金をガンガン叩いて平べったく伸ばすと、1平方メートルの金箔になる。金閣寺に使われている金も、削り落としてこねこねしてまとめると、たぶんビー玉かパチンコ玉ぐらいの量にしかならないとおもう。計算してないからわかんないけど。
ほとんどの人はもう「わかった」という気持ちになっているかもしれない。が、いちおう、どうやって作ったのか? というところを紹介して終わりたい。
まず、デザインである。文字だけの配置だから、素人でもできるだろう。と、甘く考え、自分で組んでみた。
しかし、やはり素人なので、しっくりこない。デザインが多少わかる妻に相談したところ、ガンガン直された。
続いて、完成したデザインデータをコンビニでプリントアウトし、ひとつずつ切り分け、家にあったレポートパッドにはりつけた。
で、完成である。
「厚みが足りない」とか「台紙を作りたかった」など、反省点はあるものの、おもいのほかちゃんとした感じになったので、ひとまずは満足している。
ネットで検索すると「日めくりカレンダーのオリジナルデザインができる」という業者はあるけれど、あくまで台紙や広告部分にオリジナルのデザインができるという意味であって、カレンダーの中身そのものをオリジナルで作れて、純白ロール紙に印刷できる……というのは、なかなか無いようだ。
もし、カレンダー部分のデザインが、いちからできるのであれば、元素周期表の他にも、素数日めくりカレンダーや、歴代ローマ教皇日めくりカレンダーというのも作ってみたい。
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