映えちらかしている店内がすごい
ラテやパンケーキの上に、食べられる粉で絵をかいて、料理を提供するカフェやレストランがたまにありますが、その絵を、客が好きなように描けるカフェが昨年、原宿にオープンしました。
好きな絵を好きなようにかいていい……。そう言われると、わくわくしませんか? ぼくはします。ただ、絵が得意ではないので、絵の得意な友人と一緒に行くことにしました。
今回、きてくれた絵の得意な友人は、イラストレーターで漫画家のトリバタケハルノブくんです。
現在、powderartcafeではサンリオとのコラボ企画(1年1月までの予定)で、サンリオキャラクターだらけとなっており、通常よりも映えの圧が強くなっております。
さっそく……と行きたいところですが、電子ラテアートペンはどんな感じなのか? 紙の上で試し描きできるというので、練習も兼ねてやってみました。
電子ラテアートペンの中には、色のついた食べられる粉の入ったカートリッジが入っており、側面のボタンを押すと、「ドゥルドゥルドゥル」と、先端から色の付いた粉がこぼれていき、絵が描けるというしくみになっています。
ペンの先から噴出される粉は、ピンク(ストロベリー)、水色(ソーダ)、茶色(チョコ)、黄色(カレー)など、6種類の色が準備されており、好きな色の粉をカートリッジに入れて使うことができます。
粉の噴出量と、ペンを移動させる手さばきのタイミングが独特で、普通のペンとはまったく感覚が違います。試しに、トリバタケくんが、フリーハンドで絵を描いてみました。
トリバタケくんは、『戦国ベースボール』(集英社みらい文庫)シリーズなど、歴史上の人物のイラストを描くことが多いので、ぼくが特にお願いして信長を描いてもらいました。
ただ、やはり線の太さが一本調子になってしまうのと、細かな描き込みが難しいため大味な印象になってしまうのはいかんともしがたいところです。
しかし、実はこのpowderartcafe、ペンを使ってフリーハンドで絵を描くだけでなく、ステンシルにペンで粉を吹き付けることによって、こまかな絵を描くことも可能なのです。
お店では、現在、サンリオキャラクターのステンシルカードを準備しており、好きなキャラクターのステンシルを描くことができます。
試しに、編集の古賀さんが「いちばん好きだった」という、タキシードサムのステンシルで絵を描いてみました。
おもった以上のできばえに「かわいー」と年齢を顧みない黄色い歓声をあげるわたしたち。二十歳よりも還暦のほうが距離的にちかいこの歳になっても、かわいいものはかわいいのです。申し訳ない。
さて、ここで時間は数日前にさかのぼります。
powderartcafeを取材することが決まり、店でなにを描いたらおもしろいのかを検討するだんになったとき、当然、オリジナルのステンシルを作って持っていき、ステンシルで絵を描いたほうがきれいだし、いいよな。ということになりました。
ステンシルは、プラバン用のポリスチレンを、デザインナイフで削ってつくる予定なので、絵がごちゃごちゃしているものは切り出すのが大変です。そこで、トリバタケくんに事前に絵をいくつか準備してもらい、ぼくが、ステンシルに加工して持っていく……という段取りとなりました。
当初、ステンシルは、プラバンで大きく作って、トースターで焼いて小さく固くして持っていこうと考えていました。
手始めに、滋賀県のステンシルを作ろうと、大きな滋賀県を作って、プラバンを焼成させたところ、言じられないことが発生します。
滋賀県が、異次元転移に失敗したワープゾーンみたいにぐちゃぐちゃになってしまうのです。どうやら、ポリスチレンが縮む際、細い分があると、きれいに縮まないようなのです。仕方がないので、ステンシルは原寸大でつくって持っていくことにしました。
というわけで、話はpowderartcafeに戻ります。
ぼくが準備した滋賀県のステンシルと、トリバタケくんが事前に下書きしてくれた正岡子規、マッカーサーのステンシルを、試しにナプキンの上に描いてみます。
めちゃめちゃキレイに滋賀県が浮き上がった! ストロベリー味の滋賀県だ、いまだかつてこんなに萌える滋賀県はあっただろうか。
下絵はトリバタケくんにお願いしたというものの、プラバンを削るのがなかなか骨の折れる大仕事だったので、想像以上のできばえに顔が弛緩してしまいました。
いける、これならたぶん、パンケーキでも大丈夫だ。と確言したわたしたちは、ついに料理を注文して絵を描くことにしました。
わたしたちのかわいいの基準はガバガバとなっておりますので、滋賀県やマッカーサーでさえ、かわいいのフォルダに入っています。もうしわけございません。
さて、気になっているひとも多いと思いますが、この粉自体の味。今回パンケーキに使った水色(ソーダ)は、量が少ないので、そんなに気になりませんでした。ただ、粉だけを大量を食べるとしっかりソーダの味はします。黄色(カレー)などは、しっかりとスパイスの香りがしますし、味もカレー味がします。
韓国で流行っていたものを輸入した
ところで、このpowderartcafe、いったいどういった経緯でオープンしたのでしょうか。カフェの運営会社である株式会社タヌマ販売促進室の大川学さんにお話をうかがいました。
大川さん「もともと、わたしたちの会社は、寒天やゼリーなどを製造している会社なんですが、オーナーが韓国の展示会でこれを見て、日本でこれを使ったカフェをオープンしよう!……ということで電子ラテアートペンを輸入して、その当時、世界で初のラテペン体験ができるカフェとして開店したんです」
西村「韓国発なんですね。さすが流行の最先端なんですよね、いまや」
大川さん「いちおう、この電子ラテアートペン、1万円ほどするものなんですが、サンリオとのコラボ記念で3,980円で販売しているんです」
西村「あ、じゃあ今このペンを買って帰ることもできる?」
大川さん「もちろんできます、ネットで買うよりも、こちら(店舗)で買っていただいたほうが今ならお安いですよ。ネットでも販売しています」
西村「色の粉も種類が多いんですよね」
大川さん「もともと、チョコと抹茶という様なラテにあう味のパウダーしかなかったんですが、アオサとトマトとカレーという、食事にも合う味(特にお弁当)のパウダーを開発してみました」
「ラテアート用」としてしまうと、用途が限定されすぎてしまうため、例えば、おにぎりに顔を描いたり、オムレツに字を書いたりできるよう、粉の種類を増やしたのだという。
トリバタケ「これ、ステンシルを3色か4色ぶん作って、うまく重ねて粉を吹きかけたら、カラー印刷みたいになりそうですよね」
西村「色分解して色ごとの版を作ればいけそうだね」
大川さん「お~~! めちゃくちゃおもしろいですね……」
家に帰ってもいくつか作ってみた
そんなわけで、結局、ぼくとトリバタケくんは、電子ラテアートペンを購入し、家でもなにか追加で作ってみることにしてみた。
後日、トリバタケくんからは、こんなのが送られてきた。
この吉田茂、トリバタケくんの息子さんにはカンニング竹山に見えたそうです。あと、うっかりチョコの茶色の粉を買ってしまったので、ホットケーキの上だと見づらくなってしまった……とのことでした。いやでも、吉田茂ですよ、ばかやろう。
さて、我が西村家でもなにか追加で作ることにしました。