そういえば、いももちって最初はジャガイモに含まれるでんぷんによる食感変化を楽しむ料理だったのだろう。
ホクホク食感だったものがこねるとモチという"ハレ"の食感に近づくのが面白いのだ。一方でかぼちゃもちは結構片栗粉(これもジャガイモでんぷんだ)に頼っている面もある。
これなら、片栗粉と混ぜたらなんにでも餅になるんじゃないか。
にんじんもち、ブロッコリーもち、バナナもち……。青森産にんにくもちなんかもできそうだ。次はなんでもモチにしてみたい。
「かぼちゃもち」という食べ物がある。
いももちの親戚で、北海道の郷土料理のひとつだ。
漉したカボチャに片栗粉を加えて練り、焼いてみたらしやバター醤油で食べるのが定番である。
どちらかといえば素朴な料理なのだが、これをパンケーキの代わりとして食べても美味しいことを発見した。
以前、「超ハイカロリー郷土料理、いももちの拡張レシピを考える」という記事を書いた。
その中でいももちの食べ方についてのアンケートをとったのだが、「かぼちゃバージョンもあり、どっちかというとそっちのがプレミア感があった」など、かぼちゃもち推しのコメントがいくつかあった。
油で揚げ焼きにして砂糖醤油で食べるのがいももちと同じく定番なのだが、ある時なんとなく洋風にしたいとバターを混ぜ素焼きにしたのだ。
それがうまくいった。
カボチャそのものでありながら、しっとりモチモチしている。
いももちに比べても元のカボチャとの食感のギャップが大きく、おもしろい。
緑黄色野菜らしさと主食らしさが高い次元で共存している。
そしてこれ、妙にパンケーキっぽい。
関東ではいももちの影に隠れがちなかぼちゃもちだが、パンケーキっぽくすることで令和の新食感スイーツとして大流行…!なんて妄想を膨らませながら、パンケーキ風かぼちゃもちのポテンシャルを探ってみたい。
まずはさっくりとかぼちゃもちの作り方を紹介したい。
簡単なので流し読みで大丈夫です。
ここで大事なのが片栗粉と水分の分量比。
揚げ焼きと違い、素焼きの場合は最後にレンチンした方がずっとモチモチ感がアップする。もっと丁寧にやるならレンチンした後、もう一度フライパンで表面を軽く焼くと外カリ中モチになる。
パンケーキに比べると時間がかかるスローフードだ。
ここからは、4種類のパンケーキ風かぼちゃもちを試してみたい。
かぼちゃもち、パンケーキに比べてしっかりと食べ応えがあるのに、後味は緑黄色野菜そのもので、なんとなく健康的な心持ちになるのがよい。
表面の焼き目の香ばしさも、パンケーキにない魅力だ。
また、かぼちゃ自体に甘みがあるため、メープルシロップは少しでも美味しい。
片栗粉の量によって食感が大きく変わるため、かぼちゃ感強めが好きかモチモチ感強めが好きかで調節するといいかもしれない。
見た目としても栄養としても、主食&野菜を担当することに二刀流のなったかぼちゃもち。
「ごはん」として見たかぼちゃもちはどうだろうか。
ボリューミーで腹持ちいいが思ったより炭水化物感はひかえめで、野菜としての一面を忘れていないところがよい。
味に関しては、間違いなくどのおかずとも合う。
この2個でだいたいカボチャ100g(93kcal)+片栗粉30g(99kcal)+牛乳&バターでカロリーは230kcalほど。
1枚250kcalくらいあるパンケーキに比べるとしっかりヘルシーなのに、食べ応えがあってガッツリ系にも思える。
何とも不思議な満腹感なのだ。
まだ、かぼちゃもちの食べ応えに満腹中枢が慣れてない感じがして面白い。
今度はお洒落なパンケーキ屋さんにありそうな感じをイメージして作ってみた。
これもしっかりと美味しくて、お店にあってもおかしくない、むしろオーガニック系のカフェには最適な味だと思った。
…のだけど、だんだん背景のお皿が汚れてきているのがおわかりだろうか。
見た目も食感もパンケーキっぽいのに、かぼちゃもちは溶けたアイスクリームやチョコソースを吸ってより美味しく進化することがない。
これはトッピングで食べるパンケーキの代わりとしては、けっこうネックになるかもしれない。
トッピングはフォークにささるくらいの固形物と合わせた方がよさそうだ。
そういえば、かぼちゃ&あずき豆のいとこ煮ってあったなあ、と思い作った和風かぼちゃもち。
アイスもこれぐらいの量ならかぼちゃもちと一緒に食べきれそうだ。
定番の組み合わせだけあって、かぼちゃとあずきは合う。
その相性がスイーツ感の中でそのまま活きている感じがする。
抹茶のほどよい渋みも、かぼちゃのまったりした甘味に合う。
全体的に甘すぎず、老若男女誰もが楽しめそうな自然な口当たりだ。
さて、ここまで試してみての感想としてはどれもそつなく合う。そして、妙に満腹感があって健康的な気分にもなれるのが素敵だ。
ただ、ユーティリティプレイヤーでありつつも、特別ベストマッチな組み合わせはまだ掴めていない。
最初に食べた何もつけない素焼きかぼちゃもち、あれに一番おいしさの驚きがあったかもしれない。
そのファーストインパクトを超える拡張レシピが見つかったらまた報告したい。
そういえば、いももちって最初はジャガイモに含まれるでんぷんによる食感変化を楽しむ料理だったのだろう。
ホクホク食感だったものがこねるとモチという"ハレ"の食感に近づくのが面白いのだ。一方でかぼちゃもちは結構片栗粉(これもジャガイモでんぷんだ)に頼っている面もある。
これなら、片栗粉と混ぜたらなんにでも餅になるんじゃないか。
にんじんもち、ブロッコリーもち、バナナもち……。青森産にんにくもちなんかもできそうだ。次はなんでもモチにしてみたい。
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