特集 2021年5月15日

意気揚々とカンフーシューズ履いてました~乙幡さんインタビュー

月に1度、総集編として、先月人気だったライターへのインタビューと、人気記事のランキングをお送りしております。

この記事では、乙幡啓子さんにインタビュー。
2月は「母校の制服オリジナルリカちゃんを、当時の自分の着こなしにする」が大好評でした。

インタビュアーは編集部・石川にくわえ、林も参加しての鼎談です。

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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母校の「制服リカちゃん」が先日ついに届いた。ああこんな制服だったなと思う反面、自分の着こなしとちがうのでピンとこない。このリカちゃん、自分用にカスタマイズすればいいのかもしれない。

半袖スーツで就活を

石川:
今回は乙幡さんに昔話をたっぷりうかがいたかったので、同世代の林を連れてまいりました

乙幡:
むははは

石川:
高校としてはかなり自由な校風じゃないですか?桐生女子高校

乙幡:
かもですね、あれから色んな人に言われました。当時は尾崎豊みたいな気持ちで通ってた気がするんですけどねぇ

林:
束縛された学校、みたいな?

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当時の乙幡さん、教室にて(記事より)

石川:
当時の高校生ってみんなこういう格好してたんですか?

乙幡:
そうねぇ…だいたいこんな感じですかね。派手すぎず、同じすぎず。
DCブランドで競うみたいなとこもありつつ、全然興味ない生徒ももちろんいて。

石川:
僕のころは、女子高校生というとルーズソックスの時代で、けっこう画一的だったんですよ。
記事読んで、これかなり個性豊かだったのではないかなと思って

乙幡:
ルーズソックス時代から見たらわりかし個性的ではありますね。
就活の服装も、結構いろいろいましたよ。

石川:
就活って何着るんですか?スーツじゃないんですか?

乙幡:
私は半袖の紺色のスーツでした。金ボタンの。

石川:
金ボタンの

林:
半袖スーツってありましたね。女性用の

乙幡:
省エネじゃないやつ

林:
羽田じゃないやつですね。

乙幡:
そうそう。そこにスカーフして行ってました。だから落ちたのかな…

石川:
それはふつうにオフィスで着るんですか?

乙幡:
着ましたね。それくらいの自由度はあったような。

林:
半袖が普通にあったんですよね。「半袖じゃないほうがかっこいいんじゃないかな」って話した記憶がある。

石川:
男性用もですか?半ズボンとか?

乙幡:
高城剛じゃないんだから

石川:
あはは 半袖スーツの登場で高城剛の特異性が揺らいできました

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カンフーシューズと国民服

林:
おつはたさんの地球バッグは宇宙百貨ですよね

石川:
宇宙百貨の地球バッグがド定番?

乙幡&林:
そんなことはない

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地球バッグ(記事より)

乙幡:
地球は流石に異質でしたな

林:
こうやって偽史がうまれていくんでしょうね

石川:
あ、そうなんですね…

林:
定番はカンフーシューズ

乙幡:
あ、すいませんそれ履いてました。

石川:
あはは、まさかの

林:
履くんだって、この世代は

乙幡:
それはもう意気揚々と。
Dr.スランプの摘突詰(つんつくつん)が好きで、影響されてました

石川:
え、そういう冗談かと思いました。本当だったのか…

乙幡:
大中(ダイチュン)で国民服みたいなのも買って

石川:
こういうやつですか?

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林:
これはマジのやつだな。
YMOが着てたんですよ

乙幡:
そうだったそうだった

石川:
あー、YMOは着てましたね!それは知ってます。ああいう感じか…。 そしてカンフーシューズ履いて

林:
ビックリハウスと宝島持って

乙幡:
オリーブ持って原宿へ。東武線乗って浅草経由で行くわけですよ

林:
おつはたさんの昔の写真観て、オリーブ少女だなと思いました。
オリーブ少女って20年ぐらい口にしてなかった言葉ですが

乙幡:
若乃花の元奥さんだ

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おとぎの国からの追放

林:
ストリートファッションの定点観測サイトっていうのがあるのですが

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ACROSS​。こちらのページです

林:
このへんやばくないすか?
あのリカちゃんってこの時代ですよね?

乙幡:
ですね!詳しくないけどハマトラニュートラって各種トラの時代か

林:
各種トラ

石川:
トラってなんですか?

乙幡:
トラディショナルですな

石川:
あー トラディショナルのトラ。
さっきの国民服とかカンフーとかもそうですか?

乙幡:
全然違う

林:
それは本気のトラディショナルだけど

乙幡:
ハハハ。
いろいろいましたよね。全身真っ黒ファッションが揶揄されたのもこの頃か

林:
真っ黒はありました。

乙幡:
Y‘sとかコムデギャルソンとか。そういう店、やたら外装とか敷居が高くて。
高校の時、エイっと入ったんですが、上気しちゃって、何話したかまるで覚えてない

林:
ハハハ

乙幡:
うわの空で服見てました

林:
わかります。雑誌も服もなんか偉そうでしたよね

乙幡:
服が偉そう。わかります

林:
表参道のコムデギャルソン、海外からの観光客がたくさんいるのでめちゃくちゃ入りやすいですよ。今はいないですけど、ちょっと前

乙幡:
あー、それもわかる。紛れて入っていけちゃう。

林:
コーラ片手に入って注意されている客いましたから

乙幡:
あんな、緊張でブルブル震えながらマヌカン(!)の話きくことないわけだ。
マヌカンって今久々に言いました。っていうか初めて文字にした。

石川:
マヌカンって店員のことなんだ… 音では聞いたことありますが意味知らなくて、マダムみたいなことかと思ってました

ファッションシティ・桐生

林:
桐生ってそんなに洋服屋が多かったんですね。セレクトショップがあったってことですか?

乙幡:
多かったです。密かな自慢でした。セレクトじゃないそのまんまブランドの店が多かった。

林:
直営店が

乙幡:
店員がだいたい馴れ馴れしくて。
高校生だったからか?いや、帰省した時も結構友達感覚だったような。

林:
へー、馴れ馴れしい店員と馴れ馴れしく話せるようになったの、ここ最近ですよ。

乙幡:
「東京なの?いいなぁ〜!」なんて言われて

石川:
高崎とかにじゃなくて、桐生自体にけっこうブランドの店があったんですか?

乙幡:
あったあった。うじゃうじゃと。

林:
桐生ってちょっと群馬の中でも文化タウンなんですか?

乙幡:
縫製とか織物関係の家が多かったんでそうなんですかね。友達の家で、VANの刺繍受けてたりしました

石川:
あーそうか、アパレルの街的な。友達が家業でVANの刺繍してるのすごいですね

林:
桐生で生産してたんだ

乙幡:
どこそこんちでセールやるから来ない?なんて。縫製屋さんで、ですよ。謎だ

石川:
家でセール

乙幡:
ブランドの服がファミリー割引みたいにして買えたらしい

石川:
それ、ブランドものであると同時に、友達のお母さんが手作りしてくれた服でもありますよね。

乙幡さんが故郷・桐生を語る「超地元!実家まわり観光案内【乙幡啓子・群馬県桐生市 編】」も公開しております。あわせてぜひ

不良が怒る理由

林:
記事に戻るんですが、桐生って寒かったんですか?服がどれも暖かそうだから

乙幡:
そうですね、でも気温は東京より3〜4度低め?ですが、何しろ強風が。冬は自転車が傾きながら走ってるみんな

林:
赤城おろしですか?

乙幡:
赤城おろしです。日本のパタゴニアです。

石川:
合皮のコートは良さそうですね。

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乙幡さんが着てた合皮のコート(記事より)

乙幡:
めちゃくちゃ風通しませんでした、一方ではめちゃくちゃ風への抵抗あったけど

林:
ネッシーさんも風が強くて土手を転げ落ちたっていってましたね

乙幡:
ロボットみたいになって学校かよってました。
合皮が硬くて硬くて。

林:
あの合皮のコート、肘まげにくそうですね

乙幡:
そう、ロボコップです。
そりゃ不良も頭くるよね

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不良に絡まれる乙幡さん(記事より)

林:
不良が怒ったポイントはそこなんですかね

石川:
俺たちの街にロボットが来たから

乙幡:
異質な硬さが電車に乗って来たから

林:
カチカチのが乗ってきたぞ、って。ラッダイト運動だ。
コートは前後にも広がってたんですよね

乙幡:
むしろ前後にこそAラインが広がってた。邪魔だわ…

林:
前後左右にAラインって、円錐だ

石川:
あはは、そりゃ怒るわっていう

林:
もしかしてこれ向こうからしたら、でっかい服を着た不良が乗ってきたから注意した、という話なのかも

乙幡:
ツインテールの縦ロールオリーブ少女に?

林:
そうか、縦ロールだもんな。
それでリアクションが「合皮だよ!」って。

乙幡:
不気味だったのかな。その返答も含めて…

林:
得体が知れない感じは、しますね

石川:
話通じなさそうなやつが乗ってきて、やっぱり通じなかったっていうことかもしれないですね

乙幡:
オレたまにそういう痛いことありました

石川:
他にもあるんですか?

乙幡:
体育の授業中に、体育座りで説明受けてる時、トカゲが通ったんで「トカゲだ!」って叫んだら、スピーディーにひとすくいの砂利を頭からぶっかけられました。

※スピーディー……記事中に登場した先生のあだ名

乙幡:
いや、トカゲってあだ名の友達が横にいたんですよ、なので。

林:
スピーディーに続いてトカゲってあだ名が。
なんの一般性も教訓もない

乙幡:
まぁ、痛い話はいずれまた…

林:
スピーディー、そういう名前ありました

乙幡:
ワンダーじゃなくて?

石川:
スピーディー・ワンダー

林:
体育の教師が「いちごポッキー食べるか?」っていちど言ったばかりに、ずっと「いちごポッキー」って呼ばれてました

乙幡:
あるね!一度の過ち系。
「このやろ!」が「ギャロ!」って聞こえる先生は「ギャロ」って呼ばれてました。

石川:
バッファロー66ですね

乙幡:
ビンセント・ギャロだ

石川:
うちも高校の地理の先生が「○○(忘れました)は日本のチベット」って言ったからその後チベットと呼ばれるようになってました。
これにいたっては口癖とかじゃなくて普通の授業ですからね、理不尽です

乙幡:
流れ弾系だ

林:
石川くんのさ、チベットはたとえ話で、大事なところ忘れてんじゃん

石川:
そうなんですよ。教訓にすらなっていない

林:
気になる。どこだったのか


石川:
乙幡さんから、最後に当時の自分へのメッセージを一言いただけませんか

乙幡:
まぁ、そうですね…そのまま育てよとしか言えないですね。好きに生きろと。

石川:
そうして好きに生きた人生は妄想工作家に収束しますからね。
そのまま育ってよし

石川:
どうもありがとうございました

乙幡:
お付き合いいただきありがとうございます…

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