この烏龍茶は全部開栓後要冷蔵だ。冷蔵庫の中が全部烏龍茶になった。
烏龍茶の水割りの話をしたい
僕は烏龍茶が好きだ。
夏になると毎朝セブンイレブンで2リットルの烏龍茶を買って、夕方までには飲み干していた。
しかし烏龍茶は飲み過ぎるとお腹が痛くなる。なんと言うかちょっとキツいのだ。そこで烏龍茶を水で割ってみると、これがすごく飲みやすい。
そんなのただの薄い烏龍茶だと思うことだろう。
…まあ、実際その通りではあるが、薄めるとよりスッキリとゴクゴク飲めるようになる。それでいて烏龍茶の味や渋みは意外にもしっかり感じられる。
夏の飲み物といえば麦茶だが、シャキッとした苦味もありながら飲みやすい烏龍茶の水割りには麦茶をも超えるポテンシャルがあるのだ。
共感してもらえるか?
烏龍茶の水割りのポテンシャルには気が付いていたものの、他の人に共感してもらえるとは思っていなかった。
しかし知り合いに誘われ、とある飲食店の人狼ゲーム(数人で行うパーティゲーム)のイベントに参加した時の事。
何するんだろう?と見ていると、その水で烏龍茶を薄めて飲み始めた。
この時、初めて僕以外に烏龍茶を水で薄めて飲んでいる人を見た。
その後、そのおじさんとは烏龍茶の水割り談議で意気投合し、お互いのベストなウーロン率(※烏龍茶の比率)を披露しあう事に。
それを見た僕たちは一瞬の沈黙。
二人が注いだグラスに入った烏龍茶は1ミリとして差がなく全く同じ高さだったからだ。
…こんな事ってあるのか。
そして烏龍茶の水割りは多くの人に共感してもらえるかも知れない。
サントリー烏龍茶のベストな比率とは
烏龍茶の水割りを他の人にも試してもらうべく、改めて烏龍茶と水のベストな比率を求めてみる。
使用するのは定番のサントリーの烏龍茶だ。多くのスーパーで取り扱われているので試してもらいやすい。
計量カップを使って正確に計っていく。
これまではなんとなく薄めていたが、細かく飲み比べてみると、単に薄くなるだけではなかった。
90%や80%に薄めただけでは100%との違いはあまり感じない。
しかし80%と70%の間には大きな壁があり、70%くらいから口当たりが急に良くなる。スッと口に入ってくる感じだ。
その後、追いかけてくるように後から感じる渋みは薄めても減りにくいと分かった。
そして更に薄めていくと後から感じる苦味や渋みも徐々に感じられなくなり水に近くなっていく。
飲みやすくかつ烏龍茶の味も感じられる40%くらい(烏龍茶4に対して水6)が良さそうだ。
烏龍茶の水割りを試してもらう
良い感じの薄め比率を求めたところで、デイリーポータルZをはげます会のみなさまにお声がけして烏龍茶の水割りを試してもらった。
すると早速、試してくれた人たちから続々と感想が集まってきた。
コカコーラ社の烏龍茶で試しました!
笑いました、全然これで良い……。というか、これが良いですね……。
ちゃんとお茶ですが、その割に喉につっかかりがなくグイグイ飲めます。
もともと烏龍茶は食事のときによく飲んでいて、食事と合わせるなら元の濃さがあった方が良いと思うのですが、仕事中に水分補給で飲むなら断然こっちが飲みやすいです。
もともと烏龍茶がちょっと苦手なのですが、そのままでは濃すぎてとても飲めませんでした(火の付いてないタバコの葉を嗅いだときみたいな感じの苦味)。
5:5ではまだまだ濃く、おすすめの4:6でもわたしにはまだ濃く、3:7でやっとあのウッという独特の感じ・空きっ腹で胃が痛くなりそうな感じが消えました。
それでも麦茶やルイボスティーのほうが好きですが、苦手意識はないし、居酒屋の烏龍茶もこれくらいだったらなあ、と思いました。
・マツモトキヨシのPB
・サントリー黒烏龍茶
・伊藤園の烏龍茶(ティーバッグ)
以上の3つで試しましたが、気持ちはわかるものの個人的にはいまいちでした。
昨今流行りの水出し風になって、それはそれで魅力はあるものの、ウーロン茶を飲みたいときにこの薄さは求めてないんだよな~という印象です。
とはいえ私はマックスコーヒーもがぶ飲みしてしまうタイプなので、濃い味が好きなだけかも知れません。
なんと色々な烏龍茶で水割りを試してくれていた。
…なんとありがたい。いまいちという方もいらしたが、万人に受け入れられるものでないことが分かったのは大きな収穫だ。この場を借りて深くお礼を申し上げたい。
さらに、みなさんの試飲の感想を読んでメーカーごとに味の違いがあることに気づかされた。僕は正直なところ気にした事がなかった。
あまり違いはないだろうと思い込んでいたからだ。
色々なウーロン茶を割りたい
同じ烏龍茶でもメーカーごとに味に違いがある。となれば、もっと烏龍茶の水割りに適した烏龍茶を見つけたい。近所のスーパーなどを巡って烏龍茶を集めることにした
しかし、そんなに烏龍茶に種類があっただろうか?おそらく探しても10種類もないんじゃないか。
当初の想像は大きく外れ、近所を巡っただけで24種類の烏龍茶が見つかった。こんなに種類がたくさんあるものか。
メーカーごとにベストな希釈率が違った
そしてそれぞれを水で割ってみる。
再びのサントリーの烏龍茶。他の烏龍茶と飲み比べてみると、ウーロン茶特有の渋みや苦みはややはっきりしている。飲んだ直後に烏龍茶特有の渋みと苦味が感じられ、飲み込んだ後もしばらく口の中に残る。
水で薄めていくと最初の苦みや渋みは薄くなり飲みやすくなるが、30%まで薄めても口の中に残る渋みは感じられる。さきほどは40%で試してもらったが、改めて検証してみると30%でもよかったかもしれない。
同じくサントリーの体に脂肪がつきにくい黒烏龍茶。
名前の通り色が濃いが、烏龍茶をただ濃くしただけではなく薬草のような独特の風味がある。飲み終えた後の口の中の苦味はスッと消える。薄めるのは30%くらいがちょうど良い。
サントリーの黒烏龍茶を薄めても烏龍茶と同じ味にはならなかった。
こちらもサントリー。見た目の色がかなり薄く烏龍茶らしくないが品名はウーロン茶飲料となっている。
100%は烏龍茶の味がするが、他の烏龍茶のような後から来る苦みはまったくない。
薄める前から飲みやすいのでそもそも水で割る必要が全くない。烏龍茶を薄めるこの企画を根底から揺るがしかねない危険な存在だが、他の烏龍茶を薄めたものと比べるとちょっと渋みや苦味が物足りない。
これを薄めても薄くなりすぎるだけで水割りには向かない。
こちらはコカ・コーラ社の煌という烏龍茶。たしか以前はもっと「煌」という文字を大々的にラベルに描いていたが、久しぶりに見ると申し訳程度に小さく描かれるだけだ。
サントリーの烏龍茶ほど渋みはないが、後述する伊藤園のウーロン茶よりは渋みがある。
水で割るのも丁度良く40%~30%くらいに割ると大変美味しい。
世界で初めて烏龍茶飲料を発売した伊藤園のウーロン茶。パッケージもどこか懐かしさを感じる。
くせが少なくとても飲みやすい。水で薄めるとしてもあまり薄め過ぎない方が良い。50%くらいがおすすめだ。
新たな可能性を感じる烏龍茶も
同じく伊藤園から。黄金烏龍茶の名前の通り黄金色のような濃いオレンジ色が特徴的。
まったく薄めていない100%を飲んでみると、最初は烏龍茶独特の渋みが全く感じられずに拍子抜けする。しかし、しばらくすると後からぐわーと苦みと渋みが追いかけてくる。結局、今回集めた烏龍茶の中でいちばん渋い。
薄めると飲みやすくなるが、30%まで薄めてもしっかりと後からの渋みと苦味を感じる。烏龍茶の水割りの新たな可能性を感じる。
ポッカサッポロの国産茶葉を使用した烏龍茶。
最初にぐわっと渋みと苦味が来る。どこか日本の緑茶を思わせるようでもあり、ジャスミン茶のような華やかな風味でもある。しかし後口はとてもあっさりしていて、ほかの烏龍茶の様な後から来る苦みや渋みはほとんどない。
薄めていくと最初の渋みと苦味が薄くなっていき、苦味の中に隠れていたジャスミン茶の様な華やかな味わいがより明確になる。
僕が当初想定していた水割り烏龍茶とは違うがこれはこれで良いかも知れない。
サンガリアの烏龍茶。100%で薄めずに飲んでも渋みや苦みがほとんどなく、伊藤園のウーロン茶よりもさらに飲みやすい。
しかし一通り薄めてから元の100%を飲むと渋みや苦みがはっきりと感じられた。
そのままでも十分飲みやすいので、水で薄めるとちょっと物足りなさを感じてしまう。水割りには向かない。
ハルナプロデュースというメーカーの烏龍茶。あまり聞いたことがなかったので調べてみると他社のプライベートブランドを受託して生産しているメーカーのようだ。
飲み始めの渋みはしっかりあり、どこかジャスミン茶のような華やかさも持つ。あとから来る渋みは少なめで後口がスッキリしている。
やはり30%くらいがちょうど良い。
やはりメーカーを通じてベストは30%くらいか
同じくハルナプロデュース。 前述の茶匠伝説 烏龍茶と味はよく似ているが、心なしかジャスミン茶の風味がよりハッキリ感じる。
株式会社スターナイン、九星飲料工業株式会社の烏龍茶。
サントリーの烏龍茶に比べて飲み始めの渋みはやや薬草っぽい風味を含み、苦味や渋みもサントリーよりも強く感じる。
30%くらいまで水で割ると飲みやすくなる。
株式会社蔵人舎の烏龍茶。烏龍茶の風味がしっかり感じられながらもクセがない。30%くらいまで水割りにした味は結構好みの味だ。
LDC(ライフドリンクカンパニー)の烏龍茶。
とても飲みやすく比較的オーソドックスな味。後からほんのり苦みと渋みがくるが、それもそんなに渋くはない。
他の烏龍茶と同様に30%くらいまで薄めて飲むのが美味しい。
プライベートブランドのウーロン茶も調べた
ここから紹介するのはプライベートブランドのウーロン茶だ。
例えば、セブンイレブンとローソンのプライベートブランドのウーロン茶はサントリーが製造している。
そのため全く同じものだと思っていたが、写真の通りセブンイレブンは色が薄い。光の加減だけでなく肉眼で見てもセブンイレブンの色は薄く見える。
ブンイレブンで販売されていたセブンプレミアムのウーロン茶。販売者はサントリーフーズと書かれているが、サントリーのウーロン茶より飲みやすい。
70%ですでに一口目の苦味はほとんどなくなるが、じわーっと後から苦味が追いかけてきて丁度良い。薄め過ぎない方が良い。
こちらもセブンプレミアムのウーロン茶。セブンプレミアムのウーロン茶が2種類あるとは知らなかった。こちらはコンビニではなくスーパーマーケットで発見した。
製造者はニットービバレッジとなっている。前述のセブンプレミアムの厳選烏龍茶より渋みが強いく、水で割るとすれば30%くらいがおすすめだ。
こちらはファミリーマートのプライベートブランド。販売者は伊藤園とある通り伊藤園のウーロン茶に近く、色も味の違いもほとんどわからない。
伊藤園のウーロン茶と同じで最初の苦みはほとんど無く後からふわっとわずかな苦みがくる。50%以上に薄めるとかなり飲みやすくなり渋みも薄くなる。
販売者はサントリーフーズと記載されている。サントリーのウーロン茶に色も味も近い。おすすめは30~40%くらいでサントリーの烏龍茶と同じ。
イオン系列のプライベートブランドであるトップバリュの烏龍茶。
サントリーのウーロン茶に近い味で、30%くらいに薄めると飲みやすくなり、風味も楽しめる。
大手スーパーのプライベートブランドに対抗するため、中小のスーパーが共同して展開するCGC(Co-operative Grocer Chain=共同食料品業者チェーン)の烏龍茶。
薄めなくても渋みや苦みが少なく飲みやすい。すっと後からやや苦みが来るが苦みや渋みはかなり少ない。50%くらいに薄めればかなり飲みやすく美味しい。
ドラッグストアチェーンのマツモトキヨシのプライベートブランドの烏龍茶。ペットボトルのデザインがカッコいい。
最初はすっきり後からふわっと苦みが追ってくる。最初の苦みはサントリーの烏龍茶よりややはっきりと感じ、ふわっと後から追ってくる苦味もある。
50%に薄めるとふわっと追ってきていた濃い苦味が薄まり、ジャスミン茶かハーブティーみたいな味になる。30%に薄めてもハーブティみたいな香りを感じる。
大手ドラッグストアチェーンのプライベートブランドに対抗するため、中小のドラッグストアチェーンが仕入れや物流などを共同しておこなう日本ドラッグチェーン会(NID)と大関株式会社の共同開発商品。
まず特徴的なのは色の濃さで、今回のウーロン茶の中では一番濃い。かなり苦いのも覚悟して飲んだが、最初は拍子抜けするほど癖がなくスッキリとしていた。しかし徐々に苦みが口の中に広がりいつまでも残る。
サントリーの黒烏龍茶のような薬草のような風味はなく、ウーロン茶をそのまま濃くしたような味わい。50%まで薄めればかなり飲みやすくなる。
小田急線の成城学園前駅の駅前が発祥のスーパー・成城石井のプライベートブランドの烏龍茶。凍頂烏龍茶とは台湾の烏龍茶らしい。ここまでの烏龍茶とは違い明らかに色が薄い。やや日本の緑茶に近い味だが、さわやかな外国のお香の匂いがする。50%に薄めるとハーブティーの様になり、さわやかさが広がる。
写真は70%のほうが100%より濃く見えるが光の加減かカメラの自動補正のせいだと思う。
昔、上海で飲んだ烏龍茶がこれと全く同じ味だった。お茶屋の店主によると、普通の茶色の烏龍茶は古い烏龍茶で、このように薄い色の烏龍茶は新しいらしい。
あまり馴染みが無いかもしれない、中国四国地方と兵庫県に展開する24時間営業のスーパー、ハローズのプライベートブランドのウーロン茶。
前述の蔵人舎 烏龍茶とペットボトルの形状が全く同じで、味もとても似ているように思えるが、ラベルには製造者の記載はないので確証は持てない。成分表示も少し違っている。
こちらも30%くらいに薄めると味は結構好みの味になる。
西日本を中心にラ・ムーやディオというディスカウントスーパーを展開する大黒天物産のプライベートブランドのウーロン茶。
飲みやすく、あとからうっすら渋みがくるが普通のウーロン茶。
製造所はライフドリンクカンパニーとなっていて、LDC お茶屋さんの烏龍茶とペットボトルやラベルの形が同じで、味もよく似ている。これも30%くらいに薄めると良い。
同じく大黒天物産のプライベートブランドの黒ウーロン茶。
サントリーの黒烏龍茶のような薬草のような風味ではなく、烏龍茶の渋みを濃くしたような味。強い苦みが感じられいつまでも口に残る。
前述のNID 濃い烏龍茶とペットボトルとラベルの形状が全く同じで、味も似ている。製造者の記載はないので同じところが作っているかどうか確証はない。栄養成分表示も少し違う。
こちらの方が少し薄く感じる。50%くらいに薄めると飲みやすい。
カルピスと同じくらいに薄めるのがおすすめ
こうして色々な烏龍茶を薄めて飲むばかりしていたが、想像していたよりメーカーによって味が違っていた。しかし、どれが美味しいかといえば、それぞれの良さがあって甲乙つけがたい。
薄める比率としてはだいたい30%程度、カルピスと同じくらいに薄めるのがゴクゴク飲めておすすめだ。
ここまで烏龍茶とじっくり向きあったのも初めてだった。烏龍茶は薄くても濃い1カ月だった。