特集 2021年9月10日

ウーロン茶で作る「ウーロンチャイ」が予想を上回る美味しさ

チャイ…うまい…。

チャイはシナモンやクローブ、カルダモンなんかのスパイスを紅茶と一緒に煮だして、ミルクと砂糖をたっぷり入れた心安らぐ飲み物である。

チャイに使う紅茶はアッサムやセイロンが一般的なのだとか。

まてよ、お茶なら紅茶以外にもいろいろ種類があるだろう。他にチャイに合うお茶はないのか。たとえばウーロン茶なんかどうだろう。

試してみたら美味しかったです。

行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

美味しいチャイが飲みたい

チャイの美味しい季節がやってきた。

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インドのチャイスタンドのおじさんもそう言っています(予想)。

気取った書き出しに後悔しているが、実際チャイが好きだ。できることなら今すぐインドへ行って道端でおっさんが作ってるチャイを飲みたいのだが、なかなかそうもいかないので家でインスタントを飲んでいる。それでも残念な気持ちにならないくらいに、チャイは美味い。

チャイはシナモンやクローブ、カルダモンなんかのスパイスを紅茶と一緒に煮だして、ミルクと砂糖をたっぷり入れた飲み物である。

いままでスパイスから作ったことがなかったのだけれど、在宅勤務になり時間だけはあるのでネットでレシピを見ながら挑戦してみた。

基本のチャイを作る

使うスパイスはカルダモン、クローブ、シナモンの3種類が基本。他にもジンジャーなんかを入れても美味しいらしい。

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カルダモン。パウダーよりもホール(まるごと)を使うと香りがいいらしいです。こういうスパイスをいったい誰が買うのかと今まで思っていたけれど、ついに僕が買った。
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カルダモンはワックスがけをした翌日の学校みたいなにおいでした。
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クローブは意外な形をしていた。
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これがクローブ。いったいどの植物のどの部分なのか(つぼみが膨らむ直前の状態らしいです)。
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しかしその形状から、食材に刺して使うことができるようだ。
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こちらは実家で見つけた胃腸薬みたいなにおいだった。

シナモンはおなじみのあれである。カプチーノや京都の八つ橋みたいないいにおいの木だ。

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前に撮影で使ったものが家に大量にある。ようやく使い道ができた。
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こうやってスパイスを皿に並べると「丁寧なくらし」をテーマにした雑誌の表紙みたいになる。

これを鍋にかけて煮だすわけだけれど、その前にカルダモンは皮を割って中身をすり鉢で粉にするらしい。

チャイ、どこまで丁寧に作らせるつもりなのか。

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ひとつひとつ割って中身を出して
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すりつぶします。

しかしこういう手間がいいんだろうなとも思う。たとえインスタントで同じ味が出せたとしても、だ。いや同じ味ならインスタント買うかおれは。

ちがう今はそういうことではない。まず基本を押さえておこうという段階なのだ。

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ようやく準備が整ったが、この時点で疲れて若干やる気がなくなってきている。

ここからが本番である。意思をしっかり持って遂行したい。

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これらスパイスたちをお湯で煮だしていく。

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魔女か。
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最初は強火、沸騰したら弱火らしいです。

沸かしたお湯に放り込んだスパイスたちは一瞬で本来の香りを放ちはじめ、家の中をインドの道端へと変えてくれた。窓からのっそり牛がのぞきそうである。旅情、その一言につきる。

しっかり煮出したら一度火を止めてから茶葉を入れる。まずは言われた通り、セイロンを使ってみた。

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缶が可愛いなー。

茶葉を入れたとたん驚いた。

荒々しかったスパイスの香りを紅茶がうまいことまとめ上げてくれたのだ。

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しっかり抽出できたらミルクと砂糖を加えて出来上がりです。これ以上引いて撮れないのはキッチンを掃除する前にはじめたから。
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完成。

うまい。

味も香りも安心のチャイである。

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うまい。

セイロン紅茶のしっかりと濃い味にスパイスの香りが負けていない。それでいてお互いに邪魔をしない。

それぞれが個性的なのでまとまらないかと思いきや、気が付いたら全員のことを好きになっていた、みたいな感じだ。SMAPか。いやそれ古いしもういないな、今だと誰だ、THE ALFEEか。

この奇跡のバランスを誇るチャイから、今回はセイロン部分を他のお茶に置き換えてみたいと思う。

日本とインドの融合「ほうじチャイ」

茶葉をセイロンからほうじ茶に変えてみる。スパイスを煮出すところまでは同じなので省略します。

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うちでは夏でも冬でもこれを飲んでいます。
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安心の香り。

煮出したスパイスにほうじ茶を加えると、急に部屋がインドから日本の座敷に変わった。強い気持ちを持ってミルクと砂糖で仕上げる。

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見た目はチャイなんですけどね。
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ほうじチャイ。

香りとともに味わうと、そこには寺の境内が思い浮かんだ。

けっして不味いわけではない。むしろ美味しい。

でもお寺の本堂でお茶をいただいている気がするのだ。座敷の畳、すぐそこに本尊、誰かが供えたお線香。これは日本の中にあるインドだ。

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アルフィーから高見沢が抜けてサイババが入ってきた。

味も香りもほうじ茶が強い。スパイスの効いたほうじ茶だ。ほうじ茶の味がこんなに強いとは思わなかった。もう一度言うが悪くはない、ただ、ほうじ茶の「ほうじ」の部分が前に出すぎている気もする。

健康的な美味しさ「ウーロンチャイ」

次は中華との融合、ウーロン茶で作ったチャイである。

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横浜の中華街で買ってきた、ちょっと高い鉄観音です。
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ウーロンチャイ。

結論から言ってしまうと、これがすごく美味しかったです。

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うっま!

味としては笑っちゃうくらいウーロン茶なのだ。苦くておいしい。その苦みがスパイスの一つとして機能していて、なんとなく脂を落としてくれそうな安心感すらある。アルフィーの3人はそのままにドラムにYOSHIKIが入った感じだ。

僕は常々チャイにもひとつ苦みが欲しいなと思っていたのだ。答えはウーロン茶だった。これは常用してしまいそうな美味しさである。ぜひ試してみてほしい。

苦みが過剰「緑茶イ」

次は日本に戻って緑茶である。

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家にティーバッグしかなかったのでこれで。
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作ってみたらさわやかな?緑色になりました。
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おおー、緑茶だー。

抽出の仕方が悪かったのかもしれないけれど(スパイスを煮出した熱湯にティーバッグをぶち込んでます)、緑茶の苦みがダイレクトに前に出てしまっている。その割に香りはスパイスが勝っていて、一口目で頭が混乱する。

ただ、ミルクとの相性は悪くない気もする。もしかしたら茶葉の選び方とか抽出の仕方とかで改善できるのかもしれない。

大河の一滴「昆布茶イ」

ここまで試してきて、明らかに不味かったものはなかった。このあたりでチャレンジ枠を採用したい。

そう思って昆布茶を用意した。

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美味しいですよね昆布茶。

スパイスを煮出したお湯で昆布茶の粉末を溶かす。瞬間、不穏な香りが立ち込めた。

なんと表現したらいいのだろう。真夏の、富栄養化した海水浴場みたいなにおい。水平線に陽炎が浮かんで見える。これはミルクを入れたら終わりだなと思ったので今回はミルク、砂糖を抜いた。

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子どもの頃に落ちた観察池の色だ。
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アルフィー解散!

香りは6:4でスパイスが勝つが、いかんせん4は昆布である。味は出汁の味が8割、あとの2割は塩味。ガンジス川が海に出たところをすくってきて温めた、みたいな飲み物になっていた。よく言えば異国、悪く言えば異世界。これはだめだ。


チャイにはセイロンかウーロン

チャイの茶葉をいろいろ変えてみた結果、個人的におすすめできるのはウーロン茶だった。健康的でしかも美味しい。

しかしこの後、基本のチャイを飲みなおしたところ、あまりの美味しさに素直に感心した。やっぱりアルフィーには高見沢なのだ(もういい)。先人もきっとこういう実験をたくさんたくさん繰り返した末にセイロンを選んだのだろう。ありがとう、昔の人。

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スパイスのお湯でコーヒーを作ったらなかなかよかったです。
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