ずっと通行止めの道がある
静岡で僕がよくジョギングしているコースに、途中から通行止めの案内が立っているなと思っていた。
引っ越してきた最初のころは道路工事でもやっているのだろうと思っていた。しかし半年以上が経過しても、これがぴくりとも通行許可されないことに疑問を覚えだしたのだ。
春に止められていた道がずっと通行止めで、今はもう冬である。いったいどんな大規模な工事をしているのか。
気になってもう少し先に進んでみることにした。
いけば行くほど案内板が増えていくのだ。
最初は「この先通行止めですよ~」くらいの感じだったものが、先に行くにつれ「絶対通さないですから!」とでも言わんばかりにアピールしてくる。
こうなるとますます興味ある。どこまで行けるのか、もう少し先まで行ってみたいと思う。
道は徐々に細くなり、上り坂が急になってきた。もう周りには家もない。
横は崖、下は海である。そろそろ引き返したいなという心細い気持ちと、この先にあるものをみてやりたいという好奇心とが拮抗する。
まだいける
雰囲気的にそろそろかな、というところで交通整理の方が立っていたので、ヘルメットごしに(原付で来てます)「行けますか?」とジェスったところ、どうぞ!とのこと。
なら行くしかない。
通してくれたのはいいが、すでにかなりすごいところを走っているのだ。いいんだろうか。ちょっと見てもらいたい。
もう完全に海の上なのである。
大崩れ海岸という名前の通り、崖の真下が海になっていて、素人目に見てもいつ崩れてもおかしくない地形に見える。
実際過去に何度も崩れているらしく、それでもここに道を通そうと苦心している人類すごいなと素直に思う。
道はさらに細く、勾配が増していく。しかしまだ行けるのだ。
そしていよいよ本当の通行止めに
おそるおそる先へ先へと進む。途中でトンネルも超えた。車通りはほとんどないし、もちろん歩行者もいない。たまに空の高いところでトンビが鳴いている。
長かった上り坂を越え、下の海を見るとかなりの高度に達しているのを感じながら、道が下りへと変わったあたりのことだった。
このトンネルから先が完全に通行止めになっていた。もちろんここから先は入ることはできない。
前のトンネルは通行止めだったが、ここから枝道が分かれていて、海沿いの集落へと抜けられるようになっていた。そうか、この集落に行きたい人だけがいまこの道を通ってきているのか。
とくになんということはないのだけれど、自分で行ってみて結果を知ると、新大陸を発見した探検隊のような気分が味わえた。帰ってから調べると、この先の道は数年前に崩落したのち、いまだ復旧のめどが立っていないのだという。
いつか復旧する日を待っています
気が済んだので帰ろうと思いUターンすると、さっき上ってきた峠のずっと先に小さく僕の住んでいる町が見えた。ものすごくいい眺めだった。
いつか復旧したらぜったいまた原付で来ようと思います。


