特集 2023年2月24日

日本で唯一!農業書だらけの本屋に行く

本屋というものがある。全国各地にあって、本屋に行けばいろいろな本が並んでいる。ガイドブックがあれば、マンガもあって、小説や雑誌もある。本が好きな人ならば本屋はワクワクする場所だ。

その本にもジャンルがあって、一つのジャンルに特化した本屋ならば、好きな人はもっとワクワクするのではないだろうか。今回は農業書というジャンルに特化した本屋に行ってみたいと思う。めちゃくちゃ楽しいのだ。

1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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農業書というジャンル

旅系の本、自己啓発の本、歴史書など、本にはいろいろなジャンルがある。自分の好きなジャンルが誰にでもあるのではないだろうか。それぞれのジャンルにマンガや雑誌、小説などがあると思う。 

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農文協・農業書センターに来ました!

今回訪れた本屋さんは「農文協・農業書センター」。名前からもわかるように農業書に特化した本屋だ。雑誌もマンガも辞典も自己啓発のような本も並ぶけれど、全てが農業に関わりのあるものしか並んでいない。

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全部農業書です!!!

農業書センターは東京の神保町にある。1994年にオープンして、現在の場所では2021年から営業している。3万冊の本があるのだけれど、何度も書くけれど、全てが農業に関わりのあるものだ。普通の本屋では見かけない本が多々並んでいる。

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雑誌だけでもこうだもの!

雑誌コーナーを見る。ブルータスもファッジもジャンプも並んでいない。「農業電化」「農林リサーチ」「農民文学」など、あまり聞かない雑誌だらけだ。「農業電化」では電動式乾燥機などを駆使した干し芋を地域ブランド品にする特集が組まれていた。

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ちゃぐりんもあった!

「ちゃぐりん」はものすごくわかりやすく説明すると、農業界のコロコロコミックと思ってもらえばいい。もっともコロコロコミックよりも歴史は古いのだけれど、わかりやすく説明するとそうなると思う。 

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面白いのよ!(ちゃぐりんより)
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農業書の幅

簡単ではあるが雑誌コーナーの説明だけで、農業書センターがどのような本屋なのかわかったと思う。ただ農業書の幅は広い。畑や田んぼだけではない。林業も漁業も含まれるし、それらの加工も含まれる。つまり料理本の類もある。 

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このような本もございます!

森は海の恋人というように山が豊かでなければ海産物は取れなくなる。古くは畑の肥料としてイワシなどを使った。全ては繋がっていているのだ。だから農業書の幅は広いと言える。

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森林や水産の本もたくさんございます!

さらに細かく分かれていく。畑をするとして、土壌のことを知らなければいけないし、肥料のこと、病気のこと、品種のことなども知らなければ農業はできない。それらの本がとにかくあるわけだ。

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肥料だけですごい量の本が並ぶ!

地域づくりなども農業書に含まれる。そのような本も並ぶ。農業系の大学にも地域づくりの学科があったりする。本棚を見ていたらとてもいい本があった。地域づくりもいろいろあるのだけれど、特に景観に重きを置いた本だ。

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この本いいよね!
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どうも、私です!
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知らない売れた本たち

本屋さんに行くとランキングの棚がある。その週に、あるいはその月に一番売れた本が並んでいる棚だ。もちろん農業書センターにもそのような棚はある。 

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知らないランキングだわ
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知らない本だわ

この週に別の本屋に行ってランキングを見たら、1位は今野敏著「審議官」だった。農業書センターでは「土づくりと作物生産」。このような知らない世界を知ることができるのも専門的な本屋のよさだ。

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店長の荒井操さん

店長の荒井さんに売れている本はありますか? と聞いた。「牛の結び方」と教えてくれた。昔は親から子へと結び方などは伝わっていたけれど、今はそんなこともないからこのような本があるようだ。もっとも多くの人は牛を飼ってないから必要としない本だ。ちなみに私はなぜか持っています、この本。

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いい本ですよ!

農業書センターは出版社から出ていない本も並んでいる。簡単に言えば自費出版みたいなこと。普通の本屋にはまず置かれないので農業書センターならではと言える。

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このような本などです!

荒井さんにおすすめを聞くと「日本の食生活全集」と教えてくれた。各都道府県のおばあさんに聞いた郷土食が収められているシリーズだ。救荒食や冠婚葬祭の食事などが写真と共に紹介されている。このシリーズは確かに面白い。日本って広いんだな、と感じる。

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面白いですよ、このシリーズ!

さらに高い本ないですか、と聞いたら、「イネ大事典」を教えてくれた。これもシリーズでネギとかイチゴとかいろいろ出版されているけれど、イネは特別に分厚かった。確かに大事典だ。事典ではない。大事典なのだ。

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いろいろ出ています!
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高い!

高いけれど安いとも言える。農家さんに話を聞くと、お米を30年育てているけれど、30回しか作ったことがないと言っていた。基本的に年に1回しかお米は育てられないのだ。このような本は大切なのかもしれない。

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現代農業のバックナッバーも買えます!

幅広く農業にまつわる本があるのが、農業書センターの素晴らしい点だ。とにかく楽しい。どのくらい楽しいのかと言えば、撮影終わりに普通に欲しい本を買うと1万円を軽く超えてくるほどなのだ。マジで楽しいから行った方がいいよ。 

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ほぼ15000円分、本を買いました!

生きていく知恵がある!

私は農業書センターによく行っている。たぶん好きなのだ。そもそも私は農業なんてやっていないのに、「現代農業」を定期購読しているのだ。そりゃ、農業書センターが好きなはずだ。ただお金と時間は溶ける。それほどにパラダイスな本屋さんなのだ。生きていくための知恵がこの本屋には詰まっている。

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種も売っています!

農文協・農業書センター

東京都千代田区神田神保町3-1-6日建ビル2階

https://www.ruralnet.or.jp/avcenter/

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