麺棒を持って生きていこう
麺棒の活躍する場面が麺を打つ以外に想像できないでいた。名前からして麺棒なのだから麺関係での活躍のみだと勝手に思い込んでいた。そうではないのだ、カニやエビではもはやないと困るくらいに活躍した。もしかするとまだ私の知らない麺棒の活用法があるのかもしれない。麺棒を大切にして生きて行こうと思う。
カニというものがいる。タラバガニやズワイガニなど高級食材として知られ、甲殻類で食べるともちろん美味しいやつだ。このカニの問題点はなんだろう、と考えるとやはり食べにくさがあるのではないだろうか。
簡単に身を殻から取り出すことができれば、と誰もが思うはずだ。そこで登場するのが「麺棒」なのだ。名前の通り、蕎麦など麺類を作る時に使う棒で、これを使えばカニの身は実に簡単に取り出せるのだ。
カニは苦手な人を除けば誰もが食べたいと思うのではないだろうか。鍋に入れてもいいし、焼いてもいいし、生でも美味しい。茹でて食べることも多いはずだ。食べると確かに美味しいのだ。幸せを感じる。
茹でたカニを食べる時に使うのが、カニ用のハサミだったり、スプーンだったりする。カニは硬いので、ハサミで切って、場合によっては専用のスプーンを使って身を取り出して食べる。美味しいけれど、これが非常に面倒な作業でもある。
カニを剥くのが上手い人なら、もはや道具はいらないのかもしれない。しかし、慣れていない私には必要だ。それでもなお上手く身を取り出せない。なにより面倒なのだ。カニを食べる時は無口になると言うけれど、まさにそれだ。集中しなければならない。
このような問題を解決する方法を発見した。発見したというか人から聞いた。本当に? と思ったのだけれど、やってみると確かに簡単に取れた。その方法というのが「麺棒」だった。
やり方は簡単だ。そして大胆とすら言える。もう切るとかスプーンでほじくるみたいなことはしないのだ。ハサミは最初だけ使うけれど、それは準備みたいなことで、メインは麺棒だ。
これだけなのだ。麺棒でスルッと身が出てくるのだ。殻をややこしく切る必要もなく、スプーンでほじる必要もなく、麺棒で身が出ちゃうのだ。便利。めちゃくちゃ便利。身がニュルッと出てくる瞬間は感動すら覚える。
面倒という感情はなく、とにかく楽しい。わがままを言えば、カニは新鮮な方が水分量が多いので、よりニュルッと出てくる。パサパサだと思ったほどのニュルッとがない。出るのは出るけれどね。
我々人類がカニを食べる面倒から解放された瞬間だ。素人でも思う存分カニの身を次々に食べることができる。ただこれはカニの足に限った話で、ハサミの部分はいつも通りやった方が早い。といっても、カニはほぼ足ですから、かなり便利だ。
カニの足は種類にもよるけれど、太い方だと思う。だからこそハサミを入れる隙間があったりで食べることができるわけだ。もっと細い足になると殻を切るのも大変。そう、たとえばオマール海老などがそうだ。足が細いのだ。
オマール海老を買ってきて茹でた。今までも何度か食べたことがあるけれど、足の部分はかなり難儀していた気がする。高級食材だと思うけれど、食べたい人がいれば足はあげますよ、とすら思っていた。細くてやはり食べにくいのだ。
茹でたところで足が太くなるはずはないのでやはり細い。ここで登場するのが麺棒。麺棒は甲殻類を食べるには必須アイテムなのだ。ここでも活躍する。足に限りだけど。使い方はやはり先のカニと一緒だ。
今回のオマール海老は新鮮だったこともあり、めちゃくちゃニュルッと出た。惚れ惚れするようなニュルッとだった。こんなに簡単にオマール海老の身を食べることができるのかと感動した。
もちろんこれは足に限った話で、そうでない部分はハサミなどを使うことになるけれど、面倒な足はこのように食べることができる。ちなみにオマール海老のハサミ部分も一応麺棒で挑戦したけれど、硬すぎて全然無理だった。
麺棒は全ての部分で使えるということではないけれど、細かな面倒な部分に活躍するということだ。それはとても喜ばしいことだ。剥くのが楽しくなる。さらに美味しいのだ。最高ではないか。問題はカニもエビも値段が高いことだけれど。
麺棒の活躍する場面が麺を打つ以外に想像できないでいた。名前からして麺棒なのだから麺関係での活躍のみだと勝手に思い込んでいた。そうではないのだ、カニやエビではもはやないと困るくらいに活躍した。もしかするとまだ私の知らない麺棒の活用法があるのかもしれない。麺棒を大切にして生きて行こうと思う。
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