面影ビル、もっとたくさんあるはず
今回は、東京都心部を中心に有名なビルを回ったが、各地にはひとしれず面影を残しているビルが、もっとたくさんあるはずだ。
これぞ!という面影ビルがあったら、是非教えてください。
![IMG_20250203_152647.jpeg](https://dailyportalz.jp/application/files/7817/3916/3968/IMG_20250203_152647.jpeg)
けっこう多いパターンが、昔の建物の装飾などを保存しているタイプの面影ビルだ。
その代表が1991年竣工の日比谷ダイビル。
すごいな、これ。
ネオロマネスク様式といわれた1927年竣工の旧ビル(大阪ビルヂング)のテラコッタ装飾なんだそうだ。
現代的な街並みの中に溶け込む(溶け込んでいないかも)呪術的な香り。
なかなかに強烈だ。
これらは復元もしくは保存の範疇ともいえるけど、その範囲が控えめで、全体像がわからないところは面影ビルといってもよいのではないか…と思う。
似たような概念に、以前デイリーポータルzで話題となった腰巻ビルというのがある。
昔のビルを腰に巻くようにして、超高層ビルを建てる。以前は賛否両論あったけど、今ではもうオーソドックスな建替え手法である。
面影ビルとの違いは、こういう建物がありました!というのがパッと見で知らない人の目にもあきらかな点だ。
面影ビルはもっと奥ゆかしいのである。
いやー、これを見て、昔のビルの姿を想像できるだろうか…?
なかなかにアバンギャルドだ。
これは腰巻ビルとも言えず、もっと別の何かだろう。
ひとまずは、面影ビルのなかに入れてあげたいと思う。
2000年につくられた明治大学創立120周年記念館リバティタワー。
当時、大学なのに超高層だったり、山ピーが通っていたり(?)して話題となった建物だ。
この建物、なんでこんな形なんだろう…と昔気になった記憶がある。
やっぱり面影ビルだったのだ。
そういうことだったのか!
この写真を見れば一瞬でデザイン意図がくみ取れる。
でも知らなければわからないくらい抽象化されている。
これぞ面影ビルだ。
自分より上の世代の人は、あああれね~、そうそうこんなだったよね~と分かってたと思うとなんかくやしい。
まさに、ベスト・オブ・面影ビルである。
最後に紹介したいのは、霞が関で見つけたこのビルだ。
このビル、一見なんてことない高層ビルにも見える。
だが、面影ビルばっかり探した目には、なんとなく戦前のビルのイメージを継承しているような気がする。
でも、以前この地にそれらしきビルがあったわけではないようだ。
もう少し調べてみると…
実は、霞が関の方はこの大阪本社ビルのデザインを元にして作られているようだ…!
たしかに、タイルの質感や縦のラインを強調したデザインがなんとなく似ている。
でも、大阪本社はもっと独特でデコラティブだ。これはあるぞ…!
大阪本社ビルは、このビルのネオゴシック様式を受け継いで作られているのだそうだ。
たしかに上部の窓の形や装飾、下部のアーチ型の窓、さらには縦のラインを意識したデザインなど、イメージを継承している。
それも、腰巻化するのではなく、超高層ビルとして再解釈してデザインされている。
これはかっこいいな。これぞ西のベストオブ面影ビルだ。
早く実際に見てみたい。
大阪のビル好きの間では有名なビルだったようである。
昔のデザインに愛があるからこそ、こうして地域を越えてイメージが受け継がれているのだ。
日本は地震も台風もあるし、建物の保存にはあまり向かない土地だ。
でも、そのまま保存できなくても、イメージを継承していく…という保存の仕方もあるんだな。
ビルの楽しみ方がまた増えた。
今回は、東京都心部を中心に有名なビルを回ったが、各地にはひとしれず面影を残しているビルが、もっとたくさんあるはずだ。
これぞ!という面影ビルがあったら、是非教えてください。
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