特集 2024年1月23日

カメラのレビューでいつも同じガスタンクを撮る荻窪圭さんと、ガスタンクを見に行く

荻窪圭さんというライターのカメラのレビュー記事でいつも見るガスタンクに聖地巡礼してきた。荻窪さんとともに。

1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

前の記事:水たまりで逆さ富士(デジタルリマスター)

> 個人サイト ツイッター(@mitsuchi)

例のガスタンクを知っていますか

荻窪圭さんは最近では古道関連の著書が多いが、カメラのレビュー記事を ITmedia というサイトに以前から連載していることでも有名だ。

昔の携帯電話から最新の一眼レフまであらゆるカメラをレビューしているので、記事を見たことがある人も多いと思う。

荻窪さんの ITmedia の最新レビュー記事より

記事中では、実際にそのカメラで撮った写真(作例)がほぼ必ず載っている。そしてその作例に、ほぼ必ず同じガスタンクが載っているのだ。たとえば上の作例は 2024年1月の Sony α9 III というカメラによるものだが、

2013年2月の ITmedia の記事より

11年前の「Xperia Z SO-02E」の記事でも同じガスタンクを撮っている。そしてこの2013年の記事以降、ありとあらゆるカメラで同じガスタンクを撮っているのだ。

最近のITmediaの記事から各社のカメラの作例を選んだ。これはほんの一部だが、荻窪さんが同じガスタンクを作例に選んでいることが分ると思う。すると二つのことが気になってくる。なぜガスタンクなのか、そしてこのガスタンクはいったいどこにあるのかだ。

このガスタンクの場所を知りたい。そして同じように写真を撮りたいと思うようになった。アニメの舞台をたどる、いわゆる聖地巡礼と似たような気持ちだ。

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荻窪さんに案内してもらえることになった

と思っていたところ、なんと荻窪さん本人に例のガスタンクを案内してもらえることになった。

左が荻窪圭さん。祖師ヶ谷大蔵駅に集合しました。

きっかけは、偶然にも当サイト編集長の林さんとご近所だと判明したこと。林さんもかつてはガスタンクを集めたウェブサイトを作っていたことがある。そんな縁で林さんが連絡を取ってくれたのだ。

というわけで今日は林さんも一緒。二人が見ているのは荻窪さんが用意してくれた周辺の地図と古地図だ。

荻窪さんは『鎌倉街道伝承を歩く』などの著書があり、昔の道に詳しい。最近では古道散歩の講座なども受け持っている。例のガスタンクまでの道すがら、古地図なども見ながら案内してくれるという。ありがたや。

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ウルトラマンと庚申塔

答えを先に教えてもらったのだが、例のガスタンクは蘆花恒春園という公園の近くにあるという。そんなところにあったのか。

そこで小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅から目的のガスタンクまで歩いていくことになった。

 駅前の写真もウルトラマンだったが、祖師ヶ谷大蔵の商店街にはあらゆるところに彼らがいる。

謹賀新年のポスターもそうなのだ。円谷英二の自宅や円谷プロがこのあたりにあったためらしい。

林さんが「この街灯もそうですよね」という。

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言われてみると街灯のデザインもそうだ。実はウルトラマンはよく知らないのだが、それでもそれっぽいということはよく分かる。

荻窪さん「これで誰が見てもウルトラマンと分かるってすごいよね。いつ見ても感動する。」
林さん「デザイナーすごいですよね」
(以後、会話では敬称略)

荻窪さんが庚申塔を見つける。

江戸時代に流行った庚申信仰に由来するもので、庚申待(こうしんまち)という徹夜のイベントを何回か繰り返した記念に建てられることが多い。ここのは立派だ。

「この、手がいっぱいあるのは?」
荻窪「青面金剛(しょうめんこんごう)様っていって、手にいろんなものを持ってます」

コントラストを上げてかろうじて読める

荻窪「ここに供養庚申って書いてありますね」
三土「確かに・・よく読めますね」 

荻窪「で、これが見ざる言わざる聞かざる」 
三土「なんと!」
荻窪「時代を経ていくと猿が記号化して丸とひし形だけみたいになったりして面白いんですよ」

日光のやつしか知らなかったが、こんなところにもいたのか。確かに庚申は「ひのえさる」だから猿だ。それに庚申待で徹夜するのはなぜかといえば、寝てる間に体内の虫が自分の悪事を神様に報告しにいくのを防ぐためだ。悪事を見ざる言わざるということか。

荻窪「ただ、多分ほとんどの人にとっては徹夜で酒を飲むだけだったと思います」
「そうですよね、酒を飲むイベントだっていうのは」

気持ちは分かる。日本時間の深夜に行われるアップルの発表会を未明までずっと見てるのも、ある意味で新製品の更新待ちなのかもしれない。

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立派すぎるコインランドリー

荻窪「このコインランドリーがすごいんですよ」

見ると確かにすごい。2階の外壁に装飾用の屋根っぽいものもあってちょっとしたお城みたいだ。

荻窪「なにか(商いを)してて、でも継ぐ人がいなくて、とかですかね・・」

遊んでる建物の活用法としてのコインランドリーはよく見る。なるべく無人で運用できて、収益性のいいものとなると種類は限られるんだろう。無人冷凍餃子店、無人トイカプセル店なども見かける。しかし建物がこんなに立派だとたじろぐ。

かつてデパートだったけどいまは1フロアだけに市役所が入居してる、みたいな建物もいっそ無人餃子店になったらすがすがしいかもしれない。

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地面に謎の何かが埋まっている

三土さんに見てもらいたい謎のものがある、と荻窪さんがいう。

これだ。何か埋まっている。

 

近くから。コンクリートなのは間違いない。大きめの石も混じっている。

上から。反対側はちょっと出っ張っている?

「何なんでしょう?」という荻窪さん。ぼくが街にあるいろんなものの図鑑を書いているので聞いてくれているのだが、何も分からないのが歯痒い。ぼくも初めて見る。

荻窪「元はなんだったのかとか、掘ったら下はどうなってるのかとか気になるんですよね」

かろうじて考えられるとすると「いけず石」の代わりだろうか。敷地の角に大きめの岩を置いて、車から敷地を守るというやつ。しかしそれにしては高さが足りない。それに元が分からない。こんな赤血球みたいなコンクリートの部品があるのか。分かる人がいたら教えてほしい。

⏩ いよいよガスタンクと対面…!

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