特集 2024年1月23日

カメラのレビューでいつも同じガスタンクを撮る荻窪圭さんと、ガスタンクを見に行く

ガスタンクに出会う

こんな感じの小さな発見を何回も繰り返した後(実際はもっといっぱい教えてもらった)、ふいにガスタンクは現れた。かなり感動的だった。

荻窪「ここで左を見てください」

驚く自分

視線の先に見えたのがこれ。

かっこいい!

ガスタンクの良さはじつはピンと来てなかったのだが、このときはぞくっと来た。なんでもない風景に現れる圧倒的な質量感と形。なるほどこれは絶景だ。

荻窪「この辺が望遠で撮ると一番いいんです。iPhone の5倍ズームとかで。」

いい笑顔。たしかにこんな感じの望遠の作例も見たことある気がする。

そしてついにガスタンクの撮影スポットにやってきた。

敷地の前にある車止めの穴の正面に立つのが、荻窪さんの定位置らしい。なのでぼくは左側に立ちすぎている。

立ち位置を直して撮ったのがこれだ。

Pixel 6a でなにも考えず撮影。27mm相当 1/4673秒 F1.73 ISO70

まさにこれだ!ついに撮れた。

上の写真で「27mm 相当〜」と書いたのは撮影時の設定で、カメラのレビュー記事でよく書いてあるやつだ。一度真似してみたかった。

荻窪さんの記事では「今どきのスマホカメラとしてはちょっと画角が狭くて27mm相当。発色や色の良さはさすが。ディテールの描写もよし」みたいなコメントがついているのだが、ぼくは何も分からないので書きようがない。真似してみると改めて難しさが分かる。

SONY RX-100 望遠端で撮影したものをトリミング。1/1000秒 F8 ISO125

奥の方を撮ってみた。こういうズームの作例もよく見る。

三土「奥のタンクにズームする作例もありますよね」 
荻窪「斜めの細いワイヤーとかが、カメラとかレンズがしょぼいと、モヤってして映んないんですよ。縦横の線は補完しやすいんですが、斜めの線は難しい」

なるほど!そんなところを見ていたのか。

荻窪「一応最初の目的は、ガスタンクが球形なんでグラデーションが綺麗に出るかとかのつもりだったんです。ただ失敗したのは、晴れてるか曇ってるかで見栄えが全然違うの。雲が出てるとやっぱりね、冴えないんです後ろのワイヤーとか

確かに、冒頭の ITmedia の作例でも一つだけのっぺりしたガスタンクが写っていた。

ニコン Z8:ハイライトと影が出てる
オリンパス OM-D E-M1X:のっぺり

つまりオリンパスのほうは太陽が出てなかったということかもしれない。

荻窪「午後1時2時くらいが一番作業が出来て、それより遅くなると太陽が低くなっちゃうんですよ。冬は2時前ぐらいに撮らないと影がいっぱい落ちちゃう。太陽が反射してるところとかで綺麗に処理できてるかとか。」

なので今日も集合はお昼の12時だ。

古参のITmedia読者なら知っているかもしれないが、荻窪さんはガスタンクを定点作例にする前は、どこかの公園の黄色い滑り台と東屋を撮っていた。なぜガスタンクに変えたのか?というのも気になっていた。

2013年の ITmedia の記事『スマホのカメラではトップクラス――“シンプルで高性能”な「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」』より。


荻窪「ガスタンクはふと撮りたくなったんです。季節による影響がないものがいいなと思って。そのあと滑り台と東屋が取り壊されてしまったんだけど、おかげでうまくガスタンクに移行できた。」

なるほど。滑り台はもうないのか! だから撮らなくなったというより撮れなくなったんだ。そこにも行きたいと思っていたのでちょっとショック。

荻窪「ガスタンクはたまに塗り直すんです。そうするといっかい塗装を剥がすので下地の色が出て赤みが出たりする。あとは、塗り直してからの時間によっても色味が変わります。」

同じガスタンクを定点撮影してないと出てこない言葉だ。

LUMIX TX2 の望遠端をトリミング。1/1000秒 F8 ISO125

三土「このアンテナのところも階調が出ますよね」
「あーたしかにお手本みたいな階調」
荻窪「始めたころはカメラによる差が大きかったんですが、最近はみんな優秀になっちゃって、これぐらいだったらあんまり差が出ない(笑)」

撮影のようすを再現する荻窪さん

例の場所で実際に撮っている荻窪さんを見ることができた。それだけでうれしい。

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芦花恒春園でも作例が

近くの芦花恒春園へ移動する道すがらでも興奮する光景があった。

千歳清掃工場の煙突である。ピンと来るだろうか。荻窪さんの作例にはたまに白い塔が映り込むことがあるのだ。

2014年4月の荻窪さんのITmedia記事『フルチェンジした2代目は破格の高画質 「PowerShot G1 X Mark II」』より

清掃工場の煙突だろうなとは思っていたが、どこのなのかは分からなかった。池袋じゃないだろうし、目黒かな・・?と思っていた。

しかしついに分かった。荻窪さんはガスタンクの流れで芦花恒春園に行き、そこで菜の花などの作例を撮っていたのだ。それで背景に千歳の煙突が映り込んでいたということだ。

これが公園からの景色。

手前はひまわり畑や菜の花畑などで、春や夏にはここで花の作例を撮っているとのことだった。しかしいまは冬なので何もない。なるほど。

荻窪さんのガスタンクについての独自資料

なぜガスタンクなのか、どこのガスタンクなのか。ITmedia の読者なら気になっていた人も多いと思う(しかしこの記事 ITmedia のことしか言ってないな)。

それらはだいぶ明らかになった。白い塔のことも、ぞうさん滑り台のことも分かった。すべて荻窪さんと林さんとITmediaのおかげだ。ありがとうございます。


まとめ

ほんとうのところ、ガスタンクの場所は自分で調べて一人で訪れるつもりだったのだ。撮影地の聖地巡礼ってそういうものでしょう。なのに公式の人と一緒に行けるなんてぜいたくが過ぎる。

ガスタンクについての謎は明らかになったが、賢明な ITmedia 読者ならご存知のように、まだ「8階と9階のあいだの踊り場」「蕎麦屋」などの定点スポットの謎が残されている。しかしプライベートっぽいので謎のままにしておこうと思う。

取材協力:
荻窪圭さん(https://twitter.com/ogikubokei
レビュー記事と写真の出典:
ITmedia(https://itmedia.co.jp/

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