新駅誕生のうわさ
正確にはいつだったか覚えていないが、それでも僕がすでに大人になっていたのでそれほど過去の話ではないような気がする。
僕が生まれ育った愛知県の大府市というところに、新しい駅ができる計画が持ち上がった。
大府駅と隣の共和駅との間は、子どもの頃の僕でも自転車で行き来できるくらいの近さである。距離にして約3キロ。歩いても30分くらいだろうか。
そんな短い距離を、さらに駅を建てて刻むのか、と驚いたのを覚えている。だって大府から共和って電車に乗ると3分くらいだぞ。いるそれ。
僕たち市民の期待と不安を払拭してくれたのはロータリーの完成だった。そうか、本当に作る気なんだな、だったらきっともっと便利になるのだろう。
しかし新駅は結局いつまでたってもできなかった。
いまでも計画が進行しているのかどうかは知らない。しかしロータリーができてからすでに数十年経っているのだ。まだやる気が残されているとはとうてい思えない。
地図で見てもロータリーだけがあるのがわかる。
当時は(うちの市にはこういうおおらかなところがあるな)と半笑いしていたのだが、考えてみると笑いごとではなかったのかもしれない。
だって駅ができることを見越して近くに家買っちゃった人だっているだろう。ロータリーできてるんだもん。
駅はまだできていないが、ロータリーに建つ看板にも、ここに駅ができるなんてことは一言も言っていないので、意外と最初からこれが完成形なのかもしれない。そんなわけないが。
逆側にもロータリーだけある
線路を渡った反対側にも行ってみた。
線路を渡るためには少し先にある橋を渡らないといけないのだけれど、将来的に駅ができるのであればここも行き来しやすくなったはずなのだ。
線路の反対側のロータリーもばっちり取り残されていた。
あちら側と同じように、駅を使うお客を降ろすためのスペースもある。ここの設計者には完全に駅が見えていたのだ。
取り残されたロータリーの前を、電車は停まらず走り抜けていった。
おまけの大府情報
駅のないロータリーはなかなか珍しいと思うのでぜひ見に来てほしいのだが、それだけのために大府まで来てもらうのは心苦しいので、近くにあるいい名前のレストランを紹介して終わりにしたい。
うまれたてのゴリラである。
店主はお店を構えるとき、その名前を考えるところにいちばん頭を悩ますのではないだろうか。お客に親しみをもって呼んでもらえる名前がいいし、電話に出るときに名乗りやすいものがいいのではとも思う。
「ありがとうございます、うまれたてのゴリラでございます」
僕がバイトだったら冷静でいられない気がするのだ。電話してみようかと思ったが、この日は営業終了していたので僕の意地悪が発揮されることは結局なかった。
うまれたてのゴリラの近くでは、道路をカメが歩いていた。
そういえばこのあたりは道がよく水びたしになっている印象がある。どこかで常に水道管が破裂しているのだろうか、それとも湧水なのか。
いらん情報を書き足したことで、さらに大府市が謎に包まれたような気もするが、機会があればぜひ一度来てみてほしい。駅前のミスドは僕が中学の頃からあります。



