緊張みなぎる会場へ
警察犬の競技会とはいっても、出場するのは現役の警察犬ではなく、その候補生たち。一人前の警察犬になるために日々訓練中で、今日はそんな訓練の成果を披露する大会、というわけだ。
国家の安全を守る警察犬の大会だ。さぞかし厳粛で、ピリピリしたものに違いない。僕もその緊張感からか、当日は朝4時半に起きてしまった。開会は8時半なのに。
前々からチェックしていた週間予報ではずっと雨になりそうだったのだが、2日ほど前になって急に雨の予報が早まった。当日は朝からいい天気だ。場所は埼玉のだだっ広い公園。ちょうどさくらの開花時期と重なり、公園内はのどかなお花見ムードだ。
しかしこの一角では、ピリピリと緊張感溢れる警察犬競技会が執り行われているのだ。
ものすごいのどか!
休日の公園ののんびりとしたムードに完全にとけ込むように、そこに競技会場があった。犬を連れた人がたくさんいる。みんなそれぞれ談笑したり、「まー、立派になって」なんてお互いの犬の成長を褒めあったり。うっかりするとただの愛犬家の集団に見えかねない。
そんなはずは!まだ駐車場にたくさん人がいるようなので、そちらも見に行ってみた。
犬満載の車がたくさん。ここにいる人たちは全員出場者のはずだ。競技前の緊張感でみなぎっているのだろうか。
ちなみに僕が現地に到着したのは9時。事務局の方に今日のタイムテーブルを聞くと、「タイムテーブルなんて特にないよ。8時半から始めてるんだけど、みんななかなか来ないからねー、適当にだらだらやってるよ」とのこと。そこへ「キビキビやってるって言わなきゃ!」なんてツッコミが入るのだが、そのやりとりもひっくるめて、なんだかゆるーいムードなのだ。
競技種目は4つ
すっかり拍子抜けしたところで、今回の大会の概要を説明しよう。
今回の大会は「第35回 警察犬桜花賞 全国訓練チャンピオン大会」という。日本警察犬協会は全国に支部があり、そのうち埼玉西支部が主催しているのが桜花賞。ちなみに競馬の桜花賞とは関係ない。
そして「訓練チャンピオン大会」というのは、大会の種類を表していて、他にも審査会(いわゆるドッグショー)や、競技種目をもう少し限定した大会もある。
今回の大会では、「服従」「足跡追求」「臭気選別」「警戒」の4種目が行われる。そのうち「足跡追跡」は同日に別の場所で行われた都合で取材できなかったので、「服従」「臭気選別」「警戒」の3つを今日はご紹介したい。
出場する犬は92頭。オーナーから委託されて訓練所で育成されている犬が多いが、個人で自分の犬を育成しているアマチュアの参加者もいるそうだ。大半は警察犬として活躍するために育成されているけれども、中には趣味として飼い犬を育成をしている人もいという。いずれにしろ、参加のためには訓練士の資格が必要だ。
さて能書きはこのくらいにして、いよいよ次のページから競技が始まります。