住所・スポット情報
名称: 西野水道
住所: 滋賀県長浜市高月町西野
料金: 無料
駐車場: あり
時間: 特になし
ついに初代西野水道が僕の前に姿を現した。
2代目とは比べ物にならないほどの、おどろおどろしい雰囲気だ。
これ絶対にモンスターいるダンジョンだよ…。そういえばさっき看板に熊がいるとかハチがいるとか、書いてあったな。こっちには武器は無い。懐中電灯ビームくらいしか必殺技がない。心もとない。
初代西野水道の入口からの数10mを動画撮影してみた。この孤独感、閉塞感、ぜひあなたも一緒に味わってみてほしい。
ときどきカメラが大きく揺れたり足音が「ビタンッ!」って感じになるのは、足元がデコボコなのに暗くてよく見えないので、つまづきそうになったがためのものだ。これが初代のリアルだ。
『①水の流れを良くするために堀なおした所(ここより③へ27m)』って書いてある看板が出てきた。字体がとてもかわいい。
「知らねーよ!こちとら暗いし狭いしで怖いんだよ!」って言いたい気持ちになった。それに「②」はどこ行ったんだよ。あぁ、もう1人でビクビクしているときに、こういう突っ込みどころ満載な情報を出してくるの、マジやめてほしいぃ!
サザエ。海なし県の洞窟の奥で、で唐突にサザエの話が出てくるとは予想していなかった。
ここには工事用の灯りとして、サザエの貝殻を台座かなんかにしたのだろう。『灯しおいた所』の語感が絶妙にツボった。
一番天井が高いところは4.1mもあるそうだ。ただ、真っ暗な洞窟を目の前と足元のみを照らしながら進んでいるので、自分の身長以上の空間はあんまり興味ない。それに、ここをすぎるとまたすぐに圧迫感のある天井が頭のすぐ上に現れるんだからな。
「④」と番号が振られた、トンネルの中心地点を少し過ぎた頃であった。進行方向から人の声が聞こえた。誰かがこっちに向かってきているのだ。
向こうは複数名のようだった。先頭の人とは、お互いライトを持っているのですぐに存在を確認しあうことができた。もっとも、向こうは脆弱なスマホのライトだったけど。逆打ちなので懐中電灯を持っていないのだな。
僕は洞窟の壁ギリギリまで避けて、「どうぞ」と道を譲った。
先頭の人が「すみません」と言って、僕の横を通過していった。
問題は2人目以降だった。僕の存在に気付いていないのだ。洞窟が狭すぎて、1人目の背中しか見えていなかったからであろう。「マジ暗いよなー」とか、3人目以降と話している。こっちが彼らの足元を照らしながら待ってあげているというのに。まぁいいけど。
ふと疑問に思ったのか、彼は持っていたスマホのライトで僕の顔を照らした。そして「うわぁぁ!!」と叫んだ。あぁ、そりゃ心中お察しする。洞窟の中で知らない人がいきなりライトの光の中に浮かび上がったら怖いもんな。それにしても、この人生で一番びっくりされたけどな。
彼らはその後、恥ずかしそうに「すみませんっ…」って言いながら僕の横を通過していった。ドンマイ、そういう日もあるよね。
再び洞窟の中は静けさに包まれる。彼らは逆打ちなので長靴も履いていない。大丈夫かな、彼らの歩む先は、それまでとは比べ物にならないくらいに水浸しなのだよ…。
そして道は左右が鉄柵で固められ、頭上には頭部ダメージ軽減システムが現れた。おぉ、これは僕自身が逆打ちで見た光景。ゴールは近いぞ。
正面から光が射し、空間がグニャグニャになるのは、次元の壁を越えて現実世界に帰れる証。どっかの映画でそんなシーンを見たから知っている。
こうして琵琶湖川に抜けた僕は、2代目西野水道を使って駐車場にサクサクと戻った。
駐車場の車の中で、僕は待つ。あの4人か5人組の、初代水道内で出会った彼らを。少し心配だったのだ。数分待つと、そのうち遠くから楽しそうな声と共に彼らがやって来た。
別に声をかける必要もない。駐車場の車の中に僕がいることに気づいてほしいわけでもない。ただ一目、確認したかっただけだ。
僕はエンジンをかけると颯爽と青空の下を走り出した。
行きには気付かなかったが、右手を川が流れていた。あぁ、これが3代目西野水道に続くのだな。水の流れと逆行し、僕は進む。
名称: 西野水道
住所: 滋賀県長浜市高月町西野
料金: 無料
駐車場: あり
時間: 特になし
この記事は読者投稿でお送りいただいた記事です。
編集部より寸評
長らく不定期で記事を投稿いただいているYAMAさんですが、毎度よくこんな場所見つけてくるな……と驚かされます。
さすがの書き慣れ感で長くても読みやすく、1ページまるっとスキップしてもよいルートが用意されているのも親切でした。(そういわれるとだいたい読んじゃいますが)。
初代水道でのすれ違いのエピソードがいいですよね。スポット自体の情報よりむしろこういうエピソードが読みたくて、記事を読んでる気がします。(編集部・石川)
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