中学校の地理で習った? 河岸段丘とは?
河岸段丘。
地理にあまり興味がない妻は「カガンダンキューって何?」とストレートに聞いてきた。
河岸段丘ぐらいみんな知ってるようなつもりで勝手に話を進めるのは良くないので、改めて河岸段丘について説明しておきたい。
ぼくは、中学校の地理で習ったような気がしていたのだけど、はっきり記憶はしておらず、もっぱら地図帳に載っていた河岸段丘のイラストの印象が強い。
家にあった地図帳から、河岸段丘が載っているものをいくつか見てみたけれど、掲載はわりとあっさりしたもので、最近の中学校用の地図帳は、河岸段丘があまり詳しく載っておらず、様々な地形を見せる中のひとつとして「河岸段丘」という用語が書かれているだけだ。
ついでに、最近の中学校用の地理教科書(東京書籍・帝国書院・教育出版・日本文教出版)をざっと調べたところ、河岸段丘の項目は見当たらなかった。
ぼくの「中学校の地理で習った」という記憶は、地図帳の挿絵で見たものを、習ったような気になっていただけかもしれない。あるいは、理科の地学の方で習っていた可能性もある。
とまれ、地図帳(帝国書院のもの)には、沼田の河岸段丘が典型例として載ってはいる。ということはおわかりいただけたかもしれない。
河岸段丘は、川が土地を平らにする作用と、崖を侵食する作用、そして土地の隆起と海水面の低下がセットになって、階段状の地形ができる……のだけど、ちょっとイメージし辛いかもしれない。ぼくもあんまり良くわかってない。
①平地(高低差があまりない)にある川は蛇行しがちで、蛇行することによって、周りの土地を平らにする作用がある。
②土地が隆起したり、海水面が低下して相対的に土地が隆起したことになると、川の高低差が大きくなって、川が土地を削る力も強くなり、川が崖を作って流れるようになる。ここでできた崖は段丘崖(だんきゅうがい)と呼ぶ。
③川はしだいに崖を侵食して横に広がり、土地を平らにしていく。ここでできた平地は、段丘面(だんきゅうめん)と呼ぶ。
④土地が隆起したり海水面の低下が起きれば、川は②の状態に戻る。
⑤②から④の繰り返しが起きると、階段状の地形ができる。
ぼくの理解する範囲で河岸段丘のでき方をまとめてみたけれど、どうだろうか。河岸段丘がなぜできるのかに関しては、知恵袋とかウィキペディアみたいなところが真面目に説明しているので、もっと詳しく知りたいひとはそちらをみてほしい。
ひとまず、この稿では「地図帳のイラストのような階段状の地形が沼田にはある」ということを頭に入れて読んでいただければと思う。
「これが見たかった」
家から沼田まで高速道路で2時間半ほどかかるらしいので、めちゃくちゃ早起きして家を出発する。
駅から15キロほど離れたところに「河岸段丘ビューポイント」というところがあるので、そこを目指してバイクで向かう。
沼田市街を抜けて山道を10分ほど走ると、ビューポイントにやってきた。
簡単な展望台があるだけの簡素な駐車場だが、ここから沼田の河岸段丘が一望できるという。
広角で撮るとなんだか良くわからないけれど、確かにりっぱな河岸段丘が、見える。
東京から2時間ちかくかけてやってきた、河岸段丘ビューポイント。
河岸段丘に対する思い入れがあるので、ぼくは思わず「ほー、これが、日本一美しい河岸段丘か……」と唸った。なお、同行してくれた妻の第一声は「これが見たかったの?」だった。「うん、これが見たかったー」とぼくは笑顔で答えるしかなかった。
こういうものは、実際に来て実物をみなければ、そのスケールのデカさは体感できない。だから東京から2時間近くかけてきたその価値はある……と思う。
赤城山からツーっと伸びる見事な扇状地の先に、見事な段が続く。たしかに、美しく、雄大な景色だと思う。
目を凝らして良く眺めると、真ん中あたりに赤い橋が見える。あれは関越道の片品川橋で、さっき渡って来た橋だ。
この橋は橋脚の高さが最大69メートルあるらしいので、橋の路面は川から70メートル近い場所ということになる。それはつまり、沼田の河岸段丘の崖の高さはそれぐらいはあるということになる。
先ほど立ち寄った沼田駅と市役所などがある沼田の中心市街地は、崖を隔てて別の段丘面にあるため、市街地と駅を行き来するには崖を登ったり降りたりする必要がある。
沼田駅から、市街地へ向かう道を見てほしい。かなりの急坂で崖を登らなければいけないようになっている。
実際に道路を走行して見てみると、道の突き当りに壁みたいな坂があるように見えたのだけど、iPhoneの広角レンズだとその迫力が今ひとつ伝わりにくくて申し訳ない。
この坂は「滝坂」という坂で、途中で歩道が階段になってしまっている。
途中で絶対止まりたくないレベルの坂道な上、駅方面から市街地に入るにはかなり鋭角にUターンせねばならず、クラッチ操作が下手くそな俺はヒヤヒヤするしかない。(幸いエンストすることはなかったです!)
沼田の市街地はこの崖の上にある「沼田面」と言われる段丘面に広がっているため、四方から沼田の市街地に入ろうとするとかならずこういった急坂を登ることになるわけだ。