好きです。ナイススティック。
当たり前のように話を進めているが、ナイススティックとは山崎製パンが販売する菓子パンのことである。細長くて柔らかいパンに甘いミルククリームが挟まっているのが特徴だ。山パンの投票企画の上位に名を連ねることも多い人気商品である。
両親の出会いの場が山崎製パンの工場だったサラブレッドの僕に言わせれば、ヤマザキ製品でいちばんうまいのはマーラーカオである。マーラーカオがダントツでうまい。ナイススティックはその次の次くらいに好きだ。たいていどこでも手に入るのがいい(マーラーカオは探さないとない)。
食べ比べのために通常の物とクリーム1.5倍のものを2本ずつ買ってきた。
4本まとめて車の助手席に置いておいたら、一緒に席に乗せていた焼酎瓶の下敷きになって1.5倍のナイススティックが2本ひしゃげてしまったので、撮影用にこれはまずいと思い2本買い増しした筆者のナイススティックはぜんぶで何本あるでしょうか。ただし、ひしゃげたナイススティックも合計の数に入れるとします。
こたえ6______本
ナイススティックをくらべる
それでは、買ってきたナイススティックをくらべてみよう。
まずはカロリーから見てみる。
けっこう違った……!20円でカロリーが100kcalも違う。数値だけではピンとこないけど差は明確だ。次はお待ちかね、中身のクリームを見てみよう。
写真では少し分かりづらいが、1.5倍のほうはクリームに厚みがあって塗り方も荒々しい感じがする。ナイススティックのクリームって白いイメージがあったけどけっこう黄色いな。
味の違いはどうだろうか。立て続けに食べて比べてみる。
違う!ハッキリと違う。
通常のナイススティックを食べるときは、かじりついたら舌先でクリームのありかを探る必要がある。味覚でクリームを捉えるために神経を集中させなければならない。パンに対するクリームの割合が少ないからだ。そうして掘り当てたクリームの甘さという推進力で、味気のないパンをなんとか食べ進めるのが作法なのだ。
この点において、1.5倍の方はただクリームが多いというだけの代物ではない。口に入れた瞬間にクリームが舌に当たるのである。前歯でパンを噛み切ったときの圧力でクリームが押し出されてくる。そうなるとまず甘さと脂質を感じる。しあわせなオートメーション。舌先で探し当てなくても甘味が広がるのは楽だ。そう、楽なのだ。ボケーっと食べてもうまい。怠惰なうまさ。
正直なところ、うまさそのものに大きな差があるわけではないのだけど、食べ慣れたナイススティックの違う表情が見れた嬉しさが大きい。これはいいものだ。
ところで、通常のナイススティックは108円、クリーム1.5倍増しのナイススティックは128円だった。たった20円の差で贅沢が味わえるのだ。
そうなのだが、ふとレシートを見返してみると、通常と1.5倍増のものを2本ずつ買ったのに、4本とも1.5倍増の価格でレジを通っていることに気づいた。差額の40円分損をしている。
ほとんどパッケージ同じだし分かりづらいよね。わかるわかる。だがしかし感情と勘定は別問題である。