良い肉の共通点とは?
中学生の我が子より所持金が少ないことに気付いた私は、仕方なく無料画像素材サイトで肉の盛り合わせを見ていた。
その時、何故だか私の胸はざわつきだした。今までの人生において、こんな瞬間が何度かあった。そしてそれはいつでも、後の人生を大きく変える素敵な閃きであった。落ち着いて別の写真を見てみる。
ああ、分かった。名札だ。部位が書き込まれた名札。良い肉にはこれが添えられていることが多い。そして私は思った。「むしろこの名札こそが、“良い肉感”を担保しているのではないか?」。
2割引きの肉で試してみる
スーパーの精肉コーナー。分厚くて綺麗に霜が降っているステーキ肉には目もくれず、私は豚と牛の切り落としパックをむんずと掴む。それぞれ100g188円と232円。さらにそこから2割引き。
このお手頃な肉を皿に盛り、名札を添えてみたらどうなるのか?それも余計なごまかしはせず、はっきり「切り落とし」と書くのだ。
良いぞ。完全に上手くいったとは言わないが、光の射す方へ導いてくれそうな萌芽はある。私はこの道を歩く。
変化(主観)
豚:100g 188円→250円
牛:100g 232円→400円
では改善点はどこか?そうだ。字の太さだ。もっと堂々と、太い字で高らかに切り落としであることを宣言するのだ。引き出しから筆ペンを取り出す。
悪筆の私でも“良いもの”感が出ている。すんごいぞ、これは。晩御飯を食べていくことになった来客の前にこれを置いてご覧なさい。胡座から正座に変わるぞ。
変化(主観)
豚:100g 188円→350円
牛:100g 232円→600円
コンビニ弁当はどうか?
肉以外にも応用できるだろうか?すぐに近所のコンビニまで走る。
名札を添えるだけで“良いもの”感が出てしまうのなら、棚に並ぶ商品はすべて宝の山。コンビニが紀ノ国屋か成城石井に思えてくる。色合いがやや茶色に偏った弁当も、数分後には星付きレストランの逸品と見紛うはずだ。
今回は直筆でなく、PCで文字を打ち出して透明フィルムに印刷し経木に張り付けてみる。
なにかが違う。なんか、悲しい。墓標みたいだ。私の記事なのだから、「“良いもの”感、出ました!」と強弁することもできる。しかし、それは違うと思った。記事をわざわざ読んでくれている皆さんには、砂粒一つほどでも良いから有益な情報をお渡ししたいのだ。
だから、はっきり言う。ここに“良いもの”感はない。むしろ、元の弁当より価値が下がった。恐らく、最低限トレーから出して皿に並べる、くらいの手間は掛けないと駄目だ。
弁当:約600円→560円