今回の検証、全体的に無理がありがちでしたが、それでも個人的好み度1位だった、ねるねるねるねとタバスコのソースは、またたまに食べたくなるようなちょっとおもしろい味わいでした。
わざわざ買ってやってみて! とまではおすすめしないけど、ご興味あれば戯れにぜひ。
そして今思ったんですが、アイスとかスイーツとか、もしくはカクテル系のお酒を「映え」させるのにばっちりな気がします。ねるねるねるね。
まずはそっちをやればよかったかな……。
「ねるねるねるね」というお菓子がありますね。有名でありながら、今までの自分の人生にはあまり縁のなかったこのお菓子を、先日食べてみる機会がありました。それを見て、「これ、料理のソースに応用できないかな?」と感じてしまいまして。
はい、試してみます!
「ねるねるねるね」は、1986年の発売以来、自ら練って作るという工程のおもしろさが子供心をつかみ、現在も販売されている人気のお菓子。魔女のおばあさんが「うまい!」と叫び、直後に「テーレッテレー!」とファンファーレの鳴るCMはあまりにも有名ですよね。
ただ、特に深い理由があるわけではないんですが、僕は子供時代から今まで、あまり興味を持ったことがなく、食べた記憶もありません。
先日、これをスーパーのお菓子売り場で見つけた4歳の娘が「やってみたい」と言いだし、買って帰って手伝いながら作ってやったんですが、まだこういう派手な味のお菓子類に慣れていないこともあり、ひとなめしたのみで残してしまいました。
どうしよこれ……と思いつつ、残すのも忍びないのでひと口食べてみたところ、「自分で作るという工程に重点を置いた結果、きっと味のほうはおざなりで、残念気味なことになっているのだろう」という予想に反し、ちゃんと美味しい! わかりやすい甘酸っぱさと、「ブドウあじ」とつく商品名どおりの、ものすごく華やかなぶどうの香り。思わずそのまま酒のつまみにし、一杯やってしまいました(プレーンチューハイはなんにでも合うので)。
作りかたは、まずトレイから折り取った計量カップで測った水と「1ばん」の粉をトレイのカップに入れ、
ここに「3ばん」の袋に入った、細かく砕かれた「キャンディチップ」をつけながら食べるというものです。
そこで、酒にいじきたない僕は思った。この甘酸っぱさとぶどうの風味、それからいわゆる「エスプーマ」風の食感。ねるねるねるね、料理のソースに応用できないかな? と。
今日もまたおかしなことを言い出しやがったな、という読者の方の声が聞こえてきそうですが、一応説明しますね。
今回は検証用に、お手軽にこういうものを買ってきました。
これをひと口大にカットし、
ええ、おっしゃるとおり、バカな見た目です。けどもし、高級フランス料理店で、こいつが大皿の中央にちょこんとのって出てきたらどうです? なんの疑問もなく「わぁ、おしゃれ!」と受け入れませんか?
そもそも料理の世界では、肉料理とベリー系、もしくはずばり「グレープソース」なんてものを合わせることも珍しくもないし。
というわけで食べてみよう。
ぱくっ……もぐもぐもぐ……あ〜、これは……「なし」寄りの「あり」……いや、「あり」寄りの「なし」かなぁ……。
当然だけど、フルーツからていねいに作ったソースとは違い、あくまでお菓子なので、味がとがって主張が強く、チキンとぜんぜん融合してないですね……。
そもそもメーカーの想定する本来の食べかたを大きく逸脱した、自分勝手な行為。あくまで個人的な好み度を10点満点で点数化するなら、このくらいかなぁ。
もしかして、いやほぼ確実に、これからやろうとしていることはものすごく無駄なことなんじゃないか。「そもそもお前、料理なめてるだろ」そんな誰かの声が脳に直接響きはじめましたが、すでにねるねるねるねを3袋も買ってきてしまってあるし……。
よし、無視してすすめます!
素のままのねるねるねるねを肉料理のソースとして食べてみて気がついたことは、ねるねるねるねがあまりにも「お菓子」であるという当たり前の事実。なにかこう、潤滑油的な存在の力を借りて、もっとソースに寄せてやる必要がありそうです。
そうだ、単純に家にある調味料あれこれと混ぜてみよう!
もぐもぐもぐ……あ〜、まだまだお菓子的なとがりはあるけれど、甘じょっぱさがどこか「みたらし」のようでもあり、そこに華やかなぶどうの香り。なしではなくなったかも。
これ、けっこう期待値高かったんですよね。ポン酢の酸味がねるねるねるねのそれをうまくまとめ、ぶどうの香りをナチュラルに引き立たせてくれるんじゃないかって。
ところが、両者のとがった部分がぶつかっちゃって、あまり良くないかなぁ……。
お次は100%のレモン果汁。あ、これはなんというか、もとの味わいに酸味が少し加わった程度で、あんまり意味がなかったかも。とはいえ、ねるねるねるね単体よりはほんのり料理っぽい。
ふだんほとんど料理に使うことがなく、あんまり特性もわかっていない「白ワインビネガー」。だけど、なんとなくこのような場には適任な気がして試してみました。
結果、これがなかなか! よく考えたらワインの原料もぶどうだし、両者の華やかな酸味と香りの方向性が近いからか、今まででいちばんまとまっています。
あ、これはもう、うまいっすよ! よかった、この企画、多少はなんとかなりそうだ。
マヨネーズって偉大ですね。ねるねるねるねのとがり感をうまくカバーし、ちょっと不思議だけど、こういうソースがあると言われれば納得してしまうくらいの味にはまとまっています。
ソースの味が強いので、ぶどうがほんのりと香る程度までにおさまっています。これまでのなかでもかなり違和感が少ない。けど、おもしろさで言ったらマヨネーズだったかな。
お〜、ありありあり。トマトの酸味と甘味にブドウの香りが優雅にマッチし、これはもう、完成されたソースと言って差し支えないんじゃないかな?
って、だんだん感覚が麻痺してきてるだけの可能性もありますが……。
あ! うまいうまい! タバスコの強い辛みと酸味がねるねるねるねのお菓子感を問答無用にねじふせ、ちゃんと「タバスコグレープソース」になっています。
もちろんしっかり辛いので、それが大丈夫な人向けではありますが。
実はバルサミコ酢、大本命だったんですよね。あまり深い理由はないけど、なんらかのマジックが生まれるんじゃないか? って。
が、ちょっとだめだこれは……ちょっと両者のとがりが強すぎる。そのパンク精神はまるで、シド・アンド・ナンシー。
そもそも肉料理に使うバルサミコソースって、はちみつなどと合わせて煮詰めて作るんだそうですね。
早々に異臭騒ぎになりそうな予感がしたのですぐに火を消しました。
というわけで結論。個人的おすすめは、タバスコ!
今回の検証、全体的に無理がありがちでしたが、それでも個人的好み度1位だった、ねるねるねるねとタバスコのソースは、またたまに食べたくなるようなちょっとおもしろい味わいでした。
わざわざ買ってやってみて! とまではおすすめしないけど、ご興味あれば戯れにぜひ。
そして今思ったんですが、アイスとかスイーツとか、もしくはカクテル系のお酒を「映え」させるのにばっちりな気がします。ねるねるねるね。
まずはそっちをやればよかったかな……。
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