この撮影前、口の周りに吹き出物ができたり、唇が異様に荒れたりしてかなり焦った。栄養剤を飲んだり、しっかり肌を保湿したりしたが、前日に突然、唇の荒れに痒みが出てきて、焦って皮膚科にまで行った。結局なんともなく、「とにかく保湿をしろ」で終わった。なんだったんだ……。
いつも以上に顔面に気を使い、もしかしたら人に見られる職業の人だと普段からこんな思いをしてるのかもな……と勝手に思いを馳せたりした。
仮装をしたいけど準備に時間がない。そんなときに「そうだ、口元に線を引けばいいんだ!」と、この仮装を思い付いた。メイク時間はたったの40秒。このメイクなら、「アンドロイド」ってことにしようか、それとも「腹話術人形」?
メイクだけだとやっぱり説得力に欠ける。もっとそれっぽく見せるにはどうしたらいいんだろう。試行錯誤の様子をお伝えしたい。
発端はというと、当サイト主催の「地味ハロウィン」だ。前日に行くことが決まり、急いで仮装を考えた。口元に線を引くだけで、「人造人間」か「アンドロイド」だってことにできるのでは?
メイクはものすごく簡単。なんと口元にアイライナーでささっと線を引くだけで、あっという間にほら「アンドロイド」……!
このときは服もとくにこだわってなかったが、後日もっとしっかりとアンドロイドっぽさを追求してみたくなった。
つぎに髪をピッチリ分けよう。その方がなんとなく人間らしさ薄まるような気がした。
シミやクマはとにかく隠し、ファンデーションは厚めに。顔色を均一にし、肌はマットな質感に。
メイクだけじゃなく、服装もそれっぽくしたいが、「アンドロイド」っぽい服ってなんだろう。あれか、受付ロボット。
機械っぽさを意識してみたが、ここで一旦ストップが入る。どうもしっかりカメラ目線になってしまい、人間らしさが消せてないようなのだ。
途中から撮影者が「今それっぽかった!」と褒めてくれるようになったが、自分だとよく分からない!
撮る側のほうが徐々に掴んできたのか、「腕が不自然な位置で止まってた方が人間らしさが減る」「ハイ、その角度イイヨーイイヨー」みたいな指示を出してくれるようになる。
「どこを見てる訳でもない感じに」「けどカメラの方を向いて……」って言われても、難易度高すぎる! 邪念を振り払わなければ。なんだこれ、修行っぽいな。
動きに関しては、数年前のスーツがかなりきつくて動きづらいので、ちょうどいい感じにぎこちなくなっている。
「首をかしげる動作が人間っぽい(「アンドロイド」っぽさが薄い)」と言われた。
確かに首を傾けると、なんとなく意思を感じるような……。気持ちが入ってるように見えるから……かも……?
だんだん「どうすれば人間らしさを消せるか」がテーマになってきた。
口はこの程度開けるのがたぶん良い。眼球はそんなに動かさず、瞬きの回数も減らす。
するとコンタクトレンズがだんだん乾いてきて、どこ見てるのか自分でよく分からなくなってきた。
視界がぼやけてきて、どこを見てるのか自分でもよく分からなくなってきたのは良いが、しばらくすると目が潤んで充血してきた。
やばい、生命が溢れてくる……!
難しすぎる……! 修行だ、これ……と思いつつ、一体どうなれば目標達成なんだろう。
線を引いてなりきってみたが、「アンドロイド」って口元に線がくっきりと入ってる訳ではない。
こういう線が入ってる……と言えば、腹話術人形じゃないか?
地味ハロウィンの会場では、自分の仮装のテーマを名札に書くのだが、「一体なんと名乗ればいいんだ……」とかなり迷走していた。
口元の線が入ってるなら、「腹話術人形」ということにしたほうが分かりやすいかもしれない。いや、やっぱり「アンドロイド」か。
どちらも人の形だけど、一方は機械で、一方は人形。デジタルとアナログ。世界観も全然違う。
それぞれの特徴を挙げてみると……
仮装した私は自立して歩くので、その点では「アンドロイド」としたほうが適してる。
だが、線を入れないまま「私はアンドロイドです」と言い張ったところでどう見ても人間にしか見えない。
なので「口元の線は機械だと分からせるための記号的なもの」だと割り切るしかない。イラストでも、線を入れた方が機械らしさは強調される。
いろいろと細かく考えてしまったが、これは「機械らしさの演出」の線ということで、そんなに細かく気にしなくてもいいか!
迷ってた「腹話術人形」のほうも、もっとちゃんとやってみたくなってきた。
同じメイクのままそれっぽい服装に着替えてみた。ただ、こういうオーバーオールの腹話術人形ってだいたい少年だが、こっちは女な上に大人だ。ハンデがありすぎる。
試しにスマホのポートレートモードのビューティレベルというのを、めいっぱい上げて撮ったらこうなったが……
やっぱりこんなツルンとした肌は現実離れしすぎてるので、真っ向勝負でいきたい。
「腹話術人形」と言えば、後ろに人がいる方がそれっぽく見えるだろう。試しに立ってもらったら、こ……これは……!!
これはもう腹話術以外の何者でもない。表情が呆けた感じでも問題ないようだ。
なんでだろう。「アンドロイド」のときより全然やりやすい。動きや表情が単純だからだろうか。後ろに人がいるお陰で、外からの注目が分散されるからだろうか。
実際、「腹話術人形」として操られてるところを動画に撮ってみた。
自分の喋りパート(喋ってるのは操る側だが)になったときに無表情で顎とガコガコ動かしたり、決まった方向だけを向くようにすればなんとなくそれっぽくはなる。
だが、どうしても首をゆるりと動かしてしまいそうになったり、意外と難易度は高い。
もし人を集めてみんなでなりきるワークショップをしたら、きっと楽しそうだと思った。
「アンドロイド」と「腹話術人形」、それぞれになりきるためのポイントをまとめるとこんな感じになった。
関節の動きの特徴は異なるが、目に関しては共通してる。
すべてに関してとにかく「邪念を払う」ところから始まる。「まさか精神統一に使えとは意外な発見!」と思ったが、なにかになりきろうとするときって、これに限らずそんなものなのかもしれない。
みなさん、「アンドロイド」や「腹話術人形」になりきって心を静めてみませんか……(呼びかけ)。
この撮影前、口の周りに吹き出物ができたり、唇が異様に荒れたりしてかなり焦った。栄養剤を飲んだり、しっかり肌を保湿したりしたが、前日に突然、唇の荒れに痒みが出てきて、焦って皮膚科にまで行った。結局なんともなく、「とにかく保湿をしろ」で終わった。なんだったんだ……。
いつも以上に顔面に気を使い、もしかしたら人に見られる職業の人だと普段からこんな思いをしてるのかもな……と勝手に思いを馳せたりした。
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