特集 2022年9月12日

甲子園とはまた別の世界!「軟式」の高校野球選手権大会を見てきた

2022年の夏の高校野球、宮城県代表の仙台育英高校が東北勢として初めて優勝して話題になった。

私はいつもなんとなく東北勢を応援しながら甲子園の高校野球を見ていたから、決勝戦を見ながらテレビの前でかなり盛り上がった。

「いやー!仙台育英、強かったなー!」などと余韻に浸っていたところ、野球に詳しい友人から「甲子園が終わると軟式の高校野球大会が始まりますよ」と教わった。「え!軟式?そんな高校野球もあるの?」と驚き、その試合を見にいくことにした。するとそこにはもう一つの世界があった。

大阪在住のフリーライター。酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。1,000円以内で楽しめることはだいたい大好きです。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーとしても活動しています。(動画インタビュー)

前の記事:USJの前だったら何をかぶっていても違和感ないんじゃないか


高校野球といえば「甲子園」と思うけど……

まず初めにことわっておきたいのだが、私は野球に詳しくはない。小学校、中学校と野球部に入っていて、その頃は確かに野球が好きだったのだが、中学の途中で部をやめてしまい、それ以来、縁遠い人生を歩んできた。プロ野球もメジャーリーグも普段は見ておらず、というか、スポーツ全般に対して興味が薄い方である。

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甲子園にはビールを求めて行っているところがあるぐらいの不真面目な私

なのだが、夏の高校野球だけは見ている。いや、それもかなり「なんとなく」のレベルなのだが、両親が山形出身で、小さい頃からよく家族で山形に里帰りした。夏休みに親戚の家にいくとたいていテレビで高校野球が流れていて、居間にみんな集まってそれを見ることが多かった。まずは山形県代表の高校を応援し、それが負けてしまうと次は東北勢を応援する。

前述の通り、今年、2022年の夏の高校野球では仙台育英学園高等学校の野球部が優勝したが、それは長い高校野球の歴史で初めてのことだった。春に行われる選抜高校野球大会、夏に行われる全国高校野球選手権大会の両方とも、東北勢が優勝したことは一度もなかったのである。そんな東北勢を「今年こそは!」と応援しながら見ていると、野球に詳しくなくてもかなり力が入るのであった。

私は大阪に住んでいるのだが、この夏、甲子園球場の近くに住む友人が高校野球の観戦チケットを取ってくれた。しかもそれが準決勝の日で、目の前で仙台育英高校が決勝戦に進むのを見たものだから、一気に高校野球熱が高まったのであった。さらにその仙台育英が優勝したし!

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準決勝ともなると外野席もほぼ満席である

前置きが長くなってしまった。とにかくそのような高校野球熱が私の中にまずあって、そこに友人が「軟式の高校野球大会も面白いっすよ」と教えてくれたので「え!そんなのあるんですか!ぜひ見てみたい!」と、そういう話になったのである。

いわゆる高校野球とは色々違う「軟式高校野球」の世界

というわけで、全国高校軟式野球選手権大会(正式な大会名は「全国高等学校軟式野球選手権大会」)に足を運び、実際に試合を間近で観戦してきて思ったことをこれから書き綴っていこうと思う。まず先に硬式の高校野球大会と、軟式の高校野球大会との主な違いをまとめておこう。

・軟式ボールは硬式ボールに比べて飛距離が短いため、長打やホームランが出にくい
・そのため大量得点が入るような展開が少なく、一点を争うようなロースコアの試合が多くなりがちである
・硬式野球だったらランナーが2塁まで進めば「得点圏」と言われるが、軟式では3塁まで進んでようやく「得点圏」とされる
・全国各地で地区予選を勝ち上がった高校が出場するのは一緒だが、エリア分けに違いがある
・大会は兵庫県明石市にある「明石トーカロ球場」と、姫路市にある「ウインク球場」で開催される
・甲子園の高校野球に比べると観客数はかなり少なく、観覧料は無料

と、大まかにはこんなところだろうか。他にも細かな違いはあるが、それは実際に観戦しながら確かめていきたい。今回、頼れる案内人として、高校時代に実際に軟式野球をやっていたSさんに取材に同行してもらい、コメントをもらいながら観戦をした。

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高校時代、軟式高校野球部に所属していたSさん

今年、2022年の全国高等学校軟式野球選手権大会(ちょっと長いのでこれ以降「全国高校軟式野球大会」と表記します)は8月24日にスタートした。甲子園で硬式の高校野球の決勝戦があったのは8月22日。その閉会の2日後に軟式の大会が始まったわけである。硬式の大会が終わった数日後に軟式の大会がスタートするという慣習になっているそうだ。

で、ちょっとややこしいのが、全国高校軟式野球大会は明石の「明石トーカロ球場」と姫路市の「ウインク球場」の2会場で同時に開催され、準決勝と決勝は「明石トーカロ球場」のみで行われる。2会場で同時開催することによって日程を短縮でき、出場校にかかる負担も軽くできるという理由があるようだ。

大会初日の朝、私たちは「明石トーカロ球場」にやってきた。試合開始に先駆け、午前9時から「開始式」が行われるとのことで、そこから見にきたのであった。

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JR明石駅からほど近い場所にある「明石トーカロ球場」
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JR明石駅からほど近い場所にある「明石トーカロ球場」

球場に到着すると間もなく「開始式」が始まった。

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「明石トーカロ球場」で行われた開始式の模様

軟式高校野球の開始式を見ることになるとは思わなかった

開始式には、第1試合に出場する「早稲田大学高等学院」と「倉敷工業高等学校」の軟式野球部メンバーがずらっと並んで参加した。ちなみにこれとほぼ同じ形の式が、もう一つの会場である姫路「ウインク球場」でも同時に、そっちはそっちで行われていたらしい。

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まったく知らなかった世界の「式」を見ている
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まずは会長の挨拶

校旗の掲揚が終わり、日本高等学校野球連盟の会長である宝馨という方の挨拶を、副会長の北村雅敏さんが代読していた。

その内容をざっくりまとめると「1872年に日本で野球が始まった。1918年に軟式ボールが開発された。1956年から軟式の全国高校野球大会が始まり、今年で67回目である。全国から399校がエントリーし、その総部員数は7820人になる。これから大会で試合をするみなさんは、その代表として出場しているのです」というような感じであった。軟式の高校野球大会にも70年近い歴史があるんだな。

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早大学院・主将の野手洸吾選手が選手宣誓をしている
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グラウンドに置かれたこれが軟式のボールである

選手宣誓ではここ数年、コロナの影響で期待していたような学校生活が送れなかったこと、思うように練習ができず苦悩する日々が続いたことなどが語られ、印象的だった。本当に大変だったろうな。

開始式が終わると各チームの練習がスタート。その間にちょっとグラウンドの様子や周辺を見てみることに。

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観客席の雰囲気。試合開始前なのでまだ人もまばらだ
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いかにも明石らしい広告の入った外野フェンス
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売店では軽食や飲み物のほか、大会オリジナルグッズも販売されていた
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知らない世界の知らないグッズ
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出場校の校名が入ったタオルや
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ステッカーを買いました
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こんなに近くで試合を見れるなんて思わなかった

いよいよ試合が始まった。私が今まで甲子園球場で高校野球を見たことがあるのは外野席のかなり後ろの方ばかりだったのだが、ここでは間近に観戦できた。選手たちの声も聞こえるほどだ。

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円陣を組んで、
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両チームが整列して試合がスタート
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近くで見る野球は迫力が違うな

同行のSさんと「めちゃくちゃ近いですねー!」と話しつつ観戦する。Sさんは鳥取県出身で野球に打ち込んでいた。もともとは高校でも野球をやって、甲子園を目指すつもりだったという。お話を聞いていこう。

言うまでもないことだが、あくまでSさんが見てきた軟式高校野球の話であって、これがすべてだとか正解だとかいうわけではない。

――Sさんはなんで硬式ではなく、軟式野球をやろうと思ったんですか?

「野球は好きで中学まで一生懸命やってたんですけど挫折して、中2の時にやめたんですよ」

――あ、そうなんですね。

「そうなんですよ。高校1年の時はテニス部とか入って。それもやめて何もしてなかった時に、仲のいい先輩が軟式野球部に入ってて『軟式いいよー!全然厳しくないし、楽しいよー!おいでよ』って誘ってくれたんで高2から入ったんすよ。そしたら本当にゆるゆるで(笑)みんな下手で、ただ遊びでやってるみたいな。いきなりレギュラーになれたりして」

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高2から軟式野球部に入ったというSさん

――のんびりした感じだったんですね。

「そうなんすよ。こういう(今目の前で見ている試合のような)感じじゃ全然なくて、遊び感覚で。で、僕が3年に上がった時に、その時の2年生でそれまで本気で硬式野球やってた子たちが急に軟式に入ってきたんですよ」

――え!なんでですか?

「うちの学校、硬式はかなり指導が厳しかったんですけど、それがあまりに厳し過ぎて部と親とが揉めたみたいなことがあって、それで7人か8人か、一気に軟式に入ってきたんです」

――なるほど、硬式をやめて軟式に来た2年生たちがいたと。

「そいつらってそれまで本気で野球やってきてたんで、めちゃくちゃうまいんすよ。真剣だし。そしたら僕らの同級生がいきなりほぼやめて。面白くないって(笑)こんなつもりでやってたんじゃないって」

――はは、のんびりやってたところが突然に真剣なムードになったわけですもんね。

「それでいきなり最強チームができたんですよ。僕は仲良いやつが部にいたんでやめないでやってたんですけど、とにかく強いチームになって、練習試合も無敗みたいな。これ、本当に全国いけんちゃうかみたいな。『明石行きましょうよ!』みたいになって」

――あ、「目指せ甲子園!」みたいな感じで軟式だと「明石行くぞ!」ってなるんですね。

「そうっす。この明石の球場に来るのが目標っていうか。で、鳥取県大会もいい感じで進んでて、強い高校と当たったんですよ。ここに勝ったら中国地区大会進出確定かもっていう。めっちゃいい試合して、僕もその日は守備が絶好調で、結構ファインプレーしてたんすけど、最後の最後になんでもないセカンドゴロをエラーして、それが決勝点になって負けるっていう」

――おお、それは悔しいけど、でも仕方ないですね。

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硬式に比べると急速は落ちるという軟式だが、最速140kmの投手もいるという

「軟式、面白かったですけどね。昔の話なんで今は違うと思うんですけど、練習試合とかでヤンキー高校と当たることもあって。ヤジとかめっちゃ怖いんですよ(笑)練習試合だから生徒が審判することもあるんですけど、審判を脅してきたり(笑)」

――ははは。それは嫌だなー。

「でも全国に出るような学校は本当すごいっすよ。毎年出てる常連校も多くて、作新(栃木県の作新学院高等学校)とか中京(岐阜県の中京高等学校)とか、力を入れてる学校はめっちゃ強くて、みんな頭も青く刈ってますからね。軟式は割と髪型が自由なんですけどね。長髪の子とかもいて」

――実際にプレーしていて、硬式と軟式って違うものですか?

「球が飛ばないっていうのが大きいっすね。軟式で強いチームだと地面に叩きつけるように打つのがみんな上手で、叩きつけてボールが上がってる間に走るみたいな。ランナーが3塁まで進んだ時も、スクイズじゃなくて叩きつけてホームに走る。ホームランはあんまりなくて、だから外野の前進守備がすごいっすよ。だからライトゴロとか結構多いっす」

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長打が出にくいため、打者の狙いも硬式とは違うという

――たしかに長打があまりないからか、試合が結構どんどん進んでいきますね。

「やっぱり打った時の音の違いっすよね。『カキーン』じゃなく『ボゴッ』ていう。あとバットに当たっても変なところに当てると球が柔らかいからスピンがかかって、変わった打球になるんすよ。ファールゾーンからぐるっと球がまわってきてフェアになったりするんすよ」

――投げる方はどうなんでしょうか。ピッチャーの球種とか。

「どこまで球種あるかわからないけど、結構変化球も使ってると思いますよ」

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選手たちの戦いを左上で明石城が見守っている

――投手戦になりがちですか?

「そうっすね。あまり大きいヒットとか出にくいっすからね。だから守備も大事っすね。延長にならなければ試合は結構短いっすよ。1-0とかで決まる試合も多くて。あと0-0でずっと再試合、再試合で3日やった時とかもあって、その時は見に行ったっす。『45回の表ー!』とかアナウンスが流れて」

――3日間も……

「たまにハイスコアになることもあるんですけど、とにかく一点は重いんですよ。渋いゲームが多くて、ロースコア好きにはたまらないんです」

――「ロースコア好き」っていうジャンルがあるんですね。

と、ここで我々は「明石トーカロ球場」から、もう一つの会場である姫路「ウインク球場」へ移動した。Sさんが応援したいという秋田県代表の「能代高等学校」の試合があるからだった。

姫路の方で行われている試合も見に行ってみる

山陽電鉄の手柄駅からしばらく歩いた場所にある「ウインク球場」は2014年に大規模な改修が行われた球場だそうで、先ほどまでいた「明石トーカロ球場」よりもかなり新しい雰囲気があった。

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姫路市の「ウインク球場」へ。球場をハシゴするなんて初めて

秋田県代表・能代高等学校と大阪府代表・あべの翔学高等学校の試合を、引き続きSさんの話を聞きながら観戦した。

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能代高校を応援しに来た。こちらの球場も入場無料

――なんで能代高校を応援してるんですか?

「能代のブラバンがすごい好きなんですよ。好きな曲やってくれるんです。僕が関西に引っ越してきた年に軟式高校野球を見に来たんですけど、その年、能代が優勝して。その時にブラバンがすごいかっこいい曲をやってて、吹奏楽の子に『この曲なんですか?』って聞きに行ったんですよ(笑)そしたら秋田県の高校がよくやるチャンステーマ(文字通りチャンスの時に演奏する曲)で『タイガーラグ』っていう曲だって教えてくれて、それから能代が好きになって」

――へー!ブラバンがきっかけなんですね。

「甲子園だとブラバンがいるのって当たり前じゃないですか。でも軟式だと学校によってどこまで応援に力を入れるかっていうのが結構差があって。ブラバンが来てくれるだけでめっちゃありがとうって感じなんすよ。秋田から来てくれたんだなって。全国からこことか明石に来るわけじゃないですか。もうそれだけで大変だと思うんですよ」

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球場前の駐車場には長距離バスが何台も停まっていた

――本当ですね。選手とか保護者とか、応援団とか来るとなるとかなり大変でしょうね。今後はブラバンにも注目してみます。っていうか能代は優勝してたんだ。軟式の世界では“白河の関”をもう超えてたんですね。

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会場近くで販売されていたパンフレットに過去の大会のデータもまとめられていた
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歴代優勝校の中には東北勢の名前がいくつもあった

――能代高校は2010年と、1982年にも優勝してますね。仙台育英も優勝してるし、東北頑張ってるな。

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能代高等学校とあべの翔学高等学校の試合を観戦した
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じっくり見ると野球ってホント面白いですね
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試合はどんどん進んでいく

1回裏にあべの翔学高等学校が1点を先取。4回裏にも2点を追加し、能代高等学校がそれを追う形で試合が進んでいった。チャンスが生まれても両チームとも好守備が多く、簡単に点が入らない。

――引き締まった感じのいい試合ですね。これが無料で観戦できるっていうのがつくづくありがたいです。

「ちょっと前までは甲子園の外野席も無料でふらっと寄れてよかったんですよ。甲子園は外野席も有料で、内野席はもう4000円ぐらいしますからね(高校野球、中央指定席の料金は4200円)」

――コロナの感染対策もあって今は予約制ですもんね。ふらっとは行けない

「あ、今やってる、これが『タイガーラグ』ですよ」

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能代高等学校の応援にはブラバンも来ていた

「おお!しかも1点取った!チャンスに『タイガーラグ』がかかって、それで一点取ったのアツいっすね!」

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観戦に熱が入るSさん

能代高等学校が5回表に1点を返すが、その後も2点差を追いかけつつ、チャンスが点に結びつかない苦しい展開に。

――あべの翔学の応援は管楽器がなくて打楽器だけですね。

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あべの翔学高等学校は、様々な部のメンバーが応援団として駆けつけているようだった

「これ、『We Will Rock You』ですよね。メロディはないけどリズムがほら」

――ほんとだ!ドッドッ(ウィーウィル)ドッドッ(ウィーウィル)ドッドッ(ロッキュー)!

「これはこれでアツいっすね。ブラバンも日によって来れたり来れなかったりするし、学校によってどれだけ人員を避けるかって違うんですよ」

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能代高等学校もチャンスを作るが一点が遠い
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一点の重みを感じる試合だった

試合が終わり、しみじみと野球の楽しみを感じる

その後、能代高等学校は7回8回とチャンスを作りつつも点を取ることができず、3-1であべの翔学高等学校が勝利した。両チームともとにかく守りが硬く、いいプレーがたくさんあった。

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すごくいい試合だった。

――見ごたえがありましたね。

「いや、いい試合だったっす。7回、8回の能代のチャンスも盛り上がったっすね。あべの翔学も勢いがあって、めっちゃよかったっす」

――これが軟式かーって思ったけど、よく考えたら私が小学生の頃やってた野球も軟式で、むしろ硬球の方を触ったことがないです。

「ああ、そうですよね。僕の友人は、硬式で初めてやった時、バットの芯に当たらないと手がしびれてしょうがなかったらしいっすよ」

――軟式って高校までですか?大学野球にもありますか?

「ありますよ。大学は軟式もあるし、硬式と軟式の間の球もあるんですよ。『準硬式』っていう」

――へー!知らない野球の世界がまだまだあるな。

「野球っていうとどうしても硬式の高校野球とプロ野球、になりがちじゃないですか。でも色々あるんですよ。軟式からも、たまーにプロ野球に入ったり、社会人になっても会社のチームに入ったり、草野球してずっと野球が好きな人もいるだろうし」

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勝ったあべの翔学高等学校の校歌が流れる

――たしかに。目立つものというと限られるけど

「最近の甲子園の高校野球って観客がドラマを求め過ぎてるなって思うんすよね。それこそ高い入場料払ってるからそうなるところもあると思うんですけど、期待値が上がってしまうというか」

――せっかくだからすごい試合を見たいっていう。それはある

「出てる方にも凄いプレッシャーがあるだろうし、それが楽しいならいいんですけどね。なんか軟式って行き過ぎた所があんまりないっていうか、ちょっと行き過ぎた悲壮感みたいなものがある野球って、辛いじゃないすか。まあ、自分が挫折したっていうのもあるんですけど……素直な面白さがあるというか、のびのびしてるっていうか。野球って楽しかったじゃないっすか?楽しそうにやってる野球が好きなんですよ」

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野球の楽しさを思い出させてくれる試合でした

Sさんの言うとおり、私自身、甲子園の高校野球を見ながら「ドラマチックな試合が見たい!」と思ってばかりいる(そのくせ熱心に見てるわけではないという)視聴者で、そういうプレッシャーから離れた、もっと自由な楽しみが野球にはあるよなと思った。

間近に見た軟式高校野球の選手たちはみんなのびのびとプレーをしているように見えたし、応援のスタイルも自由で楽しそうだった。

いい一日になった。来年も見に来ようと思う。


能代高等学校に勝利した大阪代表のあべの翔学高等学校はその後も勝ち続け、決勝戦へと進んだ。

現地に見に行くことはできなかったのだが、幸い決勝戦がネット配信されていたので自宅で仕事をしながら観戦することができた。あべの翔学高等学校の応援席にはブラバンもいて、熱気を感じる演奏が聞こえた。

結果、あべの翔学高等学校は惜しくも中京高等学校に敗れて準優勝となったのだが、「自分はこの子たちを間近に見たんだ!」と思いながら応援するのはすごく楽しかった。

軟式高校野球の楽しみを教えてくれたSさんありがとうございました!

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選手たちや応援団や大会関係者のみなさんもありがとうございました!来年また見に行きます!

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