大仏さんを巡りたい
この桃厳寺の大仏さんを見てから各地の大仏さんが気になり始めている。調べてみると、愛知には他にもいくつか大仏さんがいることがわかった。愛知に帰る理由ができた。
名古屋に大仏があると聞いて見に行ってきました。
なんと緑でした。
大仏というと奈良とか鎌倉のものが有名だが、名古屋にも大仏があると聞いた。
え?ほんと?僕は高校まで愛知に住んでいたのだけれど、大仏があるなんて聞いたことがない(大仏と呼ばれていた先生ならいました)。
名古屋駅から地下鉄に乗って17分、東山動物園の手前の「本山(もとやま)駅」で降りて地上に出る。
本山駅から徒歩10分くらい。住宅地の中に突如として頭のようなものが見えた。
住宅街にぽっこり覗いた頭。今回見に来た「名古屋大仏」というのは完全にこちらのことだろう。無礼のないよう、正面にまわってみた。
名古屋大仏のある桃厳寺は住宅街にありながら、敷地内に一歩足を踏み入れると空気がすっと引き締まるのを感じた。森のように木々が茂っていて、その中をぬって小道が何本も整備されている。
奥へ奥へと曲がりくねった道を歩いていくと、徐々に方向感覚を失っていく。と、いつのまにか敷地の外へ出てしまっていた。
するとなんだろうか、上の方からなにやら視線を感じるのだ。この力強さ、高さ、人間のそれではない。
そう、振り返ると大仏さんがいた。
旅先で見た景色に感動する場合、その感動には二種類あると思う。一つは「これ、写真と同じだ」という感動。ニューヨークで自由の女神なんかを見たらこの感動が味わえるだろう。もう一つは「なにこれ」という感動である。初めて目にする景色に対する感動だ。
名古屋大仏はあきらかに後者の感動だった。ちょっと何言ってるのかわからないタイプの景色がそこにある。
大仏さん、緑なのだ。
ボディから着衣、それどころか大仏さんの座る台座から周囲を囲む象、鹿、修行僧たちまで全部緑なのである。それもテカテカしていないマットな緑。スポーツカーではなく、橋とか陸上競技場とかの緑だ。
銅でできた銅像は緑青をまとうと緑に見えてくるが、そういう感じをイメージしたのだろうか。
近くで見るとなかなか驚きの緑なのだが、住宅街からぴょこんと頭を出している様子を思い出すと、緑であることがある種の保護色になっているともいえる。
名古屋大仏さんは周囲をぐるりと歩いて巡ることができる。
大仏さんは全長10メートル、台座を合わせると15メートルあるのだとか。出来た時は緑じゃなかったものを、後から緑に塗ったのだという。
しばらく眺めていたら、最初に受けたインパクトがゆるやかにありがたさへと変遷していくのを感じた。珍しい=有り難い、が成立するのであれば、これは間違いなくありがたい光景なのだ。
大仏さんの近くでは、いままさに新築のマンションが建設されていた。あのマンションを買ったら毎日大仏さんが見えるのだ。大仏ビューである。
やはりすぐに慣れてしまうんだろうか。そこで生まれた子どもは何歳くらいで大仏さんを認識するんだろう。親に「なんで大仏さまは緑なの」と聞くだろうか。そのとき僕はなんと答えたらいいのか。
そんなことを考えながら、本山駅から地下鉄に乗って帰ってきました。
この桃厳寺の大仏さんを見てから各地の大仏さんが気になり始めている。調べてみると、愛知には他にもいくつか大仏さんがいることがわかった。愛知に帰る理由ができた。
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