カグスベールが良すぎる
カグスベールをずっと使ってみたかった。
以前ABProというイベントで手作りの剣を飛ばす装置に使われていたのを見てから、いつか使ってやろうと思っていたのだ。
流しそうめんに使うことになるとは思っていなかったが、こうして使いたい欲が満たせたので満足だ。
梅雨で天気の悪い日が続いているが、夏はもう目の前である。
夏といえば、で思い浮かぶものはたくさんあるが、流しそうめんがやったことがないので気になっている。
本格的にやるのは難しそうだし、何より水を流すのが大変だ。
家の中で気軽にやる方法はないだろうか。
当サイトでもかなり初期にライターのT斎藤さんが流しそうめんをやっている。
タイトルとは裏腹に、竹を手に入れてそれを割ったり、準備が大変すぎる。
そして水を流す必要があるのだ。リビングでやろうもんならビチャビチャになりはしないか。
水を使わずに流しそうめん体験が出来れば、家が汚れる心配も少ないしかなり気軽になるのではないだろうか。
流しそうめんらしい要素としては、
というところだろうか。
水が流れる涼しげなさまには今回は目をつぶって、この辺りを実現してみよう。
まずは坂の用意である。
竹の代わりにしては角張っているけれど、大きさも大体ちょうどいいのではないだろうか。
牛乳パックもそれなりにツルツルしているのだけれど、これだけだと流れそうにない気がする。
滑りをよくするものを使うことにしよう。
カグスベールに使われているフッ素樹脂にはPTFEというものが使われていて、これがめちゃめちゃ滑るのだそうだ。
PTFEは別名テフロンとも言って、フライパンのテフロン加工のテフロンのことである。へーへー知らなんだ。
このめちゃめちゃ滑るカグスベールの上にそうめんを載せたら、いい感じに滑っていってくれそうな気がする。
カグスベールはちょっと高かったので、もっと安くてそこそこ滑る素材を坂に貼れば、もう滑りに滑って水でそうめんを流すのと実質的に同じになるだろう。
「摩擦係数 低い 材料」で検索したら、PTFE以外ではポリエチレンが出てきた。
最近有料化してしまったレジ袋はポリエチレンだ。
有料化したとはいえカグスベールと比べたらめちゃくちゃ安い。
これを坂に貼ってみれば結構滑るのでは……!早速試そう。
思ったよりいかなかった。もっとシャッと流れていくはずだったのに。
レジ袋だと薄くてあまり滑らないのかもしれないし、そもそも僕の工作が雑すぎるせいかもしれない。誰か詳しい人がいたら教えてください。
仕方がないのでそこそこ摩擦係数が低いポリプロピレンのシートを貼ることにしよう。
結構いい感じに流れているのでは!
よどみなく下まで進むのが気持ち良い。
カーリングをテレビで見るときも同じ気持ちよさがあるが、これはどこから湧く感情なのだろうか。
物がスーッと動くだけで人は満足出来るものなのだという発見があった。
しかしこれでもちゃんとそうめんが流れるのかが心配だ。
万全を期すためには、最初の流し始めをもっと速くする必要があるだろう。
家の中なのでスペースは抑えつつスピードを出せる、そうめん加速装置も作っておきたい。
そこで出てくるのがサイクロイド曲線だ。
円周上の一点を固定して、円を回転させたときに引ける曲線である。
サイクロイド曲線は最速降下線なので、これに沿ってモノを滑らせたときに一番下の位置での速さが最も速くなる。
省スペースで加速させるならぴったりの曲線だ。
(追記:最速降下線は一番下の位置まで到達する時間が最も短くなる線、ということを読者の方から教えていただきました。なので一番下の位置での速さが最も速くなる、というのは誤りです。
省スペースで加速させるのには変わらないのでご容赦を!)
これでついに水を流さない流しそうめんの装置が完成だ。
早速流してみよう。
全体像はこのようになった。
流しそうめんというよりもウォータースライダーという単語が浮かんでくるが、気にしないでおこう。
準備は整った。いよいよ流しそうめんを体感出来る瞬間がやってきたぞ。
様々な対策が効いたのか、かなり良い流され具合になった。
シューッ!と軽快な音を立ててそうめんが流れる様子は思わず笑ってしまう。
東京フレンドパークに出てきそうな流しそうめんが誕生した。
思わず「取れた……!」と声が出た。
結構な達成感がある。おれの夏は始まったな、という気持ちになった。
ただ水を流していないので、そうめんが急速に固まってしまうという思わぬ発見もあった。
めちゃくちゃ箸で取りづらい。水で流すのはそういう効果もあったのか……。
うまいこと出来たので、さらに発展させたい。
カグスベールは確かに滑りが良かったが、ドライアイスも使えるのではないか。
ぱっと見ではカグスベールとあまり変わらないかもしれないが、ドライアイスの勢いがすごい。
ゴール地点ではステンレスのボウルを置いていたのだけど、そこにドライアイスが入るとめちゃくちゃ反応してばかでかい音を立てた。
音もなくスッと流れていく様子はとても気持ちが良いが、あんまり気軽には出来なさそうだ。
ドライアイスに水を吹きかければ、煙の中を疾走するそうめんが見られるのでは……!と思っていたがそれどころではない。
外に出て割った竹にドライアイスを流すしかないか。
カグスベールをずっと使ってみたかった。
以前ABProというイベントで手作りの剣を飛ばす装置に使われていたのを見てから、いつか使ってやろうと思っていたのだ。
流しそうめんに使うことになるとは思っていなかったが、こうして使いたい欲が満たせたので満足だ。
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