山崎駅-長岡京駅間のねじりまんぽ
最後に訪れたのは、大阪と京都の県境にある山崎駅。
山崎といえば、ウイスキーの蒸留所で有名だ。あと、駅前に千利休が作った待庵という茶室があったりもする。どちらも、一度くらいは見学してみたいものだ。
そんな個人的嗜好は置いておいて、さぁ、いよいよ今回のラストまんぽである。果たしてどんなトンネルが私を待ち受けているのだろうか。否応無しに気分が高まる。
さすがに三件目ともなると慣れたもので、トンネルを見つけるのも早くなった。道も鉄道に沿って伸びているので、線路を追うのも楽だ。
しかしながら、この辺りは煉瓦のトンネルが少なく、それだけが残念だ。いや、むしろ、あんなにもたくさんの煉瓦トンネルがあったことが異常だったのかもしれない。それが、普通の郊外鉄道に戻った、ただそれだけの事だ。
そんな意味も無い感傷に浸っていたその時、目の前にぽっかり開いたウサギ穴……ではなく、トンネルが目に留まった。
人が入って良いのか疑問に思ってしまうくらい、小さなトンネルである。看板を見る限り通り抜けできるようではあるが、果たしてどれだけの人がこのトンネルを利用しているのだろう。
とりあえず、屈みながら中へと入っていく。しかしそこには、外観からでは全く持って想像付かぬ、何とも不思議な世界が広がっていたのだ。
いやはや、このトンネルには正直驚かされた。一体何なんだ、このトンネルは。まるで、一つの作品として作られたかのような美しさ。もはやアートだ、これは。土木芸術だ。
この狭さから考えて、元々は人が通る目的で作られたトンネルではないだろう。パイプや排水溝が通っている事からも、このトンネルは本来、水路用に作られたと推測される。
つまりこのトンネルは、そもそも人に内部を見られるという事を想定していないはずなのだ。ただ水を通す、それだけの為のトンネルのはずなのに、なのに、何で、このような美しい模様のトンネルになってしまったのだろう。
後世の人間の気まぐれで、水路が暗渠となり、パイプとなり、そうして人が通れるようになって、初めて日の目を見た土木芸術。見えないところでも全く手を抜かない、明治時代の土木技術者の、凄まじいまでの気概が感じ取れる。いやぁ、良いモン見させていただきました。
さぁて、気分が最高潮に達したところで、最後のアレをやってシメるとしましょうか。
山崎駅-長岡京駅間のねじりまんぽ |
ねじれ度 |
★★★★☆ |
保存良好度 |
★★★★★ |
不審江頭ン度 |
★★★★★ |
山崎駅-長岡京駅間のねじりまんぽ位置図
まだ見ぬ「ねじりまんぽ」を求めて
今回、大阪、京都のねじりまんぽを巡らせていただいたが、滋賀県や岐阜県の東海道本線にもねじりまんぽが残っているそうだ。今回のものと同等、もしくはそれ以上に良好な物件もあるらしく、なんともそそられる。
今回、特に気に入ったのは、何と言っても山崎駅-長岡京駅間のねじりまんぽであろう。いや、気に入ったというか、感動に打ちひしがれたと言っても決してオーバーではない。
このような感動をまた味わう為に、これからもちょくちょくねじりまんぽを回ってみたいと思う。あ、でも、ジェームズボンドごっこはもうやりません。