テレビの目線になる
家のテレビの液晶が壊れてきた。10年近く使っているのでそういうこともあるよなと思う。
長く使った家電は暮らしのパートナーである。感情移入もしたくなる。テレビの方は、いつも何を見ているのだろう。
録画ボタンを押して、1時間ほど一人でテレビを見た。番組は録画してあったブラタモリです。
そこにはすごく野生生物っぽい自分が写っていた。
ずっと、何考えてるのか分からない
真顔で一点を見つめている、と思ったらたまに眼球だけがキョロキョロ動く。不気味だ。
虫を探すカメレオンを思い出した。
これを真正面から受け止めるのは相当なストレスだ。感情が汲み取れない表情って、段々怒っているように見えてくる。
こんなに無遠慮な視線ってあるだろうか。すごく怖い。
人と話す時も、たまに視線を目から離すだろう。そういう気遣いが欲しい。冒頭で「パートナー」と言ったが、そんなこと全く思っていないのが分かる。
反応したらそれはそれで嫌だ
かと言って、反応したらそれも嫌だった。
「へー」と何回も言っていた。ブラタモリはそういう番組である。
そして「へー」の声のトーンをすごく間違えている。
そんなに軽くあしらわないで欲しいのだ。テレビからの情報を。もっとすごいこと言ってるよ、とテレビ目線の自分は思う。そんな受け止め方ではどうせすぐに忘れる。メモとかしなよ。
セリフにも工夫がない。機械のようにずっと「へー」だ。「はー」とか「ふーん」とかも混ぜて、リズムを作って欲しい。
食べながら見ないで欲しい
ただ見ていることに飽きたらしい。
今までにない生き生きした表情になっている。なんだよ、と思う。
このあたりは想像以上にテレビに顔を向ける時間が短くて「本当に見ているか?」と疑った。
見たつもりになっているが、あとでテストしたらこの範囲はボロボロだと思う。
自分の動物っぽさ
1時間、全体を通して野生生物のようであった。何を考えているか分からなくて怖い。次の瞬間飛びかかってきそうな雰囲気がずっとあった。
テレビはこんな生き物を毎日相手にしていたのか。なんて包容力のある家電だ。見直した。
長い間こんなものを見せてきたのでもう休んでくれと言いたいが、買い換える予定もないのでまだしばらくこのままだ。ごめんな。
そして自分の動物っぽさを再確認できた。何かの拍子に「俺は頭がいい」と勘違いしそうになった時は、この動画を見直して思い知ろう。
- 遠慮なく見つめすぎている
- 表情がないのに目だけ動く
- たまにしゃべったと思ったら、力のない「へー」
- すぐ食べながら見ようとする
- おいしいと嬉しそう
- 食べている間の話は、理解できていない