盛り塩が下手
わたしが奉仕をしている神社では、神様に食べ物をお供えすることから一日が始まる。われわれ人間が食事をするように、神様にも毎日供物を捧げるのだ。
米や酒など供物に欠かせない品目はいくつかあるが、塩もそのひとつである。塩は祓い清めの象徴といわれているが、塩のしょっぱくて美味しい部分を神様が喜んでくれていたら楽しいなと思う。
して、うちの神社では塩は円錐型に盛ることになっている。
ちなみに、世の中には「塩固め器」というものがあり、それを使えば簡単に盛り塩が作れる。
固め器を使って作るぶんには簡単なのだが、それとは別にしゃもじを使って成形するやり方があり、わたしはそれがとても苦手なのだ。
しゃもじを使った塩の成形
しゃもじを使った盛り塩作りはどんなものか。得意な後輩にお手本の実演をしてもらった。
きれいだろう。ほら、こんなの見せられたら、できるようになりたいじゃないですか。これが簡単そうに見えて、うまくできないのだ。
叩いても叩いても角が立たずに崩れていく。たいがい拗ねて諦めてしまう。
しゃもじ成形のほうは叩いて固めてあるので、ケバのようなものが少なく凛とした印象を受ける。「カッコいい」と表現してもいいだろう。
実のところ、塩固め器があるのでしゃもじ成形は必須の技術ではないのだが、苦手なことをそのままにするのはモヤモヤするじゃないか。できることならスカッとした気分で過ごしたい。
だから、盛り塩の自主練をします!盛り塩、うまくなりてえ!
しゃもじ成形のコツは、やる気
そういうわけで、職場で使っている盛り塩づくりの道具をかっぱらってきた。
ふだんはグウタラ過ごしているので、休日に家で研鑽を積むという状況に気分が高まってくる。これがシゴデキ社会人か。やることは盛り塩だけど。
塩をひっくり返すところまでは綺麗にできるのだ。
問題はしゃもじで叩いていく工程である。後輩は簡単そうにやっていたのだが、簡単そうにしないでほしい。簡単じゃないから。
しゃもじを持つ手は固定して、皿の方を回転させるといいらしい。そのアドバイスどおりに叩けど叩けど角が立たない。
焦りとイラつきで変な力が入ってイビツになっていくこと甚だしく、果てには清々しさのカケラもない盛り塩ができあがる。
うまくいかないことに耐えられず、塩をひっくり返して容器に戻した。
ただ、ここで諦めるからいつもダメなのだ。今日は記事にするということもあるし、もういっかいやり直そう。
できた。できるんかい。いままで悩んでいた数年間はなんだったんだ。あっけなさ過ぎて喜んでいる表情を撮るのを忘れてしまった。
やる気を出せば一瞬でできることじゃないか。
盛り塩に必要なのはやる気だ。
私的!盛り塩のしゃもじ成形のコツ
絶対にやるぞという決意が良かったのだと思うが、具体的に気をつけたポイントを3つ挙げておきたい。
①皿を回す方向を一定にする

皿は一定方向に回転させたほうがいい。これまでは飽き性ゆえ、暇つぶしに途中で皿を逆回ししていたのだが、それで綺麗なものができるはずもない。正気を保て!
②しゃもじは浮かさず皿に乗せる
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しゃもじを浮かせながら叩くと、しゃもじを当てる高さと角度がブレてしまう。力を抜いて皿にしゃもじを乗せれば高さは変わらなくなるし、あとは角度を固定することにだけ意識を注げばいい。
前項の動画を見直せば、しゃもじが浮いていないことに気がつくだろう。それと、集中しすぎて口を固く閉じて呼吸を忘れていることにも気がつくはずだ。言うまでもなく呼吸は必須なので気をつけたい。
③飽きずにコツコツやる
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どれだけ上手に叩いたとしても、1周しただけでは綺麗な円錐にならない。少しずつ角が立っていくものなのだ。癇癪を起こさずに根気よく叩くこと。
たとえ盛り塩のような簡単なことでも、できるようになると自信がつくものだ。
あなたも、あなたなりの盛り塩を見つけて頑張ってみてほしい。
わたしのわたしなりの盛り塩は盛り塩だったが、あなたのあなたなりの盛り塩は盛り塩であるかもしれず、はたまた盛り塩ではないかもしれない。もし、あなたの盛り塩が盛り塩であるなら、この記事が役に立つに違いなく、わたしはそれを喜びとするのだ。

