パンツは文明の第一歩
記事を書いている間、物にパンツをはかせるとしたらどうするか……?というのを考えすぎて、終バスに乗り遅れたり、人との会話がほぼパンツの内容になったりなど、しばらくパンツ中心の生活を送った。
パンツをはくと可愛いし、愛着もわくし、物としての価値がグッと上がる感じがする。
パンツをはくのは、文明の第一歩である。ぜひ他のものにも、はかせてみたい。新幹線とか、飛行機にもはかせてみたい……!!と思ったが、どこを尻と定義するかは難しい問題だ。
まだまだ研究が必要である。
家のぬいぐるみにパンツをはかせてみた。数日後、脱がせると急に全裸感を感じた。この世界にある全てのものは、パンツをはかせ、しばらくしてから脱がすと全裸感が生まれるのではないか。いろいろ試してみた。
家にたくさんぬいぐるみがあるのだが、特に気に入っている子がいる。
このぬいぐるみに、なんとなく余ったハギレでパンツをつくってはかせてみた。
かわいくて気に入ったのでしばらく着せたままにしていた。
数日後、ふと見るとパンツが脱げていた。
もともと何も着てないぬいぐるみだったのに、パンツ姿に慣れすぎて、ものすごい全裸感を感じた。裸でうろうろしないで欲しい。
もしかして、この世界にある全てのものは、パンツ(もしくはパンツに類似する衣服)をはかせ、しばらく見慣れてから脱がすと、この「全裸感」を感じるのではないだろうか?
パンツが全裸感を作っているのだ!!
ぬいぐるみに全裸感を感じたように、これは生き物だけでなく、身の回りの全ての物に当てはまるのでは無いか。
そう思った私は、身近なものにパンツをはかせてみることにした。
まずはじめに、近くにあったエアコンのリモコンにパンツをはかせてみた。
左下の、「みはっておやすみ」ボタンの機能が何かよくわからないまま2年経っている。何をみはるのだろうか。
皆にも全裸感を味わって欲しいので、出来るだけパンツをはいている画像に見慣れて欲しい。
〜3日後〜
違和感なく生活に馴染んできたので、パンツを脱がせてみよう。
こんな姿、ネットメディアに載せていいのだろうか。完全に全裸だ!
パンツを履いていないリモコンは、寒そうに見える。たとえ部屋の暖房がきいていたとしても。
そして喪失感を感じた。何かが足りない……!
パンツだ!
やはりパンツが全裸感を作っているのだ!!
他にも試してみよう!
次はワインにはかせてみよう。
この画像を3分間見て、パンツをはいているワインに慣れよう!
何回かワインを飲むことで、徐々にパンツをはいたワインに慣れていった。
それでは、パンツを取ってみよう!
パンツが大きいからか、リモコンより全裸感がある気がした。パンツの大きさと、全裸感は比例するのだろうか。
もっと大きなものにつけてみよう!
これからの乾燥の季節に大活躍する加湿器にはかせてみた。
まるで面接にきた就活生のようだ。真面目に仕事してくれそうである。私が人事ならば採用しているだろう。
こんな真面目そうな加湿器から、パンツを奪うのは忍び無いがしかたない。パンツを取ってみよう。
大きいと脱がせるのが大変で、自分で勝手にはかせたにもかかわらず、「いや、パンツぐらい自分で脱いでよ……」という謎の感情が生まれた。
対になっているものの片方にだけはかせたらどうなるのだろうか。
ウォーターサーバーのお湯のところにはかせてみよう!
片方にはかせたことによって、すでにもう片方に全裸感がある。
水しかでない上に全裸。寒そうだ。せめてお湯の方を全裸にすべきだっただろうか。
もはや見慣れる必要などないのかもしれないが、しばらくこのまま使用してみた。
それでははずしてみよう!
一瞬全裸感があるかと思ったが、もとの風景に戻っただけな気がする。
ウォーターサーバーに関しては、片方がパンツをはいていたときの方が、全裸感があった。
もしかして、全裸感とは、相対的な物なのだろうか。
全裸感についてだんだんと理解が深まってきた。
最後に、この「全裸感」が野外でも発生するのかを試してみたいと思う。
せっかくなので、大きなものにパンツをはかせてみたい。そうだ、車にはかせよう!
でも私は車を持っていないので、はかせてくれる人を募集したところ、当サイトではおなじみの電子工作アーティストよしだともふみさんが貸してくれることになった。
でも、車のパンツの型紙って、どうやって作ればいいんだろうか……?
とりあえずビニールシートを当てて作ってみよう!
私が風に吹かれて苦戦していると、
「養生テープとかでどんどん止めちゃっていいですよ」
と言ってくれた。新車なのに……!?
なんてやさしい人なんだ。車にパンツをはかせてくれる人は良い人しかいない、そう確信した。
よしださんもかなり手伝ってくれて、スムーズに作業が進んだ。余分なところを切ってまち針でとめる作業を繰り返すと、だんだん形になってきた。
型紙を作るだけで、汗だくになった。
そしてこんな大きなものを縫うのは初めてである。
果たして出来るのか……!?
肩で担ぎ上げるようにしてミシンで縫った。こんな格闘技みたいな洋裁は初めてである。
そんなこんなで出来上がったのがこちら。
でかパンだ!!お腹冷えなさそう。車の尻ってこんなにかわいいのか……!!
確かに……!!何故かパンツをはくと、たとえ車だとしても、さわってはいけない感じになるのだ。パンツ効果である。
そしてすごくお尻が守られてる感がある。
かなりかわいく出来て満足したが、重要なのは野外にある車でも全裸感があるかどうかである。
全裸感を感じるには、見慣れることが重要だ。
夕方までしか車をお借り出来ないので、一刻も早く慣れる必要がある。
今からこの車を見る時間にしよう。
でもいつまでもはかせている訳にはいかないので、心を決めて取ってみることにした。
せーの……
えい!!!
いいの!?もう冬なのに!!
そして雑に丸められたパンツの哀愁がすごい。
私がそこにぐしゃっと置いたにもかかわらず、
「アバルト!パンツぐらいちゃんと畳んでよ!」
という気持ちになった。
よしださんは、「かわいそう……!!寒そうだし。今日はまだあったかいからいいけど……」とアバルトのことを心配していた。
私も、裸の車をみながら、せめてあったかい毛布をかけてやりたいな……と思っていた。
人の車だが、パンツをはかせたことにより、異様に愛着を感じている。
パンツにはこんな効果もあったのか。
そろそろよしださんが帰る時間になった。
アバルトは、少し肌寒くなってきた昼下がりに、丸裸のまま走り去って行った。
記事を書いている間、物にパンツをはかせるとしたらどうするか……?というのを考えすぎて、終バスに乗り遅れたり、人との会話がほぼパンツの内容になったりなど、しばらくパンツ中心の生活を送った。
パンツをはくと可愛いし、愛着もわくし、物としての価値がグッと上がる感じがする。
パンツをはくのは、文明の第一歩である。ぜひ他のものにも、はかせてみたい。新幹線とか、飛行機にもはかせてみたい……!!と思ったが、どこを尻と定義するかは難しい問題だ。
まだまだ研究が必要である。
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