特集 2023年9月16日

モンゴルのゲルで暮らした2週間

一年ぶりのお家に再訪

まこ:ここから、去年リモートワークしたゲルに向かいます。

↑去年の記事です 

まこ:車で向かってる道中ですね。

石川:放牧されてるヤギをかき分けて。

まこ:クラクション鳴らしてました。ピッピーって。

石川:ヤギ、クラクション効くんだ。道っぽくなってますけど、これだけ平らでも道の概念があるんですか?

まこ:轍はあります。でもけっこう迷って、このときも電話したり、その辺走ってるバイクの人を捕まえて聞いたりしてなんとか辿り着くって感じ。

石川:電話して道きこうにも目印ないじゃないですか。

まこ:それが写真送ったら「ここを右行け」とか、山の形とかでだいたいわかるみたいで。「今そこか、1回戻ってもらえます?」って戻らされたりして。

石川:そこのすき家の角を曲がって~みたいな、そういうことじゃないから。わかるのすごいな。

まこ:あと、遠くに正解の道が見えてるときに草原を突っ切って行けばいいと思いきや、道がぬかるんでて途中でスタックすると危ないので戻るとか。意外に難しかったですね。

石川:大草原でもちゃんと道を守らないといけないんだ。

まこ:それと草原をフリーで走ると草が傷むので、轍を通ろうっていうことにもなってます。

石川:マナーだ。モンゴルマナーがあるんですね。確かに草は大事な資源だから。

まこ:雨が少なくて草が復活しづらいので。

まこ:ここに再訪しました。

石川:戻ってきたわけですね。

まこ:おうちに親戚が集まったタイミングと被ったので、ゲルがいっぱい出てましたね。そのうちの1個を借りて泊まりました。

石川:親戚って、自分の家を持って来るんですか?

まこ:持ってくるわけではないです。お客さん用のゲルがあってそれを出したり。

石川:お客さん用の布団みたいな感じで家ごと出てくるんだ。畳んだらけっこうちっちゃくなるんですか?

まこ:そうですね。家具なしだと1トントラックで運べるぐらいになるかな。

石川:でもそこそこでかいですね!

まこ:こいつですね。こいつ去年もいた。

石川:記事に出てきた子。

去年の記事より、子供と遊ぶまこまこまこっちゃん

まこ:お前俺のこと覚えてるかって一応聞いてもらったんですけど、めっちゃ首を横に振ってましたね。なんでやねんって。さすがにずっこけました。あんなに1日中遊んだのに。

石川:あはは。前回っていっても去年だから。わりと最近ですよ。

まこ:ほんと1日中この子の相手をするっていう感じだったんですけど、覚えてなかったですね。覚えてないんかい!って。

石川:来年は覚えててほしい…!

まこ:これはヤギのウルムですね。朝パンに乗せて砂糖をさらっとかけて食べる。めちゃおいしいです。

石川:バターみたいな感じ?

まこ:そうですね。クリームに近い。バターと生クリームの間みたいな感じですかね。めちゃおいしいです。そのあと隣のゲルに呼ばれて、こっちではヤギを食ってましたね。

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まこ:ホルホグっていう料理で、鍋にお肉とアツアツにした石を一緒に入れて、蒸し焼きにします。

石川:鍋の中に石を入れるんですか?下から熱するんじゃなくて。

まこ:下からも熱するんですけど、中にも入れてて。その石を取り出してアツ!アツ!とか言いながら持つのが体に良いんだそうです。

石川:独特すぎる健康法。

まこ:これがカラダを温めるんだよとか言って。僕は熱いの知ってるから、誰かがアツ!アツ!ってやったあとのちょっと冷めたやつを持とうとしたら、そのお家のおじいちゃんに「何お前そんなぬるいの持ってんねん」みたいな。咎められて一番熱いやつを持たされました。

石川:あはは。しっかり握るんですか?

まこ:アツ!アツ!アツ!アツ!ってやる。

石川:それがいいんですね。

まこ:気候が乾燥しているので、石についている油もいいのかもしれないですね。手に塗ったりして。

石川:ハンドクリーム的な効果だ。四角いバットに入っているのが完成した料理?

まこ:そうです。

石川:ほんとに肉ばっかりですね。

まこ:すごいおいしいんですけど、ヤギの油はけっこう食べ続けるとしんどくて。焼肉みたいにごはんとかサンチュがあるわけでもなく。ひたすらお肉を「油のところがおいしいんですよ」みたいな感じで、肉をしゃーっと切ってくれるんですよ。おいしいんですけど、でもそれだけだと厳しいなって。

石川:微妙に入ってるのはじゃがいも、にんじん?

まこ:そう。根菜も寒いところやからかおいしい。我々日本人4人いたんですけど、僕らがじゃがいもとにんじんばっかり食べるからすぐに売り切れてましたね。

石川:あはは。

まこ:肉も大変ですけどウォッカも大変で。もちろん潰してやろうということじゃなくて、好意でもてなしとしてですが。「ウォッカ飲むか?」って。

石川:飲み方は?

まこ:もちろんストレートですよ。

石川:常温ストレート。あんまりそういう飲み方しないですよね。

まこ:日本の歌を1曲歌うか、一杯飲むかどっちか選びなさいって言われて、じゃあ歌いますって。それで歌ったら「いい歌だった、じゃあ飲もう」ってまた結局飲まされる。

石川:選択肢が合流してる。お酒はウォッカが定番?

まこ:特にヤギみたいな油が多い肉のときは、お腹冷やすと油が固まっちゃって良くないということで、ウォッカ推奨されてますね。

石川:実際あたたまるんですか?

まこ:強い人ならいいのかも?お酒弱い人あるあるとして、お酒飲むと体温下がるような気がするんです。分解にパワーを使う感じ。

石川:冷たくなってきてしまうの、死に近づいている感じがしますね。

まこ:なんとか大丈夫でした。命に別状はなかったです。

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まこ:夕方に、手前のヤギをあっちのヒツジと合流させてくれと言われて。遠くに見えてる白い点々がヒツジです。

石川:そう言われてもどうしたらいいかわからないな。

まこ:複数人で追いかけると、一定の車間距離を置く感じで群れが移動するので、うまいこと誘導して。

石川:牧羊犬みたいなこと?

まこ:牧羊人ですね。

石川:夜は家畜はどうするんですか?囲ったりはしないんですよね。

まこ:囲いに入れてる人もいますけど、このお家はほったらかしでしたね。見えるところにいればOKという感じで。

石川:寝てる間にいなくならないんだ。

まこ:いなくなるときもあるみたいです。ヒツジ、ヤギとかは近くにいるっぽいんですけど、馬は遠くまで行っちゃうと見失うこともあるって。そしたら人にきいたりして探すそうです。「うちの馬見なかったか?」「あっちの方で見たよ」とか。

石川:わかるんだ。

まこ:色とかこういう焼き印が入ってるからあれ誰々さんちの馬だなとか。けっこう特徴を見ているみたいです。

石川:見えてるものが違いますね。

まこ:夜になると、馬乳酒を混ぜる仕事があります。一晩中ジャボジャボ混ぜて、去年聞いた時は1万回とか10万回混ぜるって言ってて。1日か完成するまでかわからないんですけど、1日かもしれない。

石川:1日1万回はだいぶやばいですね。

まこ:交代でずっと混ぜてますね。混ぜるほど発酵がいい感じになるらしくて。ずっと。

石川:馬乳酒ってアルコールは強いんですか?

まこ:微発酵で1%とか。発酵進んでたら3%とかあるかもしれないです。麦茶みたいな感じでどーんと置いてあって。みんなで飲んでますね。

石川:飲酒って感じじゃなくて常飲するんだ。

まこ:子どももめっちゃ飲んでますね。

石川:もしかして水があんまりないから?

まこ:昔はそうだったかもしれないですね。キレイな水が手に入らないので動物の乳のほうがキレイだっていうことで。

石川:今は水はどうしているんですか?

まこ:川から汲んで沸かして飲んでると思います。井戸があるところもあるし。

まこ:これが最後です。朝ごはん食べてから帰る日だったんですけど、「帰る前にごちそう食べていけ」みたいな感じで最後も肉。胃が疲れてて大変でした。

石川:あはは、肉を食べる疲れが蓄積していくんだ。

まこ:もうムリ!今日はパンとか食べたい!みたいな感じであるんですけど、逃してくれない。

石川:かなり脂のってますね。

まこ:ヒツジのおしりのほうの肉かな。おいしいからって出してくれるんですけど、脂か〜ってこっちは内心思いつつ、ありがたくいただくという。

石川:全部は食べられない感じですね。1日おきぐらいがいいんでしょうね。

まこ:1週間に1回ぐらいでいいんですけど。我々からすると。逃してはくれない。でも、すごいおいしいお肉でした。

 

生放送「記事の森」やってます

この対談は、先日放送したトーク配信『樹液でも飲みながらライターに専門分野の話をきく「記事の森」』から抜粋したものです。番組ではウランバートルの話やモンゴルのおすすめお土産など、この2倍くらいしゃべってます。対談をお楽しみいただけた方はぜひアーカイブをどうぞ。


次回は、9月下旬に配信予定です!ぜひチャンネル登録をお願いします!

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