特集 2023年5月8日

【検証】「水出し」と「氷出し」で、緑茶の味はどう変わる?

去年ごろからじわじわ目にするようになった、新しいお茶の淹れ方「氷出し」。
水出し茶では飽きたらず、人間はついに氷から茶を淹れるようになったらしい。次は「蒸気出し」が流行ってもおかしくない(それはただのお茶の芳香蒸留水かもしれない)。

「水出し」でおいしくなる理由はなんとなくわかるが、氷で淹れたところで味は変わるものだろうか?

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの花屋。花を売った金で酒を買っている。

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そもそも水出し緑茶がおいしいのは何故だろう? と調べてみたところ、農林水産省のHPにこのような記述があった。

冷たい水で緑茶を淹れると、(中略)カフェインの溶出量は溶出量が低下するため、うま味を感じやすいお茶を淹れることができる。
氷水などを利用して水温を0℃に近づけて緑茶を淹れると、カフェイン溶出量をさらに低減することができる。

水出し緑茶のおいしさは国のお墨付きだった。

逆に、熱いお湯でお茶を淹れると、渋味・苦味成分が溶け出しやすくなるらしい。水出し茶が「飲みやすい」感じがするのはそのためだろう。

氷出し茶については、「カフェインの量が少なくなるよ〜」という旨の記述のみだったが、実際に味わいはどの程度変わるのだろう?

同じ量の水出し・氷出し茶を作って、違いを比べてみよう。

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今回使う茶葉はこれ。ライフで買える、静岡県産有機緑茶。有機のものとそうでないものを同じ棚に並べられると、なんだか有機のほうが飲んでいて気持ちがいい感じがする。実際、味もしっかりおいしい。
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お茶屋さんのHPを中心に、水出し茶のレシピを紹介してくれているメディアはたくさんあった。水1リットルに対して茶葉10g〜25gと、レシピによって分量にバラつきがあったので、今回は1リットルに対し20gの比率を採用(理由は「いつもこのくらい入れてる気がするから」)。
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かっこつけてガラスの器で測ったらカラフェの茶漉しに入れづらくなりました。漏斗で茶葉を入れる不自然なムーブ。
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カラフェを浄水で満たし、ゆっくりと茶葉を入れる。水出し茶の仕込みはこれだけだ。
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いっぽう氷出し。水出し茶の水が浄水なんだから、こっちの氷もいいものの方がよかろうと、コンビニでかち割り氷を買ってきた。

このカラフェは1リットル入るサイズだが、困ったことにどんなに頑張って氷パズルをしても500gぶんしか入らない。
仕方がないので、氷500gに対して茶葉10gのレシピで作ることにした。

水出しと同じ比率、だが、いちどに作れる量は半分だ。
「私は大量に飲むようなお茶ではありません、丁寧に淹れなさい」と言われているようで、なんだか気後れしてしまう。

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氷に茶葉が触れるよう、直接投入する。「これ、茶漉しがないから後でまた別の容器に移さなきゃいけないんだよな……」 ​​​​​​と気づき、少しずつ水出し茶の株が上がっていく。
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ほうら、氷出し茶さんの仕込みを待っている間に、水出し茶さんはもうお茶になり始めてますよ。どうですか? いまどんな気分ですか?
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氷出し茶のレシピには、常温で放置するものと、冷蔵庫でしばらく放置するものの2種類があるようだ。室温20度ほどの部屋において、何時間ほどで氷が溶け切るものかわからないため、ひとまず両方とも冷蔵庫に入れて寝ることにした。

水出し茶の抽出時間も、3時間から1晩までと、なかなか幅があるようだ。なにしろ今この撮影をしているのは深夜2時なので、とりあえず「起きたら茶葉を取り出そう」くらいの気持ちで放置しようと思う。

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余談:
こんな記事を書いていると「丁寧な暮らしのライター」と言われることがあるが、筆者は「早寝・早起き・朝ごはん」以外の丁寧な暮らしは全てまやかしだと思っている。

丁寧な暮らしの人が、深夜2時にカメラの死にかけのバッテリーを宥めながら、飛び散った茶葉の粉をティッシュで拭いているはずがありますまい。

⏩ 一晩たって、翌朝…

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