うら東京マラソン、中盤へ
時間的に20キロくらい走っただろうか。急激に周囲が暗くなってきた。というかほぼ山道だ。車も走らない。
記録用のボイスレコーダーにはこのあたりで録音したつぶやきがたくさん残されていた。いくつか生のまま紹介して状況説明と変えたい。
当時の記録(ボイスレコーダーより)
・保土ヶ谷過ぎたあたりで中間地点か。ずっとなだらかに上り坂。左足にしびれあり
・ヤマダ電機に灯がついている。あの安さは夜中まで働いて実現しているのだ。いい会社だ
・バス停に座ってストレッチをしながら携帯でツイッターを見ても誰もつぶやいていなかった。そうか、いま夜中なんだと気付く
・グラッチェガーデンという聞いたことないファミレスが。客が一人も入っていないので短パンだと入りづらい
・足のしびれがやばい感じ。走ると痛いが、止まると寒い
・コンビニでチョコ買う。うまい。でも何か買うとその分荷物が増えるので困る。やはりマラソンの給水所って偉大だ
・腕を大きく振って走ると楽しくなる
・店員の女の子がかわいいラーメン屋さんに行きたい
徐々に追い詰められている感じがわかる。気分転換にこのあたりから歌を歌いながら走った。近くに家もなく誰もいないので大声出して大丈夫なのだ。あといくつか俳句も詠んだ。頭を使うと足の痛みを忘れられるかと思ったのだ。
このあと、道に迷った。
歩道がなくなる
茅ヶ崎へと続く国道1号線は車通りの多い道だ。途中で何度も本気出して高速道路みたいになる箇所がある。そういうところには歩道がないのだ。
かといって車通りの多い国道をこの暗闇の中走る勇気はない。逸れたりなくなったりする歩道をひたすら探して走った。常に国道の光りが見える範囲で動くようにした。
これ、40キロ以上あるぞ
細いトンネルをくぐったり時に土手みたいなところを登ったりしながらも必死で国道に食らいついた。見失ったらまずいだろう、だっておれ1号線以外、帰る道知らないんだから。
戸塚から藤沢にかけての20キロから30キロ付近は、ずっとこんな具合だったと思う。かなりの距離をロスしただろう。グーグルマップで42.1キロと表示されていたのは車道の話だ。人が走れる道はたぶんもっとずっと長い。
それに気付いたのはすでに朝4時のことで。