万世橋の下の小部屋
「有名な上に趣旨が違っていたら申し訳ないんですけど、秋葉原の万世橋から見える行けない空間(どうやら女子トイレから行くらしい)とか……。」と教えてくれたのはライターの井口エリさんだ。
なるほど。なんか分かる気がする。
現場に行ってみた。確かに謎の小部屋と階段がありますね。
近づいてみる。真上には公衆トイレがある。井口さんによれば、あの空間に女子トイレからつながっているという説があるそうだ。
ぼくにはその真偽を確かめることはできないので、一応男子トイレに入ってみた。残念ながらというか当然ながらというか、地下につながってはいなかった。
さらに裏手に回ってみる。あの空間へ通じる道はありそうなのだが、残念ながら閉ざされていた。くやしい。
ところで、実は川の反対側にも同じような階段と小部屋があるのだ。
同じような構造に違いない。こちらには公衆トイレはないようなので、近づいて見てみる。
なるほど。橋の上から降りる階段はあるが、門が閉ざされている。降りたところの奥にも小部屋がありそうだが、扉が閉まっていて中の様子は分からない。
千代田区の広報に載っていた
この小部屋については、『広報 千代田』という千代田区の冊子でも紹介されていた。
これは謎の小部屋につながる階段の現状だ。地下神殿のようでかっこいい。地上に出る部分は塗り固められている。つまり女子トイレから降りられるという説はあくまで伝説だったようだ。
冊子では小部屋にも潜入し、その内部を紹介している。小部屋がなんなのかは残念ながら謎のようだが、トイレだったのではないかという。PDFが公開されているので、ご参考までに。
広報千代田 令和3年9月20日号(PDF)
見えてるのに行けない場所の類型
いろいろ巡ってみて、このような場所にはいくつかパターンがあるかもしれないと思った。
1. かつてはつながっていたが、いまは隔絶されてしまった
冒頭の飯田橋や、 最後の万世橋がそうだ。かつて有用だったのだが、その後の経緯によって無用になってしまった。その無用部分が綺麗に保存されていればいるほど味わい深くなる。
2. いま一時的に閉ざされている
新宿西口の歩道橋の下がたぶんそうだ。ようするに工事中であるか、将来の工事のために確保されている。
3. 導流島
車の流れを導くために、車道と車道の間につくられた車道ではない部分だ。白金高輪とか新数寄屋橋がそうだろう。地面に斜線が書かれていているだけの場合はゼブラゾーンと呼ばれる。ゼブラゾーンだって辿り着けないのは同じなのだが、そこが歩道と同じ高さに盛られていると急に「辿り着けない」感じが出る。
他にもあるだろうが、「いかにも歩道っぽい」のによく見ると辿り着けないというのが楽しいのだろうなと思う。
ささやかなオマケ
日常に潜む、見えてるけど行けない場所
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