ベビースターラーメンはやばい
こういうことをやった後にベビースターラーメンを見ると気が狂いそうになる。
袋麺を茹でる時に最後に出てくるパラパラした麺。あれを集めて眺めていたら、これは僕たちへのメッセージだということが分かった。
袋に入ったインスタントラーメン、「袋麺」を茹でる時、最後にパラパラと麺のカケラが出てくる。
申し訳なさそうに麺の塊を追って鍋に入っていく麺のカケラ。律儀に茹でても、スープを全部飲まない人は結局捨ててしまっている、あの麺のカケラ。
今まで気にしたことなかったが、健気で愛おしい存在である。毎回、袋を振ってしっかり全部茹でていた。無意識のうちの行動だったけど、そうさせる何かが、この細かい麺にはあるのだ。
これは、メッセージである。
麺のカケラを並べて眺めていたら僕へのメッセージだということが分かった。メッセージに「見えた」ではない。「分かった」のだ。そこに理屈はない。
僕が僕であることに、そしてあなたがあなたであることに特別な理由が要らないように、袋麺のカケラがメッセージであることに筋道立った説明はない。
こうやってキラキラした言葉で寄り切ってしまおうと思うほどに、それはもうメッセージとしか言いようのないものだったのだ。
ガンジーの空、ガンジーの空だ。マルちゃん正麺の醤油味が、その身を削って「ガンジーの空」と僕に語りかけてきた。
ガンジー。インド独立の父である。非暴力不服従の人だ。そんな広い、空のような心でありなさい、という意味だろうか。マルちゃん正麺よ。いや、解釈を焦ってはいけない。いずれ自然と分かる時が来るだろう。
マルちゃん正麺 醤油味からのメッセージ
ガンジーの空
麺のカケラ
かなり立体的にねじれた麺もある
こんな感じであと4つの袋麺からメッセージを受け取りつつ、麺のカケラの様子をレビューします。
麺とタレの袋をそっと出して、紙の上に麺のカケラを出す。
使い切った。「売る」ということだろうか。検索してみてもモーニング娘。がプロデュースした蒸しパンはなかった。これから出るのだろうか。だとしたらこれは予言である。
ラ王の冷やし中華が、僕に未来を告げた。モーニング娘。が蒸しパンをうるっ(売る)。
ラ王 冷し中華醤油だれ からのメッセージ
モーニング娘。むしパンうるっ
麺のカケラ
これまで通り塊の麺をよけて、カケラを紙の上に出す。
とっさに日本語が出てこないぐらい多い。山盛りになった。僕の扱い方が悪かったのか、そもそもチキンラーメンってこういうものなのか分からないが、とにかくこれがチキンラーメンからのメッセージなのだ。
向き合わなければいけない。
そして余った麺で「〜忘〜」となった。これで目立った長い麺は使い切った。
鶏ガラ! twitter〜 〜忘〜 だそうだ。難解。ツイッターで「鶏ガラ」というアカウントの方は何名かいた。そしてそのうち、何かを忘れた、とつぶやいている方もいた。
でもそれが何なんだろう。僕の人生に何か影響を与えるだろうか。いや、自分の人生に影響を与えてもらおうなんて態度がそもそも間違っているんじゃないか。そんなことを考えながらツイッターをウロウロしていた。
チキンラーメンに指示されてツイッターを見るなんて初めての経験だった。悪くないな、と思った。
チキンラーメン からのメッセージ
鶏ガラ!twitter〜 〜忘〜
麺のカケラ
少ないとメッセージを受け取るのが難しい。
長いニョロニョロした麺の使い方が難しい。これは部首の「しんにょう」なんじゃないか。その結果、こうなった。
悪寒がした。中華三昧が僕に「近」と言っている。近い? 何が? 今は夜中で、家族も寝ている。
皮膚の感覚が過敏になっていくのが分かるが、これ以上のメッセージはない。とにかく怖いので、明るいラジオを小さな音でつけた。
中華三昧 北京風 塩拉麺 からのメッセージ
近
麺のカケラ
たくさんの「つ」は熊の口や耳になった。しかし「令和熊のミミ」である。そんな種類のクマはいないので、令和の時代を生きるクマ、ということでいいだろう。「ミミ」は「耳」のことだろうか。
メッセージがはっきりしている。クマの耳、見に行ってみようか。
天気が良いので動物園も人で賑わっている。パンダの列を尻目に、クマのゾーンへと向かった。
マレーグマって「令和(レーワ)熊」と音が似ている。でもこの耳が何なんだろう。
クマの耳やおしりを観察していたら、3、4歳の子どもを連れたお母さんに声をかけられた。
「あの、リュックかわいいですね」
「どこで売ってるんですか?」と聞かれたので、買ったお店の場所をお伝えして「どうもありがとうございます」と言って別れた。去り際も、お子さんと二人で僕のリュックを見ているようだった。
「これか」と思った。
サッポロ一番が僕に伝えたかったこと。「そのリュックかわいいですね」だ。
サッポロ一番 塩らーめん からのメッセージ
令和熊のミミ → そのリュックかわいいですね
麺のカケラ
今回は5種類の袋麺からそれぞれメッセージを受け取った。
どれも時間をかけて咀嚼しなければいけないものばかりである。現時点ですぐに結論が出せるものではないだろう。
折に触れて思い出していきたい。
こういうことをやった後にベビースターラーメンを見ると気が狂いそうになる。
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |