実験の記録
自由研究といっても、私は実際には大人なので夏休みはありません。実験に適したよく晴れた日はたいてい平日で、そんな日はうらめしく空を眺めていたのでした。
8月中旬、ついに快晴の休日がやってきました。
雲の影を見るために、新宿にある東京都庁へ行きました。ここにはすべての方角に見晴らしのよい展望台があるのです。
展望台へのエレベーターは大行列で、家族や恋人でにぎやかでした。
私は一人。
単に景色をながめに来たのではない、私にはりっぱな科学的な目的があってきたのだ!と思いましたが、よく考えるとそうたいした目的でもありませんでした。
まずは新宿の西側を見てみました。
雲の影はくっきりと見えています。写真では見えづらいかもしれませんが、肉眼では雲の影が街に落ちているのがはっきりと分かりました。
こんな範囲でしょうか。
しかし、新宿の西側の地理はあまり詳しくありません。近くにも目印になりそうな高い建物もみあたらず、雲の範囲が実際どれくらいなのか、地図とつき合わせるのがむずかしそうです。
そこで、東側の窓を見てみました。こちらは山手線の内側にあたります。目印になる建物もいっぱいあるし、分かりやすそうです。
ひとつ雲を見つけました。あれはどうでしょう。
手を伸ばしてこぶしの大きさと比較してみます。
この幅が、360度の空のうち約10度の角度なのだそうです。これは本に書いてありました。
しかしぼくが知りたいのは角度ではありません。雲の実際の大きさなのです。そのために地面に映った影を見に来たのです。
では影はいったいどうなっているのでしょうか。ぼくはわくわくして見てみました。
影はこのようになっていました。
大きさをつかむためにそれぞれのはじっこの位置を拡大してみました。まず左端。この辺りが影の境界のようです。
そして右端。この辺でしょうか。
右のビルには光があたっていますが、左側のビルは影になっています。つまりこの辺に境界線があるのです。
では、これらの端っこは具体的にはどこら辺になるのでしょうか。映っている建物を実際の場所で探してみて、位置を確定させたいと思います。