糸通しには一生困らなくなった
昔から…そう、小学校のときに初めて裁縫セットが配布されてからというもの、ずっとお付き合いしてきたはずの顔だ。糸通しのあの端正な横顔の人。美術室の石膏像のように、少し怖い気もする、あの横顔。普段裁縫をしない人には何のこっちゃであろうけども。
私も別に糸通し(スレーダーとも言う)について、普段から一家言あるわけでなく、気になってしょうがない、これは恋?ということもなく過ごしてきたが、心に謎が浮かんだ以上、こうしちゃいられん。
あの横顔には何種類か存在した気がする。実情を調べるため、近所の手芸店、100円ショップを片端から回って、糸通しばかり買ってきた。
さあとっくりと見てみましょう。袋から出してサンプリングである。何種類か、あるにはあった。
お気づきだろうが、上3組、男女それぞれほぼ同じだ。同じ型から取ったと言ってもいい。なんだ、もっと種類あると思って、全部「糸通し拓」(魚拓みたいに)取ろうと思ってたのに。
それでも、たまにこんな変化も見られる。
以上の購入元の中から、河口株式会社、オカダヤ、ユザワヤに電話。
―糸通しによくある、浮き彫り、っていうんですか?横顔が彫られてますでしょう、あれ、誰だかおわかりになりますでしょうか?
電話口では各社とも、「あーあー・・・」と当方の質問の趣旨を理解してくださるものの、「あれはねぇ、わからないんですよね」「海外から輸入してたときのなごりか」「でも誰だかはわかりません」との回答だった。つまり。
【糸通しに浮き出たあの横顔の人は、謎だ】
―完―
しかし気になってウィキペディアを参照する。
「糸通し:針の小さな穴に糸を通すための道具。無くても困らないが在ると便利。(以上「裁縫箱」内「糸通し」の項目より引用)」
という、もともとが大変頼りない道具なのであった。と、いうことはだ。