きのこ人さんと森にきのこを探しに
小島さんがよくきのこを探しにくるという森へつれてきてもらった。
まず小島さんのカメラを見せてください。あのきれいなきのこの写真はいつもこれで撮っているんですか。
しっかりと手になじんだ感じのデジタル一眼レフである。手の上で転がすみたいな扱い方からも、常に持ち歩いていることがわかる。
最近の写真はぜんぶこれですね。地面に置いたりとか扱いがひどいのでもうボロボロです。これ、フィルターが割れてるんですが外れなくなってしまって。
きのこの撮り方は後ほど教えてもらうことにして、まずはきのこを探していきたい。
今日はどうでしょう、ちょっと寒いですがきのこは見られそうでしょうか。
実はこの時期はきのこ探しにはあまり向いていないんですよね。僕にとってのきのこのハイシーズンは夏前の、6月7月の梅雨時です。あの時期のきのこは食べられるかどうかは別として、色がきれいでみずみずしいので写真が映えるんですよね。
小島さんのいうハイシーズンというのは、きのこが美味しい時期、ということではないんですね。
僕は食べるよりも見たり調べたりするのが専門なので。きのこが好きな仲間を「菌友(きんとも)」って言うんですが、見る人、調べる人、育てる人など、みんなそれぞれに好きなジャンルを持っています。凝り始めると顕微鏡でのぞいたりDNAを調べだしたりするみたいですよ、僕はそこまではいってないですが。
菌友っていうのは人口的にはどのくらいいるんですか。
正確にはわからないですが、SNSのおかげか、きのこはだいぶメジャーな趣味になってきている感じがします。リアルには会ったことなくてもなんとなく菌糸だけでつながっている仲間が全国にいます。
菌糸だけで。
はい。きのこなので。
冬がきのこ探しにむかないというのは、やはりきのこも寒くて生えてこないんですか?(山道に息切れしながら)
気温もですが湿度も大切です。この時期は乾燥してるから地面から生えるキノコは乏しいですね。なので今日は朽木や倒木狙いで行きたいと思います。
きのこは生きている木よりも伐採された木や切り株なんかに生えることが多いのだとか。
これなんかはもともとシイタケを育てていた原木でしょうね。まだ菌が残っていて、捨てられたあともひっそりと生えてきているんだと思います。気温の低い時期にゆっくり大きくなっているので、たぶん食べたら美味しいですよ。
小島さんは採らないんですか。
美味しいとわかっているキノコを採って食べるのはあまり興味がないんです。それよりも、美味しいのか不味いのかわからないキノコ、研究としてのキノコ食の方に興味があります。
そういえば小島さんのブログには、採って食べてるエントリーが少ない(ないこともないけど、あまり美味しそうなきのこは食べていない)。
わからないから食べてみたくなる、という気持ちはすごくわかるが、きのこについては知識がないとそれは成り立たない気がするのだ(毒だと死んじゃうので)。きのこはソフトだけど、やってることはハードだ。
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カモシカの現場監督
きのこを探しているときに動物に出くわしたりしますか。
鹿なんかはよく見かけますよ。ほら、これも鹿のフンです。
あとはタヌキやキツネ、カモシカなんかもいます。
怖くないですか。
怖いですね。一度車に鹿がぶつかったこともあります。カモシカは現場監督ってあだ名をつけられてるやつがいて、高いところから見下ろしてくるんですよね。
松茸なんかは動物に食べられちゃってきのこ狩りの人たちが悔しがったりしてますね。
人が食べて美味しいきのこは動物が食べてもやっぱり美味しいのだろう。